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山本 順司, 大藤 弘明, 石橋 秀巳, 吉岡 貴浩, 西原 遊, 大内 智博
セッションID: R1-02
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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転位は鉱物の塑性変形を示す直接的証拠である.マントル捕獲岩を構成する鉱物には流体包有物が時折観察される.オリビン中の流体包有物周辺を観察すると,[100]方向に卓越した転位組織が見られる.また,転位密度は流体包有物から離れるにしたがって減少する.これは流体包有物の内圧に因るオリビンの塑性変形を示しており,転位の発達方位は軸毎の降伏応力の違いを反映しているものと考えられる.一方,同じマントル捕獲岩を構成する斜方輝石中の流体包有物周辺には転位がほとんど見られない.このことはオリビンと比べて斜方輝石が高い降伏応力を有することを示している.このように流体包有物周辺の転位組織の観察は,様々な鉱物のレオロジーを理解するための新たな切り口として利用できる可能性を秘めている.
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篠田 圭司, 小林 康浩, 副島 啓義
セッションID: R1-03
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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筆者らは昨年の鉱物科学会年会で、マルチキャピラリーX線レンズキャピラリーX線レンズを用いた顕微メスバウアー分光器の製作を開始したことを報告した。昨年の報告では顕微メスバウアー分光器の概要と、その時点での分光器ではガンマ線強度スペクトルのS/Nが悪くメスバウアースペクトルの測定にまでは至らなかったことを報告した。今回の報告では分光器のその後の改良点と改良後のビーム評価およびスペクトル測定について報告する。
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江森 健太郎, 北脇 裕士
セッションID: R1-04
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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コランダムのベリリウム拡散加熱処理が発覚した当初は未処理のコランダムにはBeが内在しないと考えられていたため、Beが検出されれば、外部起源であると考えられてきた。しかし、近年、未処理のコランダムにもBeが検出される事例が複数報告されている。本研究では2012年にCGLに鑑別依頼で供された1000個以上のコランダムについてLA-ICP-MSを用いた微量元素の測定を行い、ベリリウム拡散加熱処理コランダムの特徴を統計的にまとめ、天然起源のBeを含有するコランダムとの明確な識別方法の確立を目指した。
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北脇 裕士, 久永 美生, 山本 正博, 岡野 誠, 江森 健太郎
セッションID: R1-05
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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ダイヤモンドはさまざまな工業用途に応用されており、盛んに合成されてきた。
近年、CVDダイヤモンドの合成技術の進展はめざましく、宝飾業界においても正確な情報開示と鑑別方法の確率が望まれている。
最近、中央宝石研究所に1ct以上の8個のCVD合成ダイヤモンドが鑑定依頼で供された。
これらは国際的にも宝石検査機関に非開示で持ち込まれた最大級のサイズである。
この8個はラウンドブリリアントカットが施された1.001~1.119ctである。
これらの宝石質CVD合成ダイヤモンドは標準的な宝石鑑別検査では識別が困難であるが、フォトルミネッセンス分析や紫外線ルミネッセンス像の観察が有効である。
PLによる736nmセンタの検出とDiamondView による積層構造のイメージがCVD合成ダイヤモンドの鑑別に最も重要である。
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上原 誠一郎, 延寿 里美, 岩野 庄市朗
セッションID: R1-06
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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福岡県糸島市御床のペグマタイトから産する漆黒色八面体結晶は岡本(1941)によりベタフォ石と報告された。その後のX線分析法によりパイロクロアに訂正された(岡本,1944;長島・長島,1960)。九州大学の岡本標本にはこの結晶の大きなものは残っておらず,演者の一人 岩野が1985年頃に長珪石堀場跡から採集した2試料を用いて再検討をおこなった。化学分析,X線回折分析(室温および高温),熱分析等を行い,岡本の当初の発表通りベタフォ石であることを確認した。
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白勢 洋平, 上原 誠一郎
セッションID: R1-07
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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長垂LCTペグマタイトから産したmontebrasite[LiAlPO
4(OH,F)]はquartzやfeldspar中に半自形の塊状結晶として産し,肉眼的に白色-無色,三方向の劈開が確認できる。鏡下では細粒の包有物を含み濁っている部分が多く,集片双晶が確認できる。montebrasiteの化学組成は(OH) >Fとなるmontebrasite組成が多く,一部F >(OH)のamblygonite組成となる。600℃までの加熱X線回折実験では温度上昇に伴い
αと
γが90°に近づいており相変態が予想される。また,EPMA観察により,二次的なcrandallite,apatite,lacroixite,wardite,viitaniemiite,morinite等の燐酸塩鉱物からなる微細組織が確認できた。
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松井 智彰, 荒川 洋二, 木股 三善, 西田 憲正, 星野 美保子, 越後 拓也
セッションID: R1-08
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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鹿児島県の鬼界カルデラに位置する薩摩竹島の玄武岩質溶岩中に最大径約1cmの灰長石巨晶が発見された。その灰長石巨晶はわずかに光学的累帯構造を示している。反射電子像、元素の線分析及び面分析から、化学組成の波動累帯構造も確認された。結晶成長形に沿って微小な不透明鉱物の包有物が見られ、反射電子像と定性分析により、以下の4つのタイプの微小包有物が確認された:(1)鉄を含む多孔質なもの、(2)鉄を含む板状のもの、(3)鉄を含む塊状のもの、(4)鉄を含み銅と硫黄に富む部分と空隙を有するもの。このように、光学的及び化学的波動累帯構造からは灰長石の融点付近の狭い範囲で温度、圧力、あるいは水蒸気圧が振動したことが暗示される一方で、微小包有物からは灰長石巨晶を生成したマグマの酸化還元環境の多様性が示唆される。
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松原 聰, 宮脇 律郎, 門馬 綱一, 重岡 昌子, 伊藤 剛, 高橋 秀介
セッションID: R1-09
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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鹿児島県大和鉱山のブラウン鉱を切る細脈中に、日本新産のメダ石とサネロ石を発見した。これらはオレンジ色を基調とする微細な粒として見られ、メダ石はバナジウムを少量含む黄色のばら輝石様鉱物に伴う。これらについて、化学組成とX線粉末回折データを得た。
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山田 隆, 松原 聰
セッションID: R1-10
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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向野鉱山は、金、銀、アンチモン、砒素などを産する熱水性鉱床で、新鉱物、パラ輝砒鉱; pararsenolampriteを産出した著名な産地である。本鉱山にみられる針状~柱状結晶をしめす金属光沢の鉱物を詳しく検討したところ、硫砒安鉱;pääkköneniteがみいだされた。硫砒安鉱は自然砒、パラ輝砒鉱または輝安鉱と共出し、石英脈の隙間に生成する柱状結晶の放射状~平行状の集合体としてみられる。柱状結晶の長さは最長1mm程度で鉛灰色の金属光沢、一方向の劈開をみとめる。EDSによる元素の半定量化学分析においてはSb:As:Sはおよそ2:1:2である。X線粉末回折実験から導いた格子常数は、a=10.74, b=4.01, c=12.44(Å), β=114.95°で粉末回折パターンとともに合成物の実験結果とよく一致する。
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五十公野 裕也, 中島 和夫
セッションID: R1-11
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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山形県鶴岡市に位置する大張鉱山から数多くのビスマス硫塩鉱物が発見された。その中には国内で初めての発見となるnuffieldite様鉱物が見出された。本鉱山産のビスマス硫塩鉱物は化学組成に基づくと (1) Cu-Bi-S系 (2) Cu-Pb-Bi-S系、(3) Pb-Bi-S、(4) Bi-Te-S系、(5) その他の系に分類される。本鉱山産の代表的なビスマス鉱物はaikinite, emplectite, wittichenite, cosalite, tetradymiteなどであり、黄銅鉱, カリ長石, 白雲母, 石英からなる鉱石中に産出する。nuffielditeの実験式は、Pb +Bi + Sb = 5に基づくとCu
1.51Pb
2.00(Pb
0.34Bi
0.36Sb
0.30)
1.00Bi
2.00S
7.07 である。
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門馬 綱一, 宮島 宏, 下林 典正, 石橋 隆, 高山 信之, 長瀬 敏郎, 宮脇 律郎, 松原 聰
セッションID: R1-12
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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千葉石は千葉県南房総市荒川から産出し、2011年に記載されたシリカクラスレート鉱物で、結晶構造中にメタンやエタンなどの炭化水素ガス分子を含むことが特徴である。今回、長野県の北部フォッサマグナ地域において、世界で2番目となる千葉石の産出が確認された。産出地点は、後期中新世から鮮新世の堆積岩、火山岩の分布域である。母岩は単斜輝石斜方輝石安山岩に相当し、母岩の裂罅を充填する方解石・石英脈中に産出した。この安山岩体は、破砕構造が顕著であり、破砕組織の間を炭酸塩岩質の砂岩が充填していることから、未固結の海底堆積物に貫入したハイアロクラスタイトと推察される。単結晶X線構造解析の結果は、空間群Fd–3mの平均構造として解析可能であり、Fd–3ないし正方晶系以下への対称性低下の証拠は得られなかった。ラマン分光分析では、メタンやエタンに相当するラマンピークが検出された。
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坂野 靖行, 宮脇 律郎, 門馬 綱一, 豊 遙秋
セッションID: R1-13
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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福島県多田野産スカルン中の燐灰石の化学組成を調べた.化学組成は水酸燐灰石 からSiとSに富む燐灰石まで変動する.Ca=5apfuとして計算したP+Si+Sは理想値3 apfuを有意に下回る.P-Si図上のデータは,ほぼ直線Si+0.5P = 1.5上にプロットされる.これらのことは(CO
3,SO
4)
2- + (SiO
4)
4- = 2(PO
4)
3-という置換関係を暗示する.
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宮脇 律郎, 門馬 綱一, 松原 聰, 田原 岳史, 中井 泉
セッションID: R1-14
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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希土類炭酸塩鉱物の木村石とロッカ石の結晶構造を解析した。これらの鉱物の構造はテンゲル石と同様な波板状の希土類層と平面的なカルシウム層が積層して構成され、これらの比率と積層規則に違いがある。
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佐藤 永太郎, 牧野 州明
セッションID: R1-P01
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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本研究ではPseudohypersthene(旧:異剥石)と呼ばれる金属光沢のイリデッセンスを放つ斜方輝石の発色原理の解明を試みた.Pseudohyperstheneは(100)面にブッシュフェルト型の単斜輝石の離溶ラメラをもち,ラメラに沿うように無数の厚さ50-150nmの板状イルメナイトが離溶している.このイルメナイトラメラに垂直に反射光を入射すると青色やオレンジ色,緑色などの鮮やかなイリデッセンスが観察された.このイルメナイトラメラのイリデッセンスの顕微分光スペクトル(イルメナイトなどの吸収色を補正)と薄膜干渉モデルのスペクトル(イルメナイトラメラの膜厚と屈折率を使う)を比較したところ,よい一致を示した.イルメナイトラメラのイリデッセンスはラメラの薄膜干渉とイルメナイトの吸収色の合成スペクトルである.特に可視領域では特徴的な干渉スペクトルが見られ,その色彩効果を生み出すと考えられる.
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小河原 孝彦, 赤井 純治, 藤井 悟
セッションID: R1-P02
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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新潟県糸魚川市金山谷上流でリヒター閃石中にコスモクロア輝石とクロムオンファス輝石を発見し、EMPA (JEOL JXA-8600)による組成分析とTEM (JEOL JEM-2010)による電顕鉱物学的記載をおこなったので報告する。薄片観察からコスモクロア輝石はリヒター閃石中に数mmの粒子状に散在しており、SEM (JSM-6510LA)観察から、ポーラスなクロム鉄鉱が含まれることが明らかとなった。EPMAによる組成分析から、コスモクロアは最大12.923 wt%のクロムを含有する。HETEMによる高分解能電子顕微鏡観察結果はコスモクロア輝石、クロムオンファス輝石ともにdisorderは観察されなかった。Tsujimori and Liou (2004)などによれば、オンファス輝石とコスモクロア輝石では構造にギャップがあるためdisorderの存在が示唆されている。
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浜根 大輔, 皆川 鉄雄, 岡田 華子
セッションID: R1-P03
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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新鉱物となる岩手石/Iwateiteを岩手県田野畑鉱山から発見したのでその概要を報告する。
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浜根 大輔, 皆川 鉄雄, 山浦 淳一, 小山 貴史, 大西 政之, 下林 典正
セッションID: R1-P04
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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新鉱物足立電気石を発見したのでその概要を報告する。
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大西 政之, 下林 典正, 浜根 大輔, 篠田 圭司, 門馬 綱一, 池田 卓史
セッションID: R1-P05
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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大阪府箕面市温泉町に位置する平尾旧坑から未知の含水銅・亜鉛硫酸塩鉱物が産出することは,大西ほか (2009) によって報告した.その後,本鉱物を新種として特徴付ける鉱物学的諸データが得られ,新鉱物・箕面石 (minohlite) として国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会に承認されたので報告する.
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五十公野 裕也, 中島 和夫
セッションID: R1-P06
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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山形県鶴岡市に位置する大泉鉱山からAg-Pb-Bi-S系鉱物が発見された。Ag-Pb-Bi-S系鉱物はpavonite homologous鉱物 (pavonite, benjaminite様鉱物, mummeite様鉱物), lillianite homologous鉱物 (gustavite, erzwiesite様鉱物, ourayite様鉱物), 未同定Ag-Pb-Bi-S鉱物(Ag
2Pb
2Bi
4S
9, Ag
2Pb
2Bi
5S
10.5 である。これらの鉱物の中でmummeite, erzwiesite, ourayiteは国内からは全く報告されていない。この他にビスマス鉱物として自然蒼鉛, 輝蒼鉛鉱, 生野鉱, マチルダ鉱が伴われる。ビスマス鉱物は黄銅鉱、黄鉄鉱、閃亜鉛鉱、石英から構成される鉱石中に産する。
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瀬川 有香, 栗林 貴弘, 長瀬 敏郎
セッションID: R1-P07
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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脈状ならびに晶洞型の花崗岩質ペグマタイトを比較するため、3つの産地の長石および石英の内部組織を観察し、長石の組成を測定した。晶洞型である田上と苗木産の長石に見られるパーサイトの幅は脈状である石川産に比べて狭く、母相のOr成分が少ない。これは、晶洞型は脈状より小規模で、急速に冷却するためと考えられる。また、晶洞型に産する長石の端成分に近いOr相やAb相の存在、著しい汚濁から、晶洞型は花崗岩体の天井部に晶洞を形成するため、天井部から周囲の岩体に迸入する脈状のものより熱水の影響を受けていると考えられる。晶洞型に産する文象部の石英のCL像に見られる丸みを帯びた成長組織は、結晶表面のラフニングとメルトからの成長を示唆しており、晶洞内水晶のファセットな成長縞は熱水が関与したと考えられる。脈状に産する石英には成長縞が観察されず、熱水期への変化は捉えられていない。
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黒澤 正紀, 笹 公和, 石井 聡
セッションID: R1-P08
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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花崗岩体の熱水流体は、金属鉱床・変質帯・周辺深部地下水組成の形成などに大きな役割を果たしている。花崗岩は化学的・同位体的特徴からS, I, A, Mなどのタイプに分類され、それらはマグマの起源に密接とされる。M-typeは大陸縁辺部の未成熟島弧に特徴的に産出し、マントル由来の火成岩・変成岩やスラブに関連を持つとされるが、銅・鉛・亜鉛等の金属鉱床を殆ど随伴しないため、熱水流体の研究は非常に少ない。そこで、本研究では、島弧のM-type花崗岩の熱水流体の特徴を把握し、銅など金属に富む島弧上部マントルやスラブからの沈み込み流体の影響が強いM-type花崗岩に熱水性金属鉱床がなぜ少ないかを検討するため、神奈川県丹沢花崗岩体の流体包有物の元素分析を行った。
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國枝 拓司, 皆川 鉄雄, 梅村 直宏, 稲葉 幸郎
セッションID: R1-P09
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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奈良県前鬼山山塊を構成する外帯新第三紀花崗岩体に派生するkaolinite熱水変質帯に脈状~鉱染状に多量の電気石が生成している。これらは黄褐色~黒褐色の累帯組織を持つ柱状結晶集合体をなし、その隙間には無色の針状結晶が認められる。これらの電気石の鉱物学的検討を行った結果、黒褐色部はschorl、黄褐色部はdravite – uviteを主とし、一部にfluor – dravite – fluor – uvite相を伴っていることが明らかになった。
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安藤 珠美, 鑛山 明希子, 小林 祥一, 岸 成具, 草地 功
セッションID: R1-P10
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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今回人形峠で,中生代後期白亜紀~古第三紀に貫入した人形峠花崗岩と堆積岩との接触部で以前に採集されたウラン鉱物を,XRDで定性分析を行ったところ,燐灰ウラン石,メタ燐灰ウラン石Iのほか,相当量のd
001=9.065 Åを示す鉱物が共存していることを確認した.その後20-25℃,湿度50-60%の室内に約7ヶ月間置いた後に再びXRD測定を行った所,燐灰ウラン石のピークは減少し,100℃以上でメタ燐灰ウラン石Iが脱水して生成するとされるメタ燐灰ウラン石IIが出現した.一方,本鉱物は相対強度がほとんど変化せずに残っていた. EPMAにより得られた化学分析値から,実験式は,Ca(UO
2)
2 (PO
4)
2・6.5H
2Oとなり,これまでH
2Oが0-6とされていた燐灰ウラン石より含水量が多い鉱物であることがわかった.さらに,本鉱物は紫外線による蛍光にも燐灰ウラン石との間に若干の違いが見られた.
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冨田 宣光, 皆川 鉄雄
セッションID: R1-P11
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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西南日本の秩父帯鉄マンガン鉱床を切る脈中から多様な希土類元素(以下REE)及び金属鉱物を見出したので, その化学的特徴を報告する。REE鉱物は全体としてはLaあるいはNdに富みCe, Th, Uに乏しく, 晩期生成脈中のREE鉱物ほどNdに富む。個別の化学的特徴としてはgadoliniteと一部のwakefieldite group鉱物はY及び重REEを主とし, その他は軽REEを主とする。REE以外の化学的特徴としてallanite subgroup鉱物はV, Mnに富みAlに乏しく, gadolinite group鉱物はCa, Mnに富む。金属鉱物は60種類以上に及び, 多くはFe, Ni, Co、Zn, Mo, Pbの硫化物であるが他にも自然TeやNi砒化物あるいはSb化物, Cu, Ni, Pb, HgのTe化物, Mo酸塩, Cr酸塩, V酸塩鉱物を確認した。
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冨田 宣光, 皆川 鉄雄, 浜根 大輔
セッションID: R1-P12
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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三波川帯古宮ブラウン鉱鉱床からSr rich K-richterite、fresnoite, taikanite, tausonite, norrishiteなどの含Sr、Ba鉱物や 含Li鉱物を見出した。これらはhollanditeを交代するbraunite層中に微細な柱状~粒状結晶をなし生成している。これらの鉱物学的性質につて報告する。
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宮本 華蓮, 皆川 鉄雄, 浜根 大輔
セッションID: R1-P13
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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上須戒鉱山における特異な化学組成を持つ紅簾石の分析を行った結果、M1サイトがFe
3+>Mn
3+>Alの特徴を持つFe
3+に富むpiemontite-(Sr): Ca
1.0(Sr
0.76Ba
0.13Ca
0.10)
Σ1.0(Fe
3+0.71Mn
3+0.26Al
0.05)
Σ1.01Al
1.0 Mn
3+1.0 Si
2.99 O
12 (OH)と、A2サイトがBa>Sr>Caの特徴を持つFe
3+に富むpiemontite-(Ba): Ca
1.0(Ba
0.55Sr
0.42Ca
0.07)
Σ1.04(Fe
3+0.62Mn
3+0.35)
Σ0.96(Al
0.99Fe
3+0.01)
Σ1.0Mn
3+1.0Si
3.01O
12(OH)を確認した。いずれのpiemontiteも、Armbruster et al.,(2006)では記載されておらず、今まで考慮されていなかった領域の新しい紅簾石族グループ鉱物である。
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延寿 里美, 上原 誠一郎
セッションID: R1-P14
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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山口県阿武町日の丸奈古鉱山はKamitani (1977) により国内初の燐礬土石が報告され, Matsubara and Kato (1998)が三種の日本新産鉱物を含む多様なアルミニウム燐酸塩鉱物の記載鉱物学的研究を行った。本研究ではMatsubara and Kato (1998)で報告されていたスバンベルグ石, ゴヤス石, セリウムフローレンス石, ゴルセイ石に加え,新たにクランダル石, ウッドハウス石が確認された。これら6種の一部は互いに固溶体を形成し, スバンベルグ石とセリウムフローレンス石の間には組成的ギャップが見られた。ガトウンバ石様鉱物はMatsubara and Kato (1998)の報告とは異なり,組成的にはガトウンバ石のフッ素置換体であった。X線回折パターン及び透過電子顕微鏡による観察結果はガトウンバ石とは一致せず, 未知鉱物である可能性が高い。
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國枝 拓司, 皆川 鉄雄, 冨田 宣光, 大越 悠数, 福本 辰巳
セッションID: R1-P15
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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Calsicな錫スカルンは還元的な花崗岩の周りに発達することが知られている。Snはgarnet, titaniteなどの珪酸塩スカルン鉱物に少量ながら普遍的に固溶されている可能性が高い。しかしながら、本邦のスカルン構成鉱物におけるSn固溶に関する検討はほとんど行われていない。我々は西南日本のチタン鉄鉱花崗岩周辺部に生成している各種スカルン鉱物のSn固溶量について検討を進めているが、今回はandradite, titanite, malayaite, amphiboles, clinozoisiteについて報告する。
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岡本 真琴, 上野 禎一
セッションID: R1-P16
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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本研究の目的は、中牟田(1976)及び上野・花田(1982)により記載された津屋崎半島に産出するゼオライトの鉱物記載を基に再調査を行い、分布する天然ゼオライトの鉱物学的特徴について検討を加えるものである。今回試料採取を行ったのは、津屋崎層群中、第Ⅲ亜層、ⅡA部層、ⅠC部層の3カ所である。実体顕微鏡による観察及び鉱物分離を経て、粉末X線回折により鉱物同定を行い、走査型電子顕微鏡にて結晶形態・表面構造を観察した。その結果、第Ⅲ亜層中の熱水脈には濁沸石~レオンハルダイトが、ⅡA部層中の熱水脈には輝沸石~クリノプチロル沸石が、又ⅠC部層の礫間を充填している膠結物質中には束沸石が存在することが確認された。
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白勢 洋平, 上原 誠一郎
セッションID: R1-P17
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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長垂LCTペグマタイト産montebrasite[LiAlPO
4(OH,F)]中にcrandallite–goyazite–waylandite,apatite,muscovite,lepidolite,cookeite,topaz等の変質鉱物が認められ,本邦初産の6種の鉱物,lacroixite[ラクロワ石NaAl(PO
4)F],wardite[ワード石NaAl
3(PO
4)
2(OH)
4・2H
2O],viitaniemiite[ビータニエミ石Na(Ca, Mn)Al(PO
4)(F,OH)
3],morinite[モリノー石NaCa
2Al
2(PO
4)
2(F,OH)
5・2H
2O],petitjeanite[プチジーン石Bi
3O(PO
4)
2(OH)],smrkovecite[スムルコベッツ石Bi
2O(PO
4)(OH)]も確認できた。長垂ペグマタイトでは数段階の交代変質作用が生じていた。
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櫻田 麻帆, 上原 誠一郎
セッションID: R1-P18
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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宮崎県大崩山は中期中新世の花崗岩ペグマタイトが分布しており, 多様な種類の希土類鉱物の産出が報告されているが, 詳細な研究例が少ない。本研究では大崩山の野外調査で採取したフェルグソン石の分析・同定を行い, 比較として岐阜県苗木産のフェルグソンも分析し, さらに苗木産の試料は加熱による再結晶実験を行った。大崩山のフェルグソン石のXRDパターンはT相のフェルグソン石(fergusonite)に一致し, あまりメタミクトでないことが特徴的である。苗木産のフェルグソン石は強くメタミクト化しており, 再結晶実験では昇温過程の650℃でピーク(T’相)が出現, 1300℃でT相のフェルグソン石となった。降温すると500℃でM相のフェルグソン石(fergusonite-β)に相転移した。このことから天然のフェルグソン石ではT相として結晶化するとM相への転移が起こらない場合があることが明らかとなった。
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菖蒲 彩香, 上原 誠一郎
セッションID: R1-P19
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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希土類リン酸塩鉱物のラブドフェン(rhabdophane; (REE)PO
4・H
2O) にはLa,Nd,Ce,Yを主成分とする4種類がある。本研究ではイットリウムラブドフェンの模式地である佐賀県東松浦郡玄海町日の出松産玄武岩中の希土類リン酸塩鉱物の産状及び化学組成を調べ,新たにチャーチ石の産出も確認した。 半数以上の希土類リン酸塩鉱物が含まれ,ランタンラブドフェン,ネオジムラブドフェン,イットリウムラブドフェン,チャーチ石の4種が確認された。日の出松産ラブドフェンは晶洞中に長さ数μm,太さ1 μm未満の六角柱状結晶の放射状集合体として産する。チャーチ石は晶洞の表面に球状,皮膜状で産し,外側にラブドフェンを伴う。ラブドフェン及びチャーチ石は従来の報告例(Takai and Uehara, 2012)よりも幅広い化学組成を示し,同じ岩石中ではNd/La比がほぼ一定でYの量が連続的に変化する。
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阿部 利弥
セッションID: R2-01
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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珪酸塩結晶の合成ためにゾル-ゲル法を用いた予察実験を始めた.ゲル合成のために,目的組成比に相当する量のTEOSと硝酸塩や塩化物の溶液を準備した後,エタノール溶媒やアンモニア溶液や塩酸と共に,混合撹拌した.得られたゲルは乾燥,加熱を行った後,生成物の確認を行った.1000℃以上の加熱により非晶質のゲルは結晶質へと変化するが,この温度は単純な酸化物混合体の焼結により結晶化する温度より低い.現時点で,アノーサイト,フォルステライト,ディオプサイドの合成が確認されているが,フォルステライトの場合はMgO相の析出も認められた.エンスタタイトでは,単斜と斜方相の混在も見られた.現在,出発物質や手順の検討に加え,他の鉱物合成にも着手している.
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田邊 朋子, 大井 修吾, 土`山 明, 下林 典正, 三宅 亮
セッションID: R2-02
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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コーディエライトの粉末に過剰にSiO2、MgOを添加した粉末の試料を白金チューブに封入した。この試料を箱型電気炉で加熱し、1440℃で10h保持した後、1362℃まで2℃/dayの冷却速度で冷却し、急冷した。無色透明なガラスの中に0.2×0.2×2.0mm程度の柱状の結晶が複数見られた。結晶を偏光顕微鏡で観察した結果、コーディエライトは波動消光を示し、c軸方向にラメラの様な筋が観察できた。コーディエライト結晶をc軸から偏光顕微鏡で観察したところ、外形は六角柱状で6つの領域から成り、その内4つの領域では結晶の伸長方向に平行で、柱面に垂直なラメラ状の筋が観察された。今後は6つの領域の方位関係とこの組織の成因について明らかにし、天然の三連晶のコーディエライトとの比較を行う。
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中尾 啓太, 阿部 利弥
セッションID: R2-03
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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本研究ではフラックス法を用いてコランダム結晶を合成した.不純物による結晶外形の変化を調べることを目的に MoO
3・2Li
2CO
3-Na
2AlF
6組成比をフラックスとした.Al
2O
3の量はフラックスに対して5wt%,最高温度1100℃で100h保持し取り出した.Ti
4+,Cr
3+,Fe
3+,La
3+をそれぞれAl
2O
3比で1wt%加えた実験を行った.Ti
4+を加えた場合においてステップのラフニングが顕著に現れていた.またCr
3+,Fe
3+,La
3+の場合も微小ではあるがステップのラフニングが確認できた.
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磯部 博志, 西林 佑真
セッションID: R2-04
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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クリストバライトは,酸性熱水変質生成物として広く産出し,典型的な熱水反応条件である約220°Cでα-β相転移を示す。本研究では,クリストバライトの熱水反応実験によって起こる結晶化過程を解析した。クリストバライト粉末XRDの最強ピークは,高角度側で半価幅の小さなピークと,低角度側で半価幅のより大きなピークの重畳と思われる非対称性を示す。これは,α-β相転移はunquenchableであるものの,β相の準安定相としての結晶化過程や熱履歴が低温相の結晶性に痕跡を残している可能性を示す。熱水反応実験の結果,300°Cでの実験生成物において,高角度側ピークの回折角減少と半価幅拡大が見られた。また,非晶質相含有量がより多い試料において,低角度側ピークを与える相の増加と半価幅減少が見られた。熱水性クリストバライトが示す結晶学的性質は,形成温度とα-β転移温度との関係を示す指標となる可能性がある。
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大藤 弘明, 山下 智治, 入舩 徹男, Konstantin D. Litasov, Valentin Afanasiev, Nikola ...
セッションID: R2-05
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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本研究において著者らは,ロシアの隕石衝突孔,Popigaiクレーターから, NPDに極めて類似した特徴を持つインパクトダイヤモンドを見出したので紹介する.Popigai産のダイヤモンドは,いずれも直径<10~50 nmの極めて細粒なナノダイヤの集合より構成され,グラファイトからの高圧合成によって得られるNPDと類似の微細組織を有することが分かった.しかしPopigai産ダイヤは,全体としてラメラ状の配向組織を示すものが多く,少量共存する六方晶ダイヤとの配向・共軸関係から,結晶性の良い(単結晶様)のグラファイトからのマルテンサイト相転移によって形成されたと推察される.
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山下 智晴, 大藤 弘明, Konstantin D. Litasov, Valentin P. Afanasiev, Nikolay P. ...
セッションID: R2-06
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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Popigaiクレーター中のimpact diamondは起源物質(グラファイト)由来の板状形態を有することからマルテンサイト相転移によるとされるが,その微細組織や形成過程については十分に検討されていない.そこで,我々はPopigai産ダイヤについてTEMによる微細組織観察を行い,高圧実験の結果とも比較しながら,その形成メカニズムを考察した.TEM観察の結果,配向関係の観察よりimpact diamondの形成は単結晶様グラファイトからのマルテンサイト相転移によると示唆された.また、単結晶様グラファイトを用いた高圧実験の結果で同様の微細組織を示す層状ナノダイヤが15-25 GPa,1300-2300℃の条件で得られていることから,Popigaiクレーター形成時の衝撃圧力が35-60 GPaだとするこれまでの見積もりは過大評価の可能性が高い.
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北村 雅夫
セッションID: R2-07
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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現実結晶の成長を支配する部分キンクとそこでの成長単元の連続取り込み過程の一般的特徴を考察し、さらにダイヤモンド型やスファレライト型構造などの表面ついて具体的に適用した。
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小西 博巳, Huifang Xu
セッションID: R2-08
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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We present high resolution Z-contrast images of vacancy and iron arrangements in Mg-rich volcanic olivine from Oze Hiychigatake volcano, Japan. Z-contrast images can provide positions of atoms and vacancies directly. We demonstrate that the oxidation process involves cation migration, ordering, and lowering local symmetry, in addition to charge changes and vacancy generation.
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三宅 亮, 藤 昇一, 福永 啓一, 栗林 貴弘
セッションID: R2-09
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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オリビン((Mg,Fe)2SiO4)のMg/Fe結晶内分配係数は、古くから研究がされている。その多くの研究は、X線や中性子を用いた構造解析から推定された結果である。本研究では、フォルステライト、San Carlosオリビンのa軸方向からの高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡観察を行い、M1, M2サイトごとの輝度の比較を行った。その結果フォルステライトのサイト間の輝度には差が見られなかった。一方San Carlosオリビンの結果からM1サイトの輝度のほうがM2サイトの輝度に比べて高く、Zの大きいFeが多く含まれていることが分かった。
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永井 隆哉, 日野 雄介, 川野 潤
セッションID: R2-10
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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ブルーサイト中のH-D交換反応実験を240, 260, 280 ºCで行った。適当な時間間隔でサンプルの赤外スペクトルを測定し、O-HとO-Dの伸縮振動のピークの強度比から、ブルーサイト中のD/H交換率を見積もった。アブラミの式を用い速度論的解析を行い、H-D交換反応の活性化エネルギー70(2)kJ/molを得た。
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荒砂 茜, 奥野 正幸, 奥寺 浩樹, 水上 知行, 荒井 章司, 赤荻 正樹, 白子 雄一, 横山 つかさ
セッションID: R2-11
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
会議録・要旨集
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シリカゲルは水分子やSi-OHを含む非晶質シリカ物質である. 高圧下でのシリカゲルの構造変化や, ゲル中の水の挙動は, 珪藻殻が, 珪藻土およびチャートへ変成する際のプロセスの解明や, 地球浅部での水の挙動について重要な情報を与えると期待される.本研究では, マルチアンビルを用いて, 合成シリカゲルを100℃下で2GPa及び5GPaで1hr圧縮した. 2GPaの圧縮後に回収された試料は, 石英へ結晶化した部分, シリカゲルの構造に近い部分, それらの中間のような構造を示す部分を持つことが明らかとなった.試料中の水分子やSi-OHの分布は一様ではなく,含水率の高い箇所では結晶化が促進されたことが推察される. また, ネットワーク中のSi-O結合の切断および非架橋酸素の増加が起きたことが示唆される.5GPaで圧縮した試料は, 水分子およびSi-OHを保持したまま, コーサイトへと結晶化した.
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本宮 秀朋, 鳥羽瀬 翼, 平床 竜也, 王 玲, 磯部 博志, 吉朝 朗, 奥部 真樹, 有馬 寛, 杉山 和正, 宮脇 律郎
セッションID: R2-12
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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白亜紀-第三紀(K-T)の生物の大量絶滅は、K-T境界粘土層中のIrの異常濃集から隕石衝突が原因とされている。その他に粘土層中にはCu, Zn, As, Sbも多く濃集している。特にAsとSbの含有量が異常に高い。これら元素の濃集と局所構造を知ることで隕石衝突と大量絶滅について情報を得られると考えられる。Sbの濃集起源、プロセスに関して知見を得るため、本研究ではXAFS法によりK-T境界粘土層中のSbの局所構造解析を行った。そのSbのXANESスペクトルと動径構造関数はSbの酸化物のものと一致する。このSbは価数の大きいSb(+5)でSbO
6の8面体席を占有している。Sb-Oの原子間距離は2.08(1)Åである。各種Sb鉱物との比較から、K-T境界粘土層中のSbはantimonate(複合酸化物)中でSb-O結合を作っており、8面体のSbO
6の席を占有していると考えられる。
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興野 純, 中本 有紀, 坂田 雅文
セッションID: R2-13
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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スピネル構造におけるCu
2+のヤーン・テーラー効果の影響を調べるために,キュプロスピネル(CuFe
2O
4)の高圧単結晶XRD測定を実施した.実験の結果,圧力が4.6 GPaのところで体積変化曲線に明らかな不連続性が確認され,立方晶系から正方晶系への相転移が示唆された.Birch-Murnaghan状態方程式から求めた体積弾性率は,K
0 = 178 (3) GPaであった.これは,磁鉄鉱やウルボスピネル,クロマイトスピネルの体積弾性率よりもわずかに小さい値であった.キュプロスピネルの八面体席はすべてFe
3+で占有されるのに対し,四面体席はCu
+とCu
2+,Fe
3+で占有れていた.正方晶系に相転移後に四面体席内の結合角が108.6°に減少する理由は,Cu
2+のヤーン・テーラー効果による結合性軌道の形成であることが分子軌道計算から明らかになった.
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則竹 史哉, 河村 雄行, 松影 香子
セッションID: R2-14
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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灰長石は地殻で多くみられる鉱物であり、地球物理学的観測から地殻の構造を理解する上で、その高温高圧力下における物性変化を知ることは重要である。
本研究では松影ら(査読中)によって報告された高温高圧下における灰長石の弾性異常について、分子動力学法を用いて構造の温度圧力変化を調べることによって原因を考察した。
我々の分子動力学計算において現在知られている圧力、温度による灰長石の相転移を再現された。
分子動力学計算の結果より、温度誘起される灰長石の弾性異常は、温度領域によって二種類の異なった 熱膨張メカニズム(最近接原子間距離の増加、およびSi-O-Al角の増加)に起因するものであることが示唆された。 また圧力誘起される灰長石の弾性異常はa軸に平行な階段状の四員環の鎖同士をつなぐ六員環部分におけるSi-O-Al角の減少に起因するものであることが示唆された。
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陣内 聡, 吉朝 朗, 杉山 和正, 有馬 寛, 志村 玲子, 宮脇 律朗
セッションID: R2-15
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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レグランド石は淡黄色から黄褐色の亜鉛砒酸塩鉱物で、アダム石やパラダ石、イボン石が関連鉱物とされるが、それぞれ構造は大きく異なっている。McLean et al. (1971)によって構造解析が行われているが、水素結合や配位席の歪量、関連鉱物との共通性等不明であった。今回、レグランド石の結晶構造精密化をリガク社製単結晶構造解析システム(RAPID)により行った。これまで不明であった水素位置を差フーリエ法により確定し、座標位置を決定した。また、Bond-valence法によって電荷バランスと水素結合関係を明らかにした。報告されていた配位環境の訂正と構造の詳細、関連鉱物との関係等を議論する。
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永嶌 真理子, 三谷 桂子, 赤坂 正秀
セッションID: R2-16
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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準輝石鉱物であるバビントン石とマンガンバビントン石を計7試料用いて,6配位席(M1, M2)における陽イオン置換と結晶構造変化の関係を系統的に明らかにした.メスバウアー分光分析の結果,Fe
2+, Fe
3+はそれぞれM1, M2サイトに分布することが確認され,先行研究と一致する.各結晶の化学分析および構造解析の結果(
R1 = 1.64-3.16 %),M1サイトの陽イオンの平均イオン半径の増加に伴い平均M1-O距離は伸長し,さらに中でもM1-O13距離の伸長がSi1-O15-Si5結合角の増加を引き起こす.またM2サイトの平均イオン半径の増加によってSi1-O3-Si2, Si4-O12-Si5結合角が大きくなることが明らかとなった.
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永嶌 真理子, 浜根 大輔, 冨田 宣光, 皆川 鉄雄, 稲葉 幸郎
セッションID: R2-17
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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新鉱物「ランタンバナジウム褐簾石」は三重県伊勢市の層状マンガン鉄鉱床から発見された.理想式 CaLaV
3+AlFe
2+(SiO
4)(Si
2O
7)O(OH) (
Z = 2)で,M1サイトにV
3+が卓越する。本地域から産した試料は,高いMn
2+含有量で特徴づけられ,A1サイトの4割をMn
2+が占める。格子定数は
a = 8.8985(2),
b = 5.7650(1),
c = 10.1185(2) Å, β = 114.120(1)º,
V = 473.76(2) Å
3であった.
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松沼 智史, 丸山 浩司, 鍵 裕之, 吉野 徹
セッションID: R2-P01
発行日: 2013年
公開日: 2018/06/07
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非晶質炭酸カルシウム(以下ACC)はバイオミネラルの前駆体として存在するが、近年、合成ACCが加圧によっても結晶化することが報告された。ACCの圧力誘起の結晶化の際にはACCから水分が放出されていることが観察されており、水分が圧力誘起の結晶化のメカニズムに関与していることが考えられる。今実験では無水のACCの合成を試みることで、圧力誘起の結晶化における水分の関与について明らかにすることを目的とした。実験室内でACCを合成し、240℃で1時間大気中で加熱することで低水分量のACCを作成することに成功した。水分量の多いACCは室温下で0.24 GPaで10分間加圧することで結晶化が起こるが、低水分試料は室温下で0.8 GPaで10分間加圧したところ結晶化が起こらなかったことから、ACCの圧力誘起結晶化過程には水が関与していることが示唆された。
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