玄武岩質メルトのfO
2に及ぼすSの脱ガスの影響を,平衡バッチ脱ガスモデルを仮定して試算した.熱力学モデルによりSO
2/H
2Sを計算したところ,ΔQMF>0のfO
2条件では,脱ガスするSはほぼSO
2であった.メルトのFe3+/Fe2+およびS6+/S2-とfO
2の関係はそれぞれ先行研究によって提案されたモデルを用い,メルトからのSの平衡バッチ分別過程でのfO
2変化を計算した.その結果,初期fO
2条件がQMF+0.7程度の場合にはSの脱ガスはfO
2にほとんど影響を及ぼさず,これより酸化的/還元的な初期条件ではSの脱ガスによってより酸化的/還元的になることがわかった.プチスポットSite-Bで採取された玄武岩質ガラスについて,2000ppm以下のSの脱ガスを考慮した場合,その初期fO
2条件としてΔQMF>1.4の結果を得た.従ってプチスポットの起源マントルは島弧的なfO
2状態であると考えられる.
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