造園雑誌
Online ISSN : 2185-3053
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56 巻, 3 号
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  • 渡辺 達三
    1992 年56 巻3 号 p. 193-208
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    松平定信は致仕後, 自らを楽翁と号し浴恩園の整備を進め, そこにハスの品種を多数集め, それを観賞し, 蓮譜『清香譜』を完成させている。それまでは, ハスの品種観念も曖昧で, 品種数も数種とり上げられているたすぎなかったが, 『清香譜』では九十余種記載されていたといわれ。蓮譜史上, 画期的な意義を有する。しかし, その『清香譜』は戦後, 散逸し, その実像は明らかでない。また, 翁のハスの観賞についても, その実態についてはほとんど知られていない。そこで, 本稿では, 楽翁のハスの観賞の態度・あり様について, また, その大きな事績である『清香譜』について考察するものである。
  • 養父 志乃夫, 野村 圭佑, 藤田 明嗣
    1992 年56 巻3 号 p. 209-223
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    都市での生態系の潜在的な回復力を把握するため, 東京都荒川区の工場跡地 (約13ha) で植生と生物の定着の動向を調査した。その結果, ヒメガマやヨシ群落等が成立し, 鳥類63種, 両生類4種, 魚類7種, 甲殻類1種, 蜻蛉目30種, 鱗翅目27種のほか, 昆虫76種が定着, 飛来し, チョウゲンボウ, サギ類などの鳥類を高次消費者とする生態系が形成された。また, 工場跡地に対する種の移動経路として, 河川や緑地の存在が重要と考えられた。
  • 伊藤 太一
    1992 年56 巻3 号 p. 224-242
    発行日: 1992/12/25
    公開日: 2011/07/19
    ジャーナル フリー
    世界初の国立公園となったイエローストーンは, 自然環境を保全し公共的利用を確保するために成立したと言われている。本論では諸説ある成立過程を, これまでの研究成果にもとづいて整理。検証するとともに, 真実よりも理想化されたイメージの方が一般に知られるようになった理由を探った。まず成立過程に関しては, 自然環境の保全ではなく間欠泉などロマンティシズムやナショナリズムの対象となるモニュメントの私有化を阻止し観光を振興するのが動機であることが明らかになった。その後, 公園局などの関係者と公園に夢を託す人々による国立公園の成立過程やその理念の理想化が進められ, 国立公園の現実の「自然」と一般の人々の描く幻想としての「自然」とのギャップを助長する結果となった。
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