経営情報学会誌
Online ISSN : 2435-2209
Print ISSN : 0918-7324
25 巻, 3 号
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論文
  • 向 正道
    2016 年25 巻3 号 p. 141-167
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    資源ベース論は,多くの研究者によって実証研究が取り組まれることで,競争優位に対する資源の重要性について広く認められている.ただし,統計的な手法による要素資源の特定に焦点が当てられ,異種の複数資源がもたらす優位性や資源間の相乗効果,また経営環境の変化の中で,資源やその関係性がどのように変化していくかについて,具体的に示されているとは言いがたい.

    本稿では,ヤマト運輸の宅急便事業における,配送網,配送情報という二つの資源セットに着目し,情報システムの発展に伴い,これら資源が経営環境の変化を通じてどのように変化していくかについて考察を行う.考察を通じて,資源の組み合わせによって,どのように長く競争力が維持されているか理解を深めることが本稿の目的である.

  • 菊地 剛正, 國上 真章, 山田 隆志, 高橋 大志, 寺野 隆雄
    2016 年25 巻3 号 p. 169-185
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    金融危機に係る研究では,金融機関の破綻が金融システム全体に波及するリスク,いわゆる“システミック・リスク”に注目が集まっており,当該リスクの未然防止や拡大防止のために,中央銀行がどのような役割を果たすべきかについてさまざまな議論や研究がなされている.そこでは,中央銀行が資金供給等を積極的に行うことで危機の拡大を抑えることができるとの見方がある一方で,別のリスクを内包することに繋がるとの意見もある.本研究では,中央銀行によるインターバンク市場の機能代替の問題に注目する.エージェントモデルによるシミュレーション・プラットフォームを構築し,中央銀行の資金供給が連動的な破綻に与える影響の分析を行う.主な結果は以下の通り:1)中央銀行の資金供給は,資金繰り破綻を減少させることで連動的な破綻を抑制しうる,一方で,2)金融機関の資金調達が中央銀行へ依存するリスクや,3)本来市場から退出すべき金融機関が残存するリスク,が存在する.

  • 田口 壮輔, 大江 秋津, 岡田 幸彦
    2016 年25 巻3 号 p. 187-198
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究は,創業活動を主導するトップマネジメントチーム(TMT)の有する情報と情報処理能力に焦点をあて,そのあるべき情報処理過程を実証的に分析している.その際に,創業過程において重要なマイル・ストーンだと考えられる「実態に即したビジネスプラン」を有した状態に注目した.本研究の実証分析の結果から,TMTが過去のビジネス経験を有するほど,TMTの多様性が高いほど,情報収集活動とその活用活動を段階的に実施している新興企業ほど,人的な情報処理過程としての機会の深耕が効果的に行われ,「実態に即したビジネスプラン」を有するに至りやすいことが明らかとなった.これらの新たな知見は,新興企業だけでなく,経営資源が限られた経営体が新事業を構想する際に,どのように人的な情報システムを構築すべきかを議論する上で,意義あるものと考えられる.

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