経営情報学会誌
Online ISSN : 2435-2209
Print ISSN : 0918-7324
26 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
論文
  • 藤原 直広, 三川 健太, 後藤 正幸
    2017 年26 巻1 号 p. 1-16
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    近年,推薦システムの構築では確率的潜在クラスモデルである,Aspect Model(AM)の有効性が示されている.一般的にAMのパラメータは購買履歴を用いて推定されるが,現実のElectronic Commerce(EC)サイトでは購買履歴のデータ密度は非常に小さいことが通常である.一方で,多くのECサイトのユーザは,購入に至る前に,より多くのアイテムを閲覧し,比較検討した上で購入アイテムを決定しているのが一般的である.すなわち,購買履歴よりも遥かに多くの閲覧履歴がECサイトには残されるが,この閲覧履歴もユーザの嗜好を反映したデータとなっており,嗜好の類似したユーザの特徴を捉えるために活用し得る情報と考えられる.そのため,購買履歴に加え閲覧履歴を同時に用いることが出来れば,パラメータの推定精度の向上が期待できる.そこで本研究では,AMを基に閲覧及び購買行動を同時に表現する新たな潜在クラスモデルを提案する.実際のECサイトにおける購買履歴と閲覧履歴のデータに適用してその予測性能を比較すると共に,人工データを用いたシミュレーション実験を通じ,提案モデルの有効性を示す.

  • 森下 桂嗣, 増田 靖
    2017 年26 巻1 号 p. 17-41
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    新製品開発を円滑に進めるためには,精度の高い市場調査と組織内における情報共有化が重要である.本稿は,筆頭筆者が推進する新製品開発を研究対象として,「語り」の概念を援用した市場調査および物語の概念とICTの活用による情報共有化の有効性について調査した.まず,新製品開発の初期段階での市場調査において,市場や顧客に関する情報の意味を解釈するため,創発的ストーリーテリングという手法を開発し,顧客が新製品を利用するストーリーを手掛かりに市場調査を実践し,その有効性を確認した.次に,完成したストーリーを用いてICTを活用したストーリーテリングを実施し,市場調査から見出された新製品の価値に関する情報について,組織内で情報共有化を図った.ストーリーテリングとICTの互いの利点が効果的に機能することで,ICTを活用したストーリーテリングは情報共有化に有効であることが明らかとなった.

研究ノート
  • 渡部 和雄
    2017 年26 巻1 号 p. 43-58
    発行日: 2017/06/15
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル フリー

    パソコンやスマートフォンを使って,銀行口座の残高照会や振込手続き,金融商品の購入などができるインターネットバンキングは消費者にとっても,サービスを提供する金融機関にとっても利点が多い.そこで,金融機関が消費者にインターネットバンキングを利用促進するための示唆を得ることを目的に,利用者と非利用者のインターネットバンキングの長所,短所への意識の差異,インターネットバンキングとネットショッピングや情報収集に利用する各種メディア・ネットサービスとの関連に着目して,4つの仮説を立てた.そして,消費者調査を行い,調査結果について統計分析により仮説を検証した.その結果,インターネットバンキング利用者は非利用者よりも,ネットで商品・サービスを購入する傾向が強く,特にネットで買回品や高級品を購入する傾向が強いことがわかった.また,利用者は非利用者よりも情報収集に利用する各種メディアやネットサービスの利用頻度が高いことなどが判明した.検証結果にもとづいて,金融機関がインターネットバンキングの利用を促進するために行うべきこと,広告・宣伝などで利用するべきメディアやネットサービスなどを明らかにした.

feedback
Top