実験社会心理学研究
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22 巻, 1 号
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  • 認知者の自己概念および欲求との関連について
    林 文俊
    1982 年 22 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 人が他者のパーソナリティを認知する際の対人認知構造における個人差を, 認知者の自己概念および欲求と関連づけて分析したものである。
    被験者は大学生男女299名。対人認知構造の個人差を測定するために, 各被験者は8名の役割人物を20組の性格特性尺度上で評定することを求められた。また, 自己概念については長島ら (1966) のSelf-Differential Scaleが, 各人がもつ欲求体系についてはKG-SIV (Gordon・菊池, 1975) と土井・辻岡 (1979) に準じた検査が, それぞれ実施された。
    主な結果は, 次の2点である。
    1) INDSCALモデル (Carrll & Chang, 1970) による分析を通して得られた対人認知構造の個人差測度は, 7週間を隔てた再検査結果の分析でも, かなり高い安定性を示した。
    2) 他者認知に際して人がある次元を重視する程度は, その個人の自己概念や欲求体系とある程度の関連性をもつことが明らかになった。また, このような関連性のパターンには, 顕著な性差が認められた。
  • 大坊 郁夫
    1982 年 22 巻 1 号 p. 11-26
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 対面的な2人会話事態における発言と視線の時系列的な活動性の構造を, 話者の不安水準と対構成条件との関連で検討しようとするものである。
    あらかじめ, TaylorのMASによって高・中・低の3種類の不安者群を規定して短大・大学1年の女子学生各不安者群20名計60名を被験者とした。対面場面において・2人の組み合わせ計6通りを構成し, 会話実験を行った。被験者は互いに未知の者同士であり, 1回24分間の会話を日を変え, 各回異なる中程度の興味の話題で2回行った。本報告では, そのうち初回の記録を分析対象とした。
    言語活動性の指標としては, 時系列的に0次の4種類の状態 (同時沈黙, 同時発言, 2名各々の単独発言) を基本として, 各対の総発言時間, 発言総頻度や同時沈黙後の単独発言, さらに, 発言交代に関する2次の状態を用いた。視線活動性の指標としては, 4種類の0次状態 (相互視回避, 相互視, 2名各々の一方視) の他に, 相互視回避後の一方視をとりあげた。いずれも, 頻度, 度数平均時間, 総時間を測度として6分間毎の値を算出した。合計50指標を分析のために用いた。これらの指標値に主因子分析, Varimax回転法を適用し, その因子負荷量, 因子得点を算出した。
    因子分析の結果によると, 言語活動性と視線活動性とは因子的には独立の構造を各々示している。抽出された因子は, 言語活動性, 視線活動性各々についての共同的な活動性, 個体単独の活動性, 会話相手単独の活動性であり, さらに発言中断生起性, 個体単独, 相手単独の沈黙後発言の因子, 相手の発言持続-発言中断の強さの因子であった。なお, 言語活動性の因子次元は, 非対面会話事態での因子次元と類似している。
    話者間の不安水準差の有無 (不安落差群, 一致群) ごとに因子的特徴を比較すると, 共同的な活動性については, 発言面では, 不安落差群>不安一致群, 視線活動面では, 不安一致群>不安落差群の大小関係が認められた。個々の活動性については, 言語活動性では, 不安一致群>不安落差群, 視線活動性では, これと逆転した関係があり, 二重の相補的関係が認められた。
    発言と視線の動きとは独立のチャンネルを形成しているが, 相互作用者間の関係によって, 顕著な有機的関係を示すものであることが知られた。また, 不安落差群, 一致群間の判別的特徴を示す因子のなかでは, 個体発言, 中断の生起性因子, 共同的な言語活動性因子の有効性が視線活動牲よりも大きいことが知られた。
    両話者の個体単独の活動性を示す指標間の関係を比較すると, 一回あたりの単独発言時間は, 正の相関関係を示すものの, 発言の総時間については, 2名の間に負の相関関係があり, 会話全体としての一定の水準を保つ相補的な関係がみられる。また, 両者の視線活動性について, および言語活動牲と視線活動性との間にも話者間で弱いが相互依存的な関係が認められる。しかし, その関係は, 不安落差の有無という話者の対構成条件によって異なる。
    これらのことから, 単純な加算的見方ではないコミュニケーションの多次元的な研究の必要性, コミュニケーションにおける相互作用者間の関係の重要性が指摘できる。
  • Weinerのモデルの実験的検討
    広瀬 幸雄, 石井 徹, 木村 昌幸, 北田 隆
    1982 年 22 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    The purpose of this study is to examine experimentally Weiner's attributional model (1972, 1974) on achievement motivation. We intend to investigate how the degree of expectancy, negative affection and performance depend on the change of the causal attribution of faiure.
    The level of achievement needs (high or low achievement needs) was combined factorially with both noise condition (suppression or no influence) and trial condition (6 trials) in a 2×2×6 design with repeated measures. The suppression condition was intmduced by saying, “The task performance will be negatively influenced by white noise” prior to its tria1, and the no influence condition was introduced by saying, “The task performance will not be influenced by white noise. ”
    While exposed to white noise, fifty-one female under-graduates received six failure trials at digit-symbol substitution tasks in one of the above four conditions. After each trial, they made causal ascriptions for their failure and then evaluated the degree of negative affection and the degree of expectancy for success at the next trial.
    The principal findings were as follows;
    (a) Subjects low in achievement needs ascribed failure to low ability more than those high in achievement needs.
    (b) Subjects high in achievement needs tended to ascribe failure to low effort more than those low in achievement needs.
    (c) Subjects in the suppression condition ascribed failure to influence to white noise and bad luck.
    (d) The expectancy for success in the high achievement need condition was higher than that in the low achievement need condition.
    (e) In the low achievement need-no influence condition, the negative affection was stronger than that in the other conditions.
    (f) In the low achievement need-no influence condition, the task performance tended to be poorer than that in the other conditions.
    On the whole, the above results supported Weiner's model. But the result on the relation between the ascription of failure to luck of effort and the degree of negative affection was inconsistent with Weiner's model. Several issues on the negative affection were discussed.
  • 杉本 徹雄
    1982 年 22 巻 1 号 p. 37-48
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    多属性態度モデルは製品属性に基づいて消費者のブランドに対する態度の記述と予測を主目的としている。このモデルはRosenberg (1956) やFishbein (1963) の態度理論を消費者行動研究に適用したものであり, その過程で異なるモデルが提案され, モデルの概念化, 測定法, 分析手法などに多くの問題を派生させている。
    本研究ではFishbeinモデル, 適切-重要度P型モデル, 適切-重要度S型モデルと呼ばれる3つの線形相補型モデルを取りあげ, モデルの構成概念および予測妥当性の検討を行なった。各モデルともAjni=1aibijという形で定式化される。Ajはブランドjに対する態度, nは属性の数である。ai成分についてFishbeinモデルは属性iの重要度, bij成分についてFishbeinモデルとP型モデルはブランドjが属性iを有することについての信念の強さ, S型モデルはブランドjに関する属性iの満足度である。Fishbeinモデルは両成分が両極尺度, P型・S型モデルは単極尺度が仮定されている。
    実験Iでは分散分析パラダイム (Bettman et al., 1975a) により, 被験者に用いられる各成分の結合パタンを明らかにし, モデルの仮定への適合性を比較した。実験IIでは実際の競合ブランドに対する態度の予測力を個人単位法とクロス・セクション法の双方から検討した。Fishbeinモデルは信念成分と評価成分を両極尺度で乗算するという仮定に74.6%の被験者が適合し, 3モデルの中で最も高い構成概念妥当性を示した。予測妥当性もS型モデルに比較すれば劣るものの, 個人単位法, クロス・セクション法のいずれにおいても2成分の乗算手続が仮定どおりに有効に機能していることが確認された。したがって, 3モデルの中ではFishbeinモデルの妥当性が総合的に最も高いことが示唆される。
    P型モデルは重要度成分と信念成分の結合パタンに高い異質性が見られ, 両成分を単極尺度で乗算するという仮定に適合する被験者は12.5%である。個人単位法では2成分を乗じることにより有意に予測力を高めたが, 被験者の異質性が除去されないクロス・セクション法では重要度成分の包含によって有意に予測力を低下させ, 3つのモデルの中では最も低い予測力しか示さなかった。モデルの仮定には大きな疑問があることが示唆される。
    S型モデルは両成分を単極尺度で乗算するという仮定に適合した被験者はわずかに4.7%であったが, 予測力は3モデルの中で最も強かった。これは満足度成分は全体的態度と極めて類似した成分であり, その規定因として強く作用していることによって確認された。満足度成分に重要度成分を乗じることは適切でないとするCohen et al. (1972) のS型モデルへの概念的批判が実証的に裏付けられた。満足度成分の単純加算スコアによって態度の予測力は充分保持されることが示唆される。
  • 三隅 二不二, 佐古 秀一
    1982 年 22 巻 1 号 p. 49-59
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究は, 模擬的緊急事態において, 誘導者 (リーダー) の指示行動が, 被誘導者の誘導者に対する追随行動におよぼす効果を実験的に吟味したものである。
    被験者は, モニターテレビに表示された自己の点をスイッチで操作し移動させ, 出口を発見して脱出するという課題を与えられた。ただし, 被験者は, 制限時間内に脱出できなければ, 電気ショックが与えられる危機的状況に置かれた。
    5人の被験者と1人のサクラからなる6人集団を構成した。このサクラが誘導者として指名された。実験条件は, サクラが試行中に脱出方向についての指示のみを行なう条件 (脱出方向指示のみの条件), この脱出方向指示に加えて, 試行開始直後に被誘導者の情緒を安定させる指示を行なう条件 (初期情緒安定指示条件), 試行中期に情緒を安定させる指示を行なう条件 (中期情緒安定指示条件), サクラが指示行動を行なわない条件 (コントロール条件) の4条件であった。従属変数は, サクラの点と5人の被験者の点の画面上の距離 (被誘導者の誘導者からの離反度) と, 5人の被験者相互の距離 (被誘導者の分散度) を測定した。この2つの変数は, 試行中の21の時点で測定した。
    実験結果は次のとおりであった。
    1. 誘導者からの離反度および被誘導者の分散度のいずれも, 4条件中, 初期情緒安定指示条件下において最小となり, コントロール条件下において最大となった。中期情緒安定指示条件下においては, 脱出方向指示のみの条件とほぼ同程度の離反度, 分散度を示した。
    2. 事後調査の結果から, 誘導者の情緒安定指示については, 初期情緒安定指示条件は, 中期情緒安定指示条件よりも, 多数の被験者によって認知される傾向が見出された。
  • 横川 和章, 上野 徳美
    1982 年 22 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 集団極化現象の生起するメカニズムについて, 社会的比較説の立場から検討することであった。特に, 能力比較を基礎とした意見の比較が, 同質的集団内で生起する極化現象のメカニズムとして意味があるか否かを検討した。
    被験者は83名で, 彼らは, 比較の対象となる他者が高い能力をもつ条件 (H条件), 平均的な能力をもつ条件 (M条件) の実験条件, および統制条件にそれぞれ無作為に割り当てられた。実験条件の被験者は, 他者の意見 (アドバイスの平均値) に接触した。比較の対象となる他者は同じクラスの学生であった。材料としてはCDQ (Choice Dilemma Questionnaire) 4事例が用いられた。主な結果は以下の通りであった。事例1では, H条件においてriskyな方向への意見変化がみられた。すなわち高能力の他者との比較を通して極化現象が生起した。事例3でも同様にH条件においてriskyな方向への意見変化がみられた。また, アドバイスの初期態度の位置によって極化の程度が異なる傾向にあった。
    以上の結果は, 能力比較を基礎とした意見の比較が起こり得ることを示しており, 自分よりある程度能力の高い他者との比較を通して集団極化現象が生起することを示唆するものであった。また, 筆者らの前研究との考察において, 比較他者の属する集団の性質, すなわち, 被験者にとって同質的であるか, 異質的であるかによって集団極化現象の生起の様相の異なることが示唆された。
  • HISATAKA FURUKAWA
    1982 年 22 巻 1 号 p. 69-80
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • JACQUES ARDOINO
    1982 年 22 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 1982/08/20
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 22 巻 1 号 p. 93a
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 22 巻 1 号 p. 93b
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 22 巻 1 号 p. 93c
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 22 巻 1 号 p. 93d
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 22 巻 1 号 p. 93e
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 22 巻 1 号 p. 93f
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 22 巻 1 号 p. 93g
    発行日: 1982年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
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