腎臓病療養指導において薬剤師は外来・入院を問わず検査値と薬歴を調査し、より適正な使用量・他剤への変更依頼、処方内容の適正化または服薬アドヒアランス向上などに努めている。今回、薬剤師による保存期腎臓病患者を対象とした腎臓病療養指導における介入の効果を後方視的に調査した。
2015年4月-2019年3月に光晴会病院腎臓内科へ紹介のあった患者から、3か月以上継続して通院し、推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate; eGFR) を2回以上測定した2015年4月-2017年3月の薬剤師非介入群44例と2017年4月-2019年3月の薬剤師介入群45例の腎機能の変化を比較した。
腎機能eGFRの3か月後の比較では薬剤師非介入群と介入群の両群の腎機能の改善には差がみられなかったが、薬剤師非介入群ではeGFRが低下する傾向がみられた。eGFRが10%以上改善した患者を比較すると薬剤師非介入群は5例11%、薬剤師介入群15例33%で薬剤師介入群の方が有意に改善率が高かった(p=0.03)。薬剤師の介入は服薬アドヒアランス向上のための服薬指導8例、他の医療機関からのビタミンD製剤中止が5例、NSAIDs定時処方から頓用への変更2例、血圧コントロールの改善3例であった。保存期腎臓病患者に対して、薬剤師が医師と協働して検査値と処方内容の適正化、服薬アドヒアランス向上に努めることは腎機能悪化要因の除去につながり腎機能の悪化防止につながることが示唆された。
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