末期CKD患者が腎代替療法の選択肢を理解・納得して選択することは重要となっているが、95%が血液透析を選択している現状がある。一方、血液透析患者の増加に対して、各学協会が認定制度を立ち上げている。しかしながら、これらの認定資格取得の有無が、腎代替療法の選択への適切な関わりに違いをもたらすかが明確でない。そこで、これらの違いを明らかにするために、腎移植についての意識・知識を認定資格の有無により比較した。
2020年12月1日~2023年8月23日に関西腎と薬剤研究会の会員に登録した607名を対象とした。腎代替療法に関する意識及び腎代替療法の選択に必要な腎移植に関する知識を確認した後、短時間の動画にて固定観念の危険性や腎移植に関する知識の必要性を確認し、再度意識調査を実施した。
認定資格を有する薬剤師は、有さない薬剤師と比較して、移植後の妊娠・出産、ドナー条件、血液型不適合に関して理解度が有意に高かった。一方で、服薬指導時において「透析にならないように」という言葉の使用、腎代替療法選択に必要なドナーの保険・献腎登録の優先提供意思表示の知識、臓器提供意思表示率は、両群間で有意差を認めなかった。認定資格を有さない薬剤師は、動画視聴により有意に学習の必要性の認識が高まり、腎代替療法は血液透析という固定観念は減少した。認定資格を有する薬剤師は、動画視聴後において、「透析にならないように」という言葉を今後使用しないという意志が、認定資格を有さない薬剤師よりも有意に低かった。
認定資格を有さない薬剤師は、短時間の動画視聴が有効であった。対するに、認定資格を有する薬剤師は、知識・職務として腎代替療法の選択について理解を有しているものの、「選択に正しくかかわる」ことに関して、十分に意識できていない可能性が伺えた。
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