スポーツ社会学研究
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15 巻
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  • 町村 敬志
    15 巻 (2007) p. 3-16
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    2006年、東京都は2016年オリンピックの国内候補都市に選定され、招致活動をスタートさせた。なぜ今、オリンピックなのか。その背景にあるのは、単にナショナリズムを政治的に利用しようとする都知事の意向だけではない。1960年以降のオリンピック開催都市を経済発展の段階 (アメリカ合衆国の一人当たりGDPに対する比率) に基づいて分類すると、それらは、「2割国型の首都」による国家の威信発揚オリンピック、「6割国型の非首都」による成長する広域圏中心都市オリンピック、そして「10割国型の非首都」によるグローバル・シティ・セールス志向のオリンピックに分けられる。これに対して、2012年の開催決定都市ロンドンとそのライバル都市群、そして2016年に立候補した東京は、半世紀間で初めての「10割国型の首都」オリンピックをいずれもめざしていた。このようにグローバル・シティが第2ラウンドのオリンピックへと回帰してきた背景には、1)ポスト・モダニティの都市戦略、2) グローバル都市化、3) 都市間競争の激化、4) 経済再活性化といったねらいがある。そしてそれらの先には、21世紀に入って、グローバリゼーションとネオリベラリズムの限界を敏感に感じ取ったグローバル・シティと国家によるメガ・イベントを介した連携という新しい構図が存在している。いまや、国家の祝祭ならぬ「競争力の祝祭」となったメガ・イベントは、新しいネオリベラルな都市レジーム形成に向けたアジェンダ設定力自体を競うグローバル・シティ間のコンテストの場でもある。2016年のオリンピックが実際に開催されるかどうかに関わらず、都市を舞台とするメガ・イベントはすでにスタートを切っている。未だきわめて乏しい想像力しか持ち合わせていない新しい「東京オリンピック」ははたして本当に必要なのか。メガ・イベント政治がどのような影響を都市社会にもたらしていくのかを再検討する必要がある。
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  • チョン ヒジュン, トンプソン リー
    15 巻 (2007) p. 17-24
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本稿は、2002年サッカーワールドカップが韓国社会にもたらした劇的な社会政治的影響を分析し、それに基づいて2006年大会を考察する。
    2002年ワールドカップ大会は保守的な影響と進歩的な影響、という両方の逆説的影響があった。韓国代表チームの成功とその結果として生まれた応援は、長らく権威主義と家父長制的保守主義に支配されていた韓国に、革新的政権が誕生する決定的な要因であった。ワールドカップは階級や地域や性別などに分裂していた韓国社会を統合することができた。しかし、その統合はナショナリズムによるものであった。韓国代表の勝利によって引き起こされた狂気は、一部の知識人にはファシズムの現れとみなされた。レッドデビル現象の特徴は盲目的な愛国主義と歪曲されたナショナリズムが、政治的無関心を煽り個人の主体性を抑制する群集心理であった。それに加え、開催期間中に起こった多くの重要な政治的社会的出来事は、メディアによって無視され、忘れられたりもした。
    2002年に比べて2006年ワールドカップは、それと違う体験を韓国の人々に与えた。代表チームが勝ち進むにつれて国中が次第に熱狂していった2002年に対して、2006年には開催の数ヶ月前から様々な問題が出始めた。特に、民間放送局による全面的放送はチャネルを選ぶ権利を視聴者から奪った。メディアと資本とスポーツの三角同盟には研究しなければならない問題がたくさんある。
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  • 渡 正
    15 巻 (2007) p. 25-38
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本稿は車椅子バスケットボールを対象として、そのスポーツとしての「固有性」と「面白さ」がどのように達成されているかを、クラス分けというルールに焦点を当て論じたものである。ルールに関心を向ける理由としては、当事者の実践を支えているのがルールであること、またルールによって個々の行為が実践として意味あるものになるためである。
    個々のスポーツの「面白さ」は、課せられた条件を戦略的に克服していく過程にある。そしてその「条件を課す」のがルールである。そのためクラス分けのルールが車椅子バスケットにおいて、どのように構成されているのかを考えることで、車椅子バスケットの「面白さ」・「固有性」も見えてくる。
    車椅子バスケットボールのクラス分けは「各人のインペアメントを持ち点とみなす」という構成的ルールである。日常において「できない」とされるものを、持ち点という形で車椅子バスケットにおける「できること」へと変換する。試合中の5人の持ち点の合計が14点を超えてはならないというクラス分けの規定は、試合において持ち点の違いという形ではあるが、コート上にいる選手の身体の平等を達成してはいないといえるのである。だがこれこそチームの持ち点構成や他のルール、さらには車椅子という「固定的な幅」をも視野に入れた車椅子バスケットの戦術性を生み出し、それに伴う面白さを作りだす。
    クラス分けはこの意味で、車椅子バスケット独自の「面白さ」を生むための構成的な要件であり、車椅子バスケットの「固有性」の前提を生み出しているといえることを論じる。それには、スポーツのもつ「勝ち/負け」のコード、競争という要素の存在が重要であることを指摘した。
    最終的には、本稿は、記録の達成や競争での勝敗を単純に否定してしまわない、つまりスポーツのもつ「勝ち/負け」というコードを中心に据えた adapted sports の可能性を指摘する。
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  • 王 篠卉
    15 巻 (2007) p. 39-51
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本稿は、中国ナショナルチームに所属した男子高飛び込み選手である田亮の「除名事件」を手がかりに、「改革開放」の過渡期にある中国スポーツ選手が従来の「国家的英雄」から「大衆的スター」として社会に受け入れられることを通し、市場経済が引き続き成長する社会背景の下で、「国家」の政治性が漸次的に衰退しつつある中国におけるスポーツ改革の現状が今後どのように変化していくのかについて分析するものである。
    田亮は「挙国体制」下の中国で育てられたオリンピック金メダリストであり、中国スポーツにおける代表的な「国家的英雄」であった。国家は彼のようなオリンピック金メダリストらを理想的な「中国人」の像として形作り、ナショナルアイデンティティの具現化に役立たせた。
    一方、「改革開放」政策の進展にしたがって、国家の権力により統制されたスポーツの「挙国体制」に対峙して「スポーツ市場」が成立し、拡大しつつある。経済面でのメリットを図る国家は、田をそこに送り出したが、メディアによって田のイメージが作り直され、「国家的英雄」像に全くそぐわないものとなった。「国家」はこれを理由として田をナショナルチームから除名したが、それにもかかわらず、彼は「大衆的スター」としてスポーツ市場のメカニズムの中で人々に認められるようになった。
    田の「除名事件」は中国スポーツ改革の軋轢を反映する事件であり、そのうえ、彼が国家から見放された後でも「大衆的スター」として社会に受容されることは、市場経済の影響で進化しつつある社会に対して、「国家」が徐々に支配し得なくなる現状を語っている象徴的な例でもある。このような状況における中国のスポーツ改革は今後いかに改革の方向を調整するか、これについて、本稿は最後に明らかにした。
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  • 松村 和則
    15 巻 (2007) p. 52-54
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 西山 哲郎
    15 巻 (2007) p. 55-69
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は、ひとつには、グローバル化と情報化の進展によって脱中心的な編成をされるようになった現在を把握するために、有機体論的な社会モデルの代わりに、多次元的な空間モデルを提案することである。もうひとつの目的は、その空間モデルを使って、現代の都市生活に対するスペクテイタースポーツの意義を再考することである。
    このふたつの目的のどちらにとっても、次のふたつの対立軸が重要と考えられる。
    1. 情報化の発展にともなう、現実のヴァーチャル化と人格の断片化の進展 (あるいは役割を状況依存的に組み合わせただけの自己の出現) と、それに対する反発としての真性さと統一されたアイデンティティへの希求
    2. 経済のグローバル化による消費者文化と個人主義の強化と、それに対する抵抗としての当事者性と共同体への憧憬
    これらふたつの対立軸は、それぞれがさらに二つの次元によって構成されているが、現代の都市空間は、これら4つの次元によって引き裂かれ、同時にそれらの多次元的な連結によって支えられている。この連結のトポロジカルな構造 (あるいは運動) は、そこではある表出行為が容易に裏返しの効果と結びつく点において、「クラインの壺」にたとえるのが適切と思われる。
    本稿では、スポーツスペクテイターの実践を手がかりに、上記のメカニズムをシミュレートすることで、現代における都市空間の編成を描出したい。
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  • 田中 研之輔
    15 巻 (2007) p. 71-85
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    若者下位文化研究の到達点であるポストサブカルチャーズ論は、“構造的に埋め込まれた不平等”という社会的コンテクストを看過している。この点を補う視角として注目されているのが、社会的排除論である。本稿では、以下の三点に留意して若者下位文化研究に社会的排除論の視角を導入していく。
    第一に、社会的に不安定な境遇にあるとする若者を「新たな貧困層」として捉えるのではなく、「新たな社会層」として対象化すること。第二に、新たな貧困が社会的排除を生み出すという政策学的解釈図式から、新たな貧困と社会的排除がいかに相互に結びつきあっているのかを解き明かす社会学的関係図式へと認識論的に転回させること。第三に、プロセスとしての社会的排除が、たんに、グローバルな構造的要因によって暴力的に生み出されるものだけでなくて、ローカルな文脈のなかで、日々の営みをつうじて、生み出され、再生産される日常的な排除であると捉え直すこと。
    具体的に本稿では、2001年以降、筆者が継続してきた土浦駅西口広場を利用する若年下位文化集団のフィールドワークのデータから、三人の若者の個人史的経路をとりあげる。三人に共通するのは、学校文化の対抗的で反抗的な担い手となるわけでもなく、地元の下請け工場に従順に組み込まれていくことも拒んできたことである。彼らは、ただただ、その状況に打ち負かされているわけでもなく、文化的生活に没入することで現実から逃避しているわけでもない。担い手たちは、それまで獲得してきた下位文化的身体資本をそれぞれにいかしながら、現状を打開しつつある。
    つまり、この国の社会的排除とは、若者の文化的行為を中軸とした日常生活に埋め込まれている、いわば、間隙を幾重にもかかえる脆い構造として存立し始めているにすぎない。本稿の意義は、ポストサブカルチャーズ論の文化論的分析と社会的排除論の視角を架橋する関係論的記述に社会学的な社会的排除論の今後の展望を見出した点にある。
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  • 石岡 丈昇
    15 巻 (2007) p. 87-102
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
    社会経済的貧困下におけるスポーツ実践は、定型化されたいくつかの語り口に添ってこれまで論じられてきた。スポーツが社会問題を隠蔽する「アヘン」として機能することを論じるもの、階級闘争の賭金すなわち「闘争のアリーナ」として論じるもの、また支配者階級の干渉外に置かれた民衆文化の独自の生成空間とする「オープン・カルチュラル・スペース」として論じるものなどである。これらの語り口は、スポーツを貧者の社会参画の手段として位置づける点で共通している。
    本稿は、これらとは異なる議論前提に立って、社会経済的貧困下におけるスポーツ実践を論ずる試みである。すなわち、担い手が自身の生活を創り上げるための技法として、スポーツを実践する点を例証する。理論的背景として、ロイック・ヴァカンの言う「緩衝空間」概念を挿入する。スポーツ実践の社会的意味を、社会参画という、担い手自身の認識から離脱した地点から論断する手法によってではなく、担い手の認識そのものを再構成する地点から問い直す上で、ヴァカンの提示する概念が有効だからである。
    事例として、フィリピン・マニラ首都圏のパラニャーケ市にあるEボクシングジムを取り上げる。このジムにボクサー以外の人びとが多数居座ることの論理の解明を通じて、ジムがボクサーとその所帯にとっての生活保障空間として定位していることを論じる。
    そこから本稿は、社会経済的貧困下におけるスポーツ実践を論ずるための語り口として、担い手の生活の「無事」という視角を中核に据えた研究の必要性を述べる。社会参画としてスポーツを捉える研究は、貧者の現在の暮らしをネガティブにしか論じられない。「無事」の志向こそが貧者の論理であることを示すことによって、彼らの暮らしを絶え間ない創造の過程として捉えることが可能になり、生活実践としてスポーツを論じる地平が切り開かれることを述べる。
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  • 15 巻 (2007) p. 136b
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
  • 15 巻 (2007) p. 136a
    公開日: 2011/05/30
    ジャーナル フリー
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