日本医科大学雑誌
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52 巻, 1 号
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  • Supatra Peerakome, Somboon Suprasert, Pannee Siributr, Sangthong Kumth ...
    1985 年52 巻1 号 p. 3-9
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Fifty-nine school children at Wat Kau Khum (WKK) School, Chiang Mai Province, and 52 children and their parents under the care of the Comprehensive Child Care Clinic (CCCC), Chiang Mai University were tested for HBsAg and anti-HBc in their blood. Eighteen HBsAg-positive specimens were tested also for HBeAg and anti-HBe. Determinations of the HBV-serological markers were done by using the enzyme-linded immunosorbent assay (ELISA) . HBsAg was found in 27.0% (17/63) of the children at WKK, in 7.6% (4/53) of the children and 5.4% (3/56) of the parents at CCCC. Twenty percent (3/15) of HBsAg-positive children at WKK were HBeAg-positive. Anti-HBc was positive in 45.0% of the children at WKK and in 47.3 to 52.0% of the children and parents at CCCC, but percentages of anti-HBc positive were estimated at 86.7% for WKK and 84.6 to 93.9% for CCCC, if border-line values were referred to as positive. This means more than 50% of the study subjects had a history of HBV infection. Study on paired sera from children and parents at CCCC revealed that 92.0% (46/50) of the children from HBsAg-negative parents were free from the antigen, and 68.0% (17/25) of the children from anti-HBc-positive parents were positive for the antibody, whereas only 20.0% (1/5) of the children from anti-HBc-negative parents had the antibody.
  • 特に肝hypoxiaとの関係について
    赤池 正博
    1985 年52 巻1 号 p. 10-19
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    SGLDHの主として, 肝局在性障害診断の意義を検討し下記のごとき結論を得た.
    1) 健常者男性89例, 女性44例の早朝空腹時SGLDH活性は男性2.5±1.1mU/ml, 女性1.7±0.4mU/mlで男性のほうが有意 (p<0.001) に高く, 性差がみられた. これら対象例中から飲酒者を除外して比較しても同様に性差がみられた.
    2) 健常者男性で, 飲酒による影響をみるために, 毎日飲酒する者と非飲酒者のSGLDHを比較したところ, 飲酒者39名のそれは2.9±1.4mU/ml, 非飲酒者39例のそれは2.3±0.8mU/mlで, p<0.05の危険率で飲酒者群のほうが有意に高値であった.
    3) AMI41例においてSGLDHの高値は56.1%にみられ, かつ胸痛出現9時間後に最高値をとり以後漸減した.
    4) AMIの重症度をKillip & Kimball分類によって分け, これとSGLDHとの関係を検討したところ有意の正の相関関係を認めた. また経過中, 一過性に重症不整脈を生じた例は生じなかった例に比べ, SGLDHが有意に高値であった.
    5) AMI例において心血行動態の指標とSGLDHの関係を検討したところ, 中心静脈圧とのみ有意 (p<0.05) の正の相関関係をみた.
    6) AMI以外の疾患によるうっ血性心不全で静脈圧が10cmH2Oをこえる22例のSGLDHは6.7±3.4mU/mlで90.9%に高値を呈した.
    7) ウサギ5羽に低酸素負荷を行い, 経時的にSGLDH, SGOT, SGPTを測定したところ, SGLDHが最も早期から上昇し, AMI例にみられたのと同様の成績を得た.
    以上, ハイポキシアによる肝小葉中心性障害の早期発見にはSGLDHの測定が, SGOT, SGPTの測定よりはるかに有用であることが示唆される.
  • 山田 光昭
    1985 年52 巻1 号 p. 20-38
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    日本医大東南アジア医学研究会第11~16次調査団によって, 1977~1982年にタイ国のBangkokおよびChiang Mai Provinceにおいて0~72歳の被検者から採取された血清試料, 1,523検体についてVero細胞を用いたmicro法により血中ポリオ中和抗体価を測定し, それに基づく血清疫学調査成績を述べ, さらにワクチン接種効果についても言及した.
    1) OPVを100%接種されている集団を除いた全検体における抗体陽性率は, 1型86.5%, 2型86.6%, 3型80.5%で, 1型が2型と同率である熱帯地方の特徴を示し, 山間部では3型に対し高い陽性率がみられた.
    2) 抗体陽性率は, 全員がポリオワクチン接種を受けているChiang Mai大学小児保健施設1982 CCCCの試料を除いて集計すると, 母児免疫の失われることにより1歳児では1~3型とも0~40%と低いが, その後1型では4歳100%, 2型では8歳90.6%, 3型では5歳66.8%および7歳100%と有意差のみられる上昇を示し, 以後は各型とも75~100%であった.
    3) 陽性血清 (≧1: 4) の幾何平均抗体価 (log2GM) は1982 CCCCを除いて集計すると, 2型は1歳未満6.07で, 1型3.78, 3型3.14に比べて高く, 1~5歳では, 1型6.00, 2型5.91, 3型5.35で, 型間に有意差を認めなかった. 6歳以後では, 1, 2型は, ほぼ近似した傾向で, 抗体価の加齢による有意差は両型において認めなかったが, 3型は6~19歳で1, 2型より低く, 20歳以上は加齢とともに上昇した.
    4) 抗体保有状況の居住地域による差を, 明白なワクチン接種歴のあるヒトからの試料を除いて検討したところ, Chiang Maiの小児に比較的高い抗体レベルがみられ, それぞれ相互に隔絶した地理的位置にある高地部落の住民については, 抗体レベルの地域差が明らかに認められた.
    5) 100%ワクチン接種の記録のあるCCCC管理の小児とワクチン接種歴のない小児集団との比較では, 抗体陽性率においてCCCCが高かったが, 陽性血清の平均抗体価はCCCCが低値を示した.
    6) CCCCにおいては2型の抗体陽性率が1, 3型に比べて高く, またポリオの各型すべてに対して抗体を保有するもの (完全防御) の割合も高く, 一般にワクチン接種集団にみられる特徴と一致した.
    7) CCCCとその親であるFCCCとの間に血中抗体価の相関は認めなかった.
    8) ワクチン接種を受けたことのないチェンマイ市内の小中学校の生徒に対するワクチン接種実験で, 接種後の抗体陽性率は各型とも100%を示し, 陽性血清の平均抗体価は, 各型とも対照群に比べ有意に上昇した. また接種6ヵ月後に接種前の4倍以上の抗体価上昇を示したものは, 2, 3型において対照群より有意に高かった.
    9) Chiang Mai市内の実業学校の生徒および教員の抗体陽性率は各型ともやや低値を示したが, これはこの集団の94.4%は女性であったことにより説明される.
  • 異常気象を中心としての解析
    島田 弘量
    1985 年52 巻1 号 p. 39-48
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    1983年11月~1984年3月にかけての全国のインフルエンザの流行と東京地域の同疾患の流行とを比較検討し, 次のような成績が得られた.
    1) 全国の同疾患の患者発生のピーク期は1984年1月下旬から2月上旬に認められ, 最近の傾向とおおむね一致していた.
    2) しかし, 東京地域での同流行のピーク期は1983年12月の第50週に認められ, 全国的傾向とは著しい時間差で認められた.
    3) 1) および2) の流行はウイルス学的にAソ連型ウイルスによる流行であった.
    1) と2) の流行の時間差について福岡地域を対照に気象学的に検討し, 次のような成績が得られた.
    4) 平均気温の上では両地域とも平年に比較して今季は異常低温で流行期を経過したことが認められたが, 地域間に差は認められなかった.
    5) 平均相対湿度50%以下の日数 (11月から12月末の間) をみると, 東京地域は平年同期および福岡地域の今季と比較しても有意にその割合の多いことが認められた.
    6) 平均相対湿度60%以上の日数 (1月から3月末の間) は東京地域で平年に比べて今季のほうが有意に多く認められた.
    7) 以上のごとく, 今季の全国と東京地域のインフルエンザ流行との間に生じたピーク期の時間差に, 平均相対湿度50%以下の日数の占める割合に強い関連性の存在が考えられた.
    このことは, 山地15,16) によって検討されていた東南アジアの雨季におけるインフルエンザウイルスの温存理由が, 温度条件を越えた湿度条件によって一部解明できたと考える.
  • 大須賀 勝
    1985 年52 巻1 号 p. 49-57
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ウシガエル肝臓mitochondriaよりlysosome成分Vを含まないmitoplastを調製し, このmatrix画分中のprotease活性について検討し次の結果を得た.
    1) mitoplastのprotease活性は主としてmatrix画分に局在しているものと考えられた. このprotease活性はpH 8.5を至適pHとし, iodoacetamideで処理すると大部分の活性が消失した.
    2) このprotease活性はleupeptin, antipain, chymostatin, E 64-Cにより強力に阻害されたが, pepstatinによって阻害されなかった. また金属イオン (Na+, K+, Mg2+, Ca2+) の添加によって変化せず, EDTAの添加によって増強した.
    3) アミノ酸修飾試薬であるp-chloromercuriben-zoate, iodoacetamicle, dithionitrobenzoateの添加によりこの活性は著しく減少した. 同様にphenylmethyl-sulfonylfluorideはわずかに阻害効果を示し, diethyl-gyrocarbonateは全く効果を示さなかった. これらの事実から本活性は主としてthiol proteaseに由来するものと思われた.
    4) このprotease活性はethylene glycol, glyce-rol, sodium lauryl sulfate, Triton X-100, polyethy-lene glycolの添加によって低下した.
    5) 本酵素活性はmitochondria蛋白質の中で特にcytochrome c oxidaseに対する作用が著明であった.
  • 特に心血行動態との関係について
    田中 啓治
    1985 年52 巻1 号 p. 58-72
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    AMI 47例を対象として, BS, 血中IRI, IRG, 総CAを測定, 心血行動態と対比し, 以下の成績を得た.
    1) 梗塞後BSの上昇は, 梗塞範囲の大なるもの, 予後不良のものに著明であった.
    2) 糖尿病既往の有無にかかわらず, BSとCAはKillip分類よりみた心不全の程度が重篤なものほど高値であった.
    3) IRIは, 心原性ショックを呈するKillip 4群において上昇, IRGは糖尿病既往群のしかも心原性ショックを有するもので高値を示した.
    4) BSはHR, CVP, CIおよびSVIとの間に有意な単相関関係が認められたが, 重回帰分析によると, 特にSVIの低いものほど高値を示した.
    5) IRIはHR, CVP, CI, SVIと, IRGはCVPとそれぞれ有意な単相関関係が認められたが, 重回帰分析によれば, IRIもIRGもCVPが高いほど高値を来し, この関係は糖尿病既往群においてより顕著であった.
    6) CAはHR, PCWP, CVP, SVIとの間に有意の単相関関係を有し, 重回帰分析にてHRが高いほど (糖尿病非既往例ではSVIが低いほど) 高値であった.
    7) 上記重回帰分析によれば, 糖代謝に対する心血行動態の寄与率はおよそ20~30%である.
    8) 心血行動態各パラメータのうち, 特に糖代謝と関係の深かったCVPとSVIを選び, 棄却楕円を用いて検討するに, これらに異常の認められた症例のうち, 79%が糖代謝に関する四つのパラメータのいずれかによっても異常と判定された.
    9) かかる心血行動態の異常を判別しうる実数値を算出したところ, BS 210mg/ml, IRI 32iu/ml, IRG342pg/ml, CA 0.77ng/mlが得られた.
    10) 経日的変化をみるに, BSは第1病日が最も高く, 以後漸減した. 経過中, 上記循環動態と判別しうるBS 210mg/dlを超えた症例の93%の心血行動態は異常を示し, 53%が死亡した.
    11) IRIはBS同様, 第1病日が最も高く, 第7病日には有意に低下したが, 第14病日には再び増加した. また, IRI 32iu/mlを超えた症例の94%の心血行動態は異常を示し, 44%が死亡した.
    12) IRGは第3病日に最も高値を呈し, 以後徐々に低下した. 前述のIRG 342pg/mlを超えた症例の88%は心血行動態に異常が認められ, その死亡率は50%であった.
    13) CAは第2病日が最も高く, 病日とともに低下した. 経過中, CA 0.77ng/mlを超えた例の93%の心血行動態は異常を示し36%の死亡率であった.
  • 小林 明子
    1985 年52 巻1 号 p. 73-79
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    浅在性白癬の一型である頑癬について病巣角層を表層より下層にかけて, スティックテープで剥離し, 得られた標本中の白癬菌の寄生形態を走査電顕により観察した. 得られた結果をまとめると以下のごとくである.
    1) 角層の表層においては長い菌糸型が多く分岐も著明であり, 中層より下層にかけて菌糸隔壁間の間隔が狭く分節化が起こり, 下層においては分節胞子を認める.
    2) 角層における白癬菌の形態上の変化は, 菌と生体のhost-parasite relationshipの上に成り立つものと考えられ, 菌は生体環境に応じ菌糸→胞子→菌糸の形をとり, 角層の中で循環しつつその生命を維持するものと考えられる.
    3) 白癬菌は角質細胞に密着して縦横に伸展しあるいは角層にトンネルを作って進む. しかし細胞間を選んで菌が生成する所見はない.
    4) 角層に寄生した菌が剥離したあとには, 菌体に相当した凹溝が認められるが, 凹溝の状況から菌は角質細胞に堅固に密着するものではない.
  • 田尻 孝, 金 徳栄, 本多 一義, 西川 博, 細井 盛一, 金子 仁
    1985 年52 巻1 号 p. 80-84
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
  • 薩田 清明, 真壁 明子, 小川 真利子, 林 輝男, 乘木 秀夫, 高 明善, 大川 共一, 西邑 信男
    1985 年52 巻1 号 p. 85-88
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    本学中央手術室で関係者の術前の手洗い消毒に利用しているイソジン, ヒビスクラブの殺菌効果について検討した. その結果イソジンは本検討に用いたいずれの菌種に対しても強い殺菌効果を認めた. 一方, ヒビスクラブもイソジンとほとんど同様の効果を認めるが, Pseudomonas cepacia, Achromobacter xylosoxi-dansの2菌種に対する効果はほとんど認められなかった. また, 手型法による検討では14名中手洗い消毒の不十分と思われるヒトが1名に認められた.
  • 飯田 和美, 平井 敏之, 岩城 弘子, 藤田 敬四郎, 丸山 千里, 三宅 章彦, 新村 秀一
    1985 年52 巻1 号 p. 89-94
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    SSMの悪性腫瘍患者に対する延命効果を評価するため, 昭和54年4月~昭和56年12月の間にSSMの投与を受けた症例のうちから, 一定の条件を満足する3,838例を抽出した. 次にこれらの症例を手術後SSM療法開始までの期間別に分け, そのうちの手術後3ヵ月未満の間にSSM投与を開始した群 (A群) と, 7ヵ月以上12ヵ月未満の間に開始した群 (C群) の2群間で比較した.
    この両群について, 手術後12ヵ月の時点の余命を手術後24ヵ月の時点で判定したところ, 次の事実を確認することができた.
    1) 胃癌症例の生存率A群46.63% C群35.71%差10.92%肺癌症例の生存率A群53.66% C群35.71%差17.95%腸癌症例の生存率A群42.56% C群18.60%差23.96%
    2) 手術方法別, 進行程度別の比較はC群の該当症例が十分でないために比較困難な場合もあったが, 比較可能なものではA群の生存率がC群を7.36~28.19%も上回っていた.
    3) C群の該当症例が少ない場合でも, A群には相当数の該当症例があり, しかもその生存率は30.77~69.23%と高率であった.
    以上の成績より, SSMの悪性腫瘍患者の延命に及ぼす効果を数値により確認することができた.
  • 戸塚 一彦, 坪井 成美, 富田 勝
    1985 年52 巻1 号 p. 95-98
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    間歇的導尿法にてnon-neurogenic neurogenicbladderの男児を5年間観察し, 腎機能の改善を認めた. 患児が4歳の時より, 金属カテーテルによる自己導尿を開始したが, 尿路感染の管理は良好である. また, 患児は日常生活にて不便を感じることはほとんどない.
  • Yasunori Hiraoka, Tsaw Tung Lin, Makoto Hara, Yoshizo Nakagami
    1985 年52 巻1 号 p. 99-101
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
  • 長野 弘, 梅田 誠, 山本 雅, 野村 信夫
    1985 年52 巻1 号 p. 102-105
    発行日: 1985/02/15
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
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