土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
67 巻, 2 号
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和文論文
  • 斉藤 成彦, 牧 剛史, 土屋 智史, 渡邊 忠朋
    2011 年 67 巻 2 号 p. 166-180
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,材料非線形有限要素解析の結果から,性能照査の枠組みに沿って,RCはり部材の損傷や破壊を評価するための方法を提案したものである.有限要素解析より得られる各要素積分点における局所ひずみから,偏差ひずみの第2不変量および正規化した累加ひずみエネルギーを算出し,これらをある領域内で空間平均化することにより,材料の損傷の定量化を行った.算出した平均化損傷指標を用いて,RCはり部材の曲げ破壊およびせん断破壊を統一的に評価する手法を提案した.提案した手法を用いれば,材料の力学モデルが異なる解析手法に適用した場合にも,部材の損傷評価が可能であることが確認された.
  • 吉本 徹, 佐藤 良一
    2011 年 67 巻 2 号 p. 181-188
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/20
    ジャーナル フリー
     舗装用コンクリートの曲げ疲労強度に及ぼす寸法効果の影響を実験的に検討した.供試体寸法は,150mm×150mm×530mm(スパン450mm)および450mm×200mm×1800mm(スパン1350mm)である.応力比は0.7,0.8,0.9である.実験の結果,破壊確率を50%とした場合,同一応力比における疲労破壊回数は,寸法増大により疲労破壊回数が増加することが認められた.この寸法依存性を破壊力学に基づいて検討した結果,応力レベル70%の場合には,高さ150mmの供試体では断面内で引張軟化応力域が現れるが,高さ450mmの供試体では全断面域が弾性応力状態にあることが主たる原因であることがわかった.
  • 細田 暁, 定月 良倫, 大島 章弘, 石井 あきな, 椿 龍哉
    2011 年 67 巻 2 号 p. 189-199
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
     少量の合成短繊維がコンクリートのプラスチック収縮ひび割れを抑制する機構を解明するため,ポリプロピレン短繊維の親水性の有無を主眼として,モルタルのプラスチック収縮量およびプラスチック収縮ひび割れの抑制効果,繊維の付着特性を調べた.モルタルのプラスチック収縮試験を,高温,低湿度,風速のある条件で実施した.親水性を有する場合,プラスチック収縮ひび割れが顕著に抑制された.モルタルのプラスチック収縮量が抑制され,ペーストとの付着が改善されることにより架橋効果が向上したことによると考察した.親水性が高く,径の小さいポリプロピレン短繊維を,施工性に悪影響を及ぼさないようになるべく少量で添加して使用することを,プラスチック収縮ひび割れの抑制対策として提唱した.
  • 渡辺 健, 大石 峻也, 米花 萌, 二羽 淳一郎
    2011 年 67 巻 2 号 p. 200-212
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
     本論文は,単純支持された中実円形断面鉄筋コンクリート(RC)はりのせん断耐力の評価法を提案することを目的とした実験的研究をまとめたものである.すなわち,中実円形断面RCはりの載荷実験を行い,従来のRC棒部材に対するせん断耐力評価法の適用性を検証するとともに,せん断補強鉄筋および多段に配置された軸方向鉄筋の貢献度を実験結果に基づき整理することで,円形断面の有効幅や引張鋼材比を示している.最後に,せん断補強鉄筋およびそれ以外の貢献分を算定できる式をそれぞれ提案し,その算定式が既往の実験結果を含めて中実円形断面RCはりのせん断耐力を十分予測できることを確認した.
  • 小川 秀夫, 名和 豊春, 大矢 嘉津, 山本 一雄
    2011 年 67 巻 2 号 p. 213-227
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
     再生骨材は,主に旧ペースト部にクラック,空隙部,気泡等の脆弱な欠陥部が存在する.本報告は,この欠陥部を選択的に除去する骨材製造理論に基づき,再生細骨材の品質改善法について研究したものである.再生細骨材のキャラクターと再生モルタルの流動性,強度特性の間の関係を多変量解析で評価した.その結果,流動性には,再生細骨材の実積率と微粒分量が,また圧縮及び曲げ強度には,骨材中欠陥率,表面平滑度等が影響することを明らかとした.実積率を増大し,かつ骨材中欠陥率を低減するには,ボールミルや整粒機による磨砕作用が効果的である.粒の表面は,ボールミルよりも整粒機で製造した方が凸凹した形状であり,再生モルタルの強度が高くなることもわかった.
  • 荒木 昇吾
    2011 年 67 巻 2 号 p. 228-244
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
     近年,集成材桁の軸方向にプレストレスを導入し,かつ,床版部のコンクリートとの合成構造とした木橋が,林道を中心に架けられている.主桁に導入されたプレストレス力の変動に関する評価法は,コンクリート桁の場合は既に確立されている.しかし,木桁の場合は軸方向にプレストレスを導入した事例や研究成果に乏しく,プレストレス力の変動要因や有効係数の設定法は未だ明らかにされていない.
     本研究は,未知の点が多い木・コンクリート合成桁橋の合理的な設計法を開発することを目的とする.ここでは設計法を構築するうえでの重要な要素となる有効プレストレスの評価法を提案し,プレストレス力の経時変動量に対する理論値と実橋での測定値との比較により,本論文に示す評価法を検証する.
  • 藤倉 裕介, 大下 英吉
    2011 年 67 巻 2 号 p. 264-279
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,使用材料の構成,水和反応過程および相組成に基づいて任意の温湿度下で養生されたセメント硬化体の空隙構造の形成過程を評価可能な手法を提案した.まず,硬化体内部の含水状態について,著者らの提案する空隙構造モデルに基づき,任意湿度下における円筒型空隙内の吸脱着過程を考慮した水蒸気吸脱着等温線の評価モデルを提案した.次に任意湿度下において毛管凝縮する径を有する空隙の構成に未水和セメント粒子が関与する割合を計算により求め,内部含水状態における水和過程を考慮した空隙構造の形成過程を説明した.そして,乾燥開始材齢と雰囲気湿度といった養生条件の異なる場合について水銀圧入法にて測定した空隙径分布の実験結果との比較により本モデルの適用性を検討した.
  • 飯塚 敬一, 檜貝 勇, 斉藤 成彦, 高橋 良輔
    2011 年 67 巻 2 号 p. 280-296
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     鉄筋とコンクリート間の付着特性に影響を与える要因は様々であり,これらの影響を統一的に扱う付着モデルの構築が課題となっている.このような問題に対して,付着応力とすべり量の関係に鉄筋ひずみの影響を考慮し一般化を図る方法が提案されている.しかし,かぶり厚が小さい鉄筋の付着挙動を評価できるモデルは限られるため,本研究では両引き試験に基づいて,かぶり厚が付着特性に及ぼす影響をコンクリート強度や鉄筋径の影響と併せて検討した.また,かぶり厚の影響を考慮した鉄筋ひずみの関数を導入することによって,ポストピークまでの付着応力-すべり-ひずみ関係を定式化し,提案したモデルが,境界条件や応力伝達経路が異なる広範な付着問題に対して適用できることをFEM解析を用いて検証した.
  • 岩野 聡史, 森濱 和正
    2011 年 67 巻 2 号 p. 297-308
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     衝撃弾性波法の多重反射法での周波数解析方法について,一般に利用されているFFTの誤差要因や適用限界について検討し,これらを解消する方法として提案されている相関関数を利用した周波数解析方法について,この方法が成立する基本的な測定原理や有効性を実験により検証した.その結果,測定振動のFFTによる周波数解析は,波形の減衰が誤差要因となり,この影響を除去することが重要であることを明らかにした.これに対し,測定振動の第一波から設定される初期振動と測定振動との相互相関関数は,縦弾性波の往復時間と一致する周期性を示し,さらに,波形の減衰を反映しないことが確認された.これから,多重反射法では相互相関関数を求め,この相互相関関数に対してFFTを実施することが誤差要因を解消する有効な解析方法であることが示された.
  • 佐藤 道生, 蓮見 亮, 皆川 浩, 久田 真
    2011 年 67 巻 2 号 p. 309-321
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     フライアッシュを混和したコンクリートおよびモルタルの塩化物イオンの見掛けの拡散係数および比抵抗の計測を通じて耐久性評価を行った.
     潜伏期における塩分浸透を評価するため,海洋構造物を対象とした見掛けの拡散係数の実測値を整理し,鉄筋腐食が開始するまでの潜伏期間が長期化することを明らかにした.また進展期以降については,コンクリートの緻密性および鉄筋腐食への抵抗を表わす指標である比抵抗に着目し,コンクリート試験およびモルタル試験を実施し,フライアッシュの混和により硬化体の緻密性が向上し,物質透過性が低減することにより耐久性が向上することを明らかにした.
  • 加藤 佳孝, HENRY Michael
    2011 年 67 巻 2 号 p. 322-332
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,利害関係者の社会的視座を考慮したコンクリートの持続可能性評価の枠組みを提案した.利害関係者の持続可能性に関する意見は一般的に定性的な表現であるため,これを定量化し評価に用いるために階層化意志決定法を適用した.社 会的視座に基づく重要な指標を選定するために社会調査を実施し,調査結果に基づいて重視する指標の変化が評価結果に与える影響を検討した.異なる設計シナリオを設定し,コンクリートの持続可能性を相対的に評価した結果,設計シナリオにしたがって,適切な配合条件が選定できることを示した.
和文ノート
英文論文
  • Mohamed ZAKARIA, Tamon UEDA, Zhimin WU
    2011 年 67 巻 2 号 p. 245-263
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     This paper presents a comprehensive review on the available prediction models in the literature to estimate shear crack width in reinforced and prestressed concrete members by comparing shear crack openings calculated from prediction model with those obtained from seven experimental investigations to evaluate their accuracy together with effectiveness of factors considered. As a result of this study, the models for the prediction of shear crack spacing and width in reinforced and prestressed concrete beams are proposed. The proposed models show a better correlation with all the test results compared to the other prediction models. The models can predict both average and maximum shear crack width and are applicable to fatigue loading.
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