土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
Online ISSN : 2185-6567
ISSN-L : 2185-6567
77 巻, 3 号
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和文論文
  • 直町 聡子, 加藤 佳孝
    2021 年 77 巻 3 号 p. 78-91
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
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     海水中の多種イオンが,セメント硬化体の塩化物イオンの浸透と固相の変質に及ぼす影響を把握するために,海水よりもイオン濃度が高い共存イオンが異なる4種類の溶液で促進的に浸せき試験をした.モルタルの塩化物イオン浸透は,1736日間の浸せき試験の結果から,NaCl+MgSO4溶液では促進され人工海水では抑制される結果を得た.これは,モルタル表層に生成する二水石こう,エトリンガイト,ブルーサイト,アラゴナイトの生成,およびCSHの溶脱が影響していると考えられた.コンクリートについては,1008日間の浸せき試験の結果から,浸せき溶液種類に関わらず,コンクリート表層10mmまでの領域に水酸化カルシウムが存在せず,溶脱による空隙構造の変化が塩化物イオンの移動に影響を及ぼしていると考えられた.

  • 牧田 通, 渡邊 有寿
    2021 年 77 巻 3 号 p. 92-107
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/20
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     UHPFRCにより既設部材の補修・補強を行う場合,UHPFRCの収縮が既設部材により拘束されて全厚にわたって引張応力が生じ,ひび割れが発生する可能性がある.本論文は,UHPFRCを用いた既設部材の補修・補強において,基礎的といえるこれらの課題を検討したものである.検討では,既設のコンクリート床版上面の打替え・増厚に用いることを主たる目的として開発したUHPFRCの引張特性を把握するために,直接引張試験を実施した.また,若材齢時に拘束を受けるUHPFRCの挙動を把握するためにTSTMを用いた収縮拘束試験を実施した.検討の結果,ワラストナイトの混入によるひび割れ発生強度の向上と,若材齢UHPFRCの粘弾性挙動による拘束応力の緩和により,若材齢時の拘束によるひび割れ発生に対して大きな余裕があることが分かった.

  • 大山 幸輝, 兵頭 正浩, 緒方 英彦, 石井 将幸, 上野 和広
    2021 年 77 巻 3 号 p. 108-118
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/20
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     本研究では,埋設管の耐力評価手法として提案されている内面載荷法をとう性管に適用した場合の地盤内挙動を明らかにするため,PVC管とFRPM管を対象に地上と地盤内での変形挙動の比較評価を行った.埋設管における荷重-変形量の関係は載荷初期では線形挙動を示し,ある点を過ぎると傾きが低下した.この非線形挙動は,地盤が圧縮される過程と地盤がせん断変形を起こす過程の2区間に分離することができると考えられた.地上と地盤内での荷重-変形量の傾きを比較すると,環剛性の低いPVC管の方が地盤による拘束の影響を大きく受けることが明らかになった.また,埋設管外面の円周方向では,管頂・管底部において引張ひずみが突出するが,斜め方向の拡径は地盤により拘束され,載荷軸を対称に斜め方向4か所の圧縮ひずみが増加することがわかった.

  • 玉滝 浩司, 伊藤 智章, 石関 嘉一, 平田 隆祥, 吉武 勇
    2021 年 77 巻 3 号 p. 119-133
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/20
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     超高強度繊維補強コンクリート(UFC)の製造には,一般に高温の熱養生が必要とされる.これらのUFCをレディーミクストコンクリート(RMC)工場で製造し,運搬後に施工する場合は,現場に熱養生設備が整っていないため,UFCの現場施工は困難とされていた.そこで本研究では,常温環境下で性能を発揮するUFCに必要な材料と配合条件を明らかにするため,室内実験を通じてフレッシュ性状と強度性状を調べるとともに,RMC工場における製造と現場適用性について検討した.本論文では,RMC工場でも製造・品質管理できるUFCの諸条件として,低C3A・高C3Sのセメントの使用,水結合材比(W/B)14~21%,フロー管理値230~290mmなどが適当であることを示した.

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