沖縄県本島の東海岸の塩害環境にて40年曝され,著しい塩害を受けた鉄筋コンクリート桁を研究対象とし,劣化状態を外観調査と材料調査により分析した上で,切り出した試験体に対して静的載荷試験,繰り返し載荷試験を行い,塩害での鉄筋腐食により材料劣化した鉄筋コンクリート桁のたわみ剛性とひずみ特性などの力学特性を検証した.また,本橋の劣化状況に基づき,劣化進行を模擬した試験桁に対して静的載荷試験と繰り返し載荷試験を破壊まで繰り返し,極限状態下での腐食した鉄筋コンクリート桁の破壊特性について示した.
本研究では,実構造物周辺の地形,風況,波浪作用を汎用的に考慮して飛来塩分の発生から輸送過程までを予測できる3次元の予測シミュレーション技術を開発するとともに,各計算過程を検証するための観測結果の取得を行った.さらに,開発した予測シミュレーション技術を用いて,構造物の長期的な塩害環境作用を評価する方法についても検討を実施した.その結果,風況および波浪作用を汎用的に考慮して飛来塩分の発生から輸送過程までを予測できる飛来塩分の予測シミュレーション技術が開発できたとともに,その計算結果が観測結果を概ね再現できることが示された.さらに,開発した飛来塩分の予測シミュレーション技術を利用して,構造物の長期的な塩害環境作用を評価できることが示された.
低空頭・狭隘地における杭の施工を改善するため,筆者らは,杭の軸方向鋼材にストランド(PC鋼より線)を用いた伸縮可能な鉄筋かごを開発した.同様の場所打ち杭工法がすでに開発されているが,本工法では,プレグラウト型PC鋼より線を用いることでPC杭の構築も可能である.本研究では,通常のRC杭,ストランドRC杭,およびストランドPC杭を想定した試験体の正負交番載荷実験を行い,曲げに対する挙動を確認し,既往の設計法の適用性について検討した.その結果,本工法による部材は,通常のRC部材に比べて降伏変位が大きくエネルギー吸収が小さいなどの特性があるが,既往の設計基準の手法で耐力や変形特性を評価できることがわかった.また,高強度の軸方向鋼材を用いるために鋼材比が小さくなることから,最小鋼材比について考察した.
本研究ではアンカー構成部材の一つであり,地表面に露出している支圧板表面の応力値をX線応力測定を用いて測定することで,アンカーの緊張力を評価する手法について検討した.緊張力と支圧板表面応力の関係を調べるにあたり,まず解析的に緊張力増加に伴う支圧板表面応力の変化傾向を検討した後,ひずみゲージを用いて緊張力と支圧板表面応力との関係を明らかにし,この関係から緊張力推定式を導出した.次に,X線応力測定値とひずみゲージでの測定結果を一致させるための補正関数を導出し,その結果を緊張力推定式に反映させ,X線による支圧板表面応力の測定結果から緊張力の推定を行った.その結果,板厚20mmの支圧板を用いた場合において,概ね導入緊張力の±15%程度の精度で緊張力が推定できることが分かった.
高炉スラグ細骨材を使用したモルタルの遮塩性を評価することを目的として,製造元の異なる高炉スラグ細骨材7種類を使用したモルタルの塩分浸透抵抗性を検討した.その後,高炉スラグ細骨材の粒度と非晶質度がモルタルの遮塩性に及ぼす影響を検討した.さらに,高炉スラグ細骨材を使用したモルタルの遮塩性の向上メカニズムを検討するために,空隙率,微細構造,塩化物イオンの固定化に関する検討を行った.その結果,高炉スラグ細骨材を使用することによるモルタルの遮塩性の向上は,高炉スラグ細骨材の反応によって高炉スラグ細骨材の界面が緻密化したことが主要因であると考えられた.
LNG地下タンクを対象として,実施工時の手順を踏まえた条件設定を行った上で,建設時から供用開始後100年程度までの地震入力を含む長期におよぶ一連の挙動を三次元マルチスケール統合解析により連成して推定し,ひび割れ発生の有無や躯体に生じる損傷状況について検討した.若材齢時の温度応力に関連する挙動,LNG封入後の冷却温度(凍結線)の制御,長期運用時の水分移動等と地震作用を一元的に連成評価し,実構造物の挙動をより精緻に時間軸上で連続的に評価することを目指したものである.本研究により従来手法の妥当性が再確認されるとともに,将来的には単に設計照査用のツールとしてだけではなく,維持管理にもマルチスケール統合解析技術を活用できる見込みが得られた.
施工者は,コンクリートの締固めが考慮されている配筋を行った設計の策定,コンクリートの締固めを考慮したスランプの指定を設計者に望んでいるが,既存の技術では,鉄筋の直径とその間隔までコンクリートの締固めを考慮して決めることは難しい.したがって,施工者は,決められた配筋条件と指定されたコンクリートのスランプを前提として,適切な締固め方法により,十分な充塡を確保するコンクリートの締固め計画を立てなければならないが,締固めの定量的な評価は難しいため,適切な施工計画を立てることが困難である.本論文では,コンクリートの鉄筋間隙通過に必要なエネルギーを定量的に評価するために新たに開発された評価装置と,その装置による鉄筋間隙を通過するコンクリートの締固め性の評価方法を提案した.
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