本報告は、上智大学で2016年度より開講している「デジタルアーカイブ論」の概要を紹介するものである。同授業は、アーカイブの理解、利用、構築の3要素から成り、それぞれのプロセスを実践的に経験することによって、資料のよみ方、利活用、およびデジタルアーカイブの現状・重要性・課題への理解等において、著しい教育的効果がみられている。今後は、学部レベルでのデジタル・ヒューマニティーズおよびデジタルアーキビスト育成、また既存アーカイブ機関との連携によるサービスラーニングの展開に寄与することがめざされる。
東日本大震災関連のデジタルアーカイブは、震災直後から様々な機関や団体により自然発生的に構築が始まり、震災から6年半が経過した現在数十の構築がなされ、数百万点の記録の公開がなされている。本論文では、東日本大震災で様々な機関・団体が構築した震災デジタルアーカイブの事例と変遷についてまとめると共に、自治体における震災デジタルアーカイブの公開内容や構成要素を明らかにする。さらに、東日本大震災の震災デジタルアーカイブの全体を通して課題を明らかにし、今後の震災デジタルアーカイブのあり方について論じる。
フランスの国立デジタルアーカイブ機関のうち、フランス国立図書館(BnF)とフランス国立視聴覚研究所(INA)に訪問調査をおこなった。BnFのGallicaプロジェクトでは年約10億円の予算で蔵書のデジタル化を進めており、すでに新聞・雑誌210万号、画像120万点、書籍55万冊を公開している。BnFはEuropeanaの創設メンバーであり、今も強力に推進している。INAはテレビ・ラジオ番組の法定納入機関として、1400万時間の番組を収集し、INAthèque を通じて学術研究者に公開している。また、商業利用できる番組200 万時間分をINAmediaproを通じて世界に販売している。その一部はina.frから一般公開している。
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