デジタルアーカイブ学会誌
Online ISSN : 2432-9770
Print ISSN : 2432-9762
4 巻, 3 号
選択された号の論文の28件中1~28を表示しています
特集:スポーツ・デジタルアーカイブ
  • 渡邉 英徳, 小林 正明
    2020 年 4 巻 3 号 p. 250-255
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/08/24
    ジャーナル オープンアクセス

    私たちは、社会に“ストック”されている1964年大会の資料を“フロー”化するコンテンツ「東京五輪アーカイブ1964~2020」を制作した。デジタルアースを用いて過去と現在の風景を重ね合わせることによって、ばらばらの粒子のように“ストック”され、固化していたデータが結び付けられ、液体のように一体となって流れる“フロー”となる。この“フロー”をさまざまなデバイスを通して生み出すことにより、資料についてのコミュニケーションが創発し、情報の価値が高まる。その結果として、56年前・1年後の五輪が、ひとつの流れのなかに位置付けられ、過去に学び・未来に活かす「継承」の機運を生み出せると、私たちは考えている。

  • 新名 佐知子
    2020 年 4 巻 3 号 p. 256-259
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/08/24
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は、スポーツ資料の特性から関連機関とのネットワークの必要性と課題を整理し、秩父宮記念スポーツ博物館の役割を展望する。スポーツ資料は、膨大な資料を構造的にアーカイブする必要がある。しかし、多くのスポーツ博物館には学芸員などの専門職員がおらず、収集・保存の基盤が脆弱である。対応策の一つとして、スポーツ庁が検討しているスポーツ資料の共有データベースがある。これを活用して共通メタデータから目録整備を図り、スポーツ資料のストーリーを整理することで、スポーツ資料の新しい意味の生成が期待できる。秩父宮記念スポーツ博物館は、ネットワークの構築にともなったナショナルセンターの役割を果たすことが急務である。

  • 來田 享子
    2020 年 4 巻 3 号 p. 260-264
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/08/24
    ジャーナル オープンアクセス

    近年、スポーツ・デジタルアーカイブ(SDA)への注目が高まっている。本稿では、SDAの意義とスポーツを通じた教育に与える可能性について検討する。スポーツに関わる歴史的文化的資料のデジタルアーカイブ化の重要性は、これまであまり認識されてこなかった。一方、人間の身体やパフォーマンスに関わる多角的な記録やデータも、SDAのコンテンツに含めることができる。SDAを効果的に活用することによって、スポーツを通じた教育には、異なる時代や社会における歴史的身体経験を追体験し、共有し、継承するという新しい挑戦が可能になるかもしれない。

  • 成瀬 和弥
    2020 年 4 巻 3 号 p. 265-268
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/08/24
    ジャーナル オープンアクセス

    大学とスポーツをめぐる関係は、教育活動、研究活動、課外活動に大別できる。本稿ではこのうち、体育と課外活動に着目して、スポーツ・デジタルアーカイブの活用の可能性について考察する。日本のスポーツの普及と発展に、大学は大きく貢献してきた。これからも、教育、研究、社会貢献などの面からスポーツの発展に寄与していくべきである。スポーツ・デジタルアーカイブは、スポーツ文化の保存・継承・発展につながる。しかし、現在の大学スポーツでは、活動の記録を保存し継承する仕組みが極めて脆弱である。スポーツ・デジタルアーカイブの整備が、大学スポーツ関係者のアーカイブの意識を高め、大学スポーツがより発展することを望んでいる。

  • 龍村 全
    2020 年 4 巻 3 号 p. 269-274
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/08/24
    ジャーナル オープンアクセス

    わが国におけるデジタルアーカイブに関連する法整備の状況を概観する。公文書管理法、公文書館法、国立国会図書館法、図書館法、博物館法、その他関連法令上規定された法定のアーカイブ機関を、著作権法との関連から区分して概観し紹介する。

  • 杉本 重雄
    2020 年 4 巻 3 号 p. 275-279
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/08/24
    ジャーナル オープンアクセス

    オリンピックやパラリンピックなど、スポーツは我々が日常的によく接する話題であり、研究、教育などいろいろな観点からスポーツ分野のデジタルアーカイブへの期待は大きい。既存のデジタルアーカイブと同様に、スポーツ分野でも有形物と無形物の両面からのアーカイブ化が求められ、広い視野を持った取り組みが求められる。また、先端的情報技術の導入の進展に伴う、データのアーカイブといった機能も求められることになる。本稿では、スポーツ庁のスポーツ・デジタルアーカイブ構想調査研究事業の中での議論に関する筆者の理解を基礎として、将来に向けてスポーツ・デジタルアーカイブの開発、運営、利用を進めていくうえでの課題について述べる。

  • 山本 純子
    2020 年 4 巻 3 号 p. 280-283
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/08/24
    ジャーナル オープンアクセス

    凸版印刷は、スポーツ庁の「スポーツ・デジタルアーカイブ構想」にもとづき、平成29年より令和元年までスポーツ系資料を所蔵している7機関と連携し、関係者への仮想環境「検証用公開システム」を公開し、スポーツ・デジタルアーカイブの在り方についての検証実施を支援した。スポーツ資料のデータモデルおよびデータ構造の在り方の解析、人名・競技・イベント・形状・分類等の辞書データの策定、他システムとの連携の検討等を通して、システム構築における課題を報告する。また、作業負荷の大きな分類付与作業に関するAI活用による省力化実験の作業削減策について、人手による分類結果との約80%の一致をみた成果と今後への期待を報告する。

事例/調査報告
  • 後濱 龍太, 岸本 慎也, 加藤 健太郎, 横山 圭, 島田 茂伸
    2020 年 4 巻 3 号 p. 284-291
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では、身体表現における演者の「身体形状」および「動き方」の両方が唯一性や希少性を備えており、原資料としての性質を帯びているとのアイデアに基づき、動作する人体をデジタルアーカイブする方法を提案する。3次元デジタイザを用いて取得した高解像度かつ高寸法精度な形状データに、モーションキャプチャを用いて取得した動作データを統合することで、動作する人体のデジタル復元である「動作可能モデル」を生成する方法を明らかにする。動作可能モデルとデジタイズ直後の形状データの寸法変位RMSは1mm未満であり、提案手法がデジタイズ形状の寸法をほとんど変化させないことを示した。本手法が舞踊などの無形文化財やスポーツのアーカイブへ適用しうる基盤技術となることを期待する。

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