デジタルアーカイブ学会誌
Online ISSN : 2432-9770
Print ISSN : 2432-9762
2 巻, 4 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
巻頭言
特集:コミュニティ・アーカイブ
  • 坂井 知志
    2018 年2 巻4 号 p. 310-311
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル オープンアクセス
  • 宮本 聖二
    2018 年2 巻4 号 p. 312-317
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル オープンアクセス

    テレビの放送が始まって65年、各テレビ局と「放送番組センター」は大量の番組や映像素材を積み上げてきた。それらの番組や映像は、私たちの社会の移り変わりを記録してきた貴重な公共資産と言える。また、ビデオテープやフィルムからのデジタル化も進められている。そのアーカイブコンテンツの保管から、公開、利用、活用についてNHK、民放、放送番組センターがどんな取り組みを進めているのか調査した。筆者は、様々な方法で放送コンテンツの公開や利活用が積極的に進められるべきだと考えるが実際には思ったように実現していない。保存や公開の現状と、アーカイブコンテンツの公開性を確保するためにどんな課題あるのかを報告する。

  • 水島 久光
    2018 年2 巻4 号 p. 318-323
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル オープンアクセス

    それは「誰の」「何の」ための取組みなのか――デジタルアーカイブに関する議論において、忘れてはならない問いである。放送史との関わりで見れば、デジタル化はその公共的機能を支えてきた時空間秩序を揺るがすものと言える。デジタルアーカイブには、その新しい社会の集合性の再構築を助ける役割が期待されていると言うことができよう。本稿では、それを裏付けるために「地域」と「映像」という、テレビの要素概念を検討する。テレビにおける『紀行番組』の成立、北海道夕張市・東北の津波被災地の現状などをケーススタディとしながら、人々が生きられる環境を「地域の肖像権」の行使を通じて取り戻す、運動としてのアーカイブ論を提示する。

  • 田山 健二
    2018 年2 巻4 号 p. 324-329
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
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    ADEAC(A System of Digitalization and Exhibition for Archive Collections)は、2008年10月から、TRC-ADEAC(株)において運用を開始したプラットフォームシステムです。現在、図書館・大学等の88機関が所蔵する多様な史資料が、ADEACを介し利用に供されています。インターネット・ユーザーは、無償で、例えば高精細画像データを閲覧、またADEAC内の全てのテキストデータを横断検索できます。当技報において、現在進めているインターフェイス、検索精度の向上等の改善とIIIF、ウェブアクセシビリティ等への対応の検討状況について概説し、特徴的な5機関の利用事例を紹介します。

  • 吉田 耕一郎
    2018 年2 巻4 号 p. 330-336
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル オープンアクセス

    朝日新聞フォトアーカイブは、朝日新聞社が所蔵する約2,000万枚の写真をデジタル化し、社内外での利用を進めるため、2010年に発足した。写真の提供は有償。テレビ局や教科書会社、出版社などが主な取引先となっている。最近は、周年企業の社史、都道府県や市町村の歴史年表などでの利用に加え、海外メディアで使われるケースも増えている。写真のデジタル化と書誌編集作業には、膨大な手間とコストがかかる。写真を死蔵することなく、広く活用してもらうためにも、事業としての発展性が重要になる。古い写真に加え、最新のニュース写真、図表なども扱い、ここ数年は動画の利用が伸びている。

  • 町 英朋
    2018 年2 巻4 号 p. 337-341
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
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    本稿では、コミュニティアーカイブのマッピングを取り上げる。コミュニティアーカイブはコミュニティによるアーカイブもしくはコミュニティを対象にしたアーカイブである。それぞれにコンテンツをデジタルデータとしてデータベース化しているコミュニティアーカイブを地理情報ツール上に視覚的に表現するにあたり、データベースのデータベースであるコミュニティアーカイブの位置を、それらが保有するコンテンツの位置情報を利用してどのように表現が可能か考察する。

特集:震災アーカイブ
  • 柴山 明寛, ボレー セバスチャン
    2018 年2 巻4 号 p. 342-346
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
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    2011年3月11日発生した東日本大震災は、震災から7年が経過し、数十の震災デジタルアーカイブが構築された。過去の地震災害においても震災デジタルアーカイブが構築はされたが、同時多発的に複数の団体が震災デジタルアーカイブを構築した事例は、東日本大震災以外、全世界的に見ても存在しない。本総論では、東日本大震災の概要及び7年目の復旧・復興の状況、そして、東日本大震災の震災デジタルアーカイブついて概説する。さらに、震災デジタルアーカイブの課題について説明するとともに、本特集号で執筆されている国立国会図書館や宮城県図書館、ハーバード大学、筑波大学について概要を説明する。

  • ゴードン アンドルー, 森本 涼
    2018 年2 巻4 号 p. 347-352
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
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    この論文では、2011年より7年目を迎えた日本災害DIGITALアーカイブ(JDA)の進化を紹介すると同時に、日本災害DIGITALアーカイブが進めてきた、連携・参加型デジタルアーカイブの意義と、災害デジタルアーカイブ全般の発展への役割を議論する。独自に開発してきた利用者の参加を促す機能を説明しながら、現在の利活用促進へのアウトリーチ活動の経過報告と幾つかの実証例を紹介し、デジタル災害資料の利用価値を産む、参加型アーカイブの形を提案する。また、日本国外の日本災害アーカイブとしての独自の視点で得た、震災後急激に発展した国内でのデジタルアーカブズ分野の共通課題と、デジタルアーカイブ学会への展望を論ずる。

  • 伊東 敦子
    2018 年2 巻4 号 p. 353-358
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
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    国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(愛称:ひなぎく)は、東日本大震災に関する記録等を包括的に検索できるポータルサイトである。東日本大震災の記録等を国全体として収集・保存・提供するために、様々な機関と連携・協力して国のアーカイブとしての役割を担っている。現在、国内外の47アーカイブと連携しており、検索対象メタデータ数は約376万件となった。震災から7年が経過し、様々な機関との連携を進めると同時に防災学習等にも力を入れている。本稿では、ひなぎくの特色ある記録等の収集を俯瞰するともに、見えてきた課題等を紹介する。

  • 杉本 重雄, 三原 鉄也, 永森 光晴
    2018 年2 巻4 号 p. 359-363
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル オープンアクセス

    東日本大震災に関する記録を集めたデジタルアーカイブが多く作られ、国立国会図書館はそれらのポータルとして東日本大震災アーカイブひなぎくを提供している。現在、こうしたデジタルアーカイブの利活用性の向上が求められている。本稿では、筆者等がこれまでの研究から得た知見に基づきメタデータの視点から東日本大震災アーカイブにおける利活用性の課題に触れ、さらに、オープンデータ環境を利用したアーカイブ内ならびにアーカイブ間でのコンテンツ集約による利活用性の向上について述べる。最後に、アーカイブのコンテンツを結ぶことによる利活用性向上について考察する。

  • 日比 遼太
    2018 年2 巻4 号 p. 364-369
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
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    平成27年6月15日、宮城県図書館は、県内の全自治体と連携・協力して震災デジタルアーカイブである「東日本大震災アーカイブ宮城」を公開した。アーカイブ宮城は、宮城県の担当所属である宮城県図書館がサイトの運営に係る庶務の統括を担っており、協同して運営を担う連携自治体についても、総務、防災、広報、生涯学習など様々な所属によって構成されている。本稿では、アーカイブ宮城の構築経緯や手法の一端を交えながら、県が実施したことについての特有の利点と、構築から現在までの運営状況や環境の変化の中で生じた課題等を述べる。

事例/調査報告
研究論文
  • 三宅 茜巳, 井上 透, 松家 鮎美
    2018 年2 巻4 号 p. 376-384
    発行日: 2018/10/01
    公開日: 2018/11/20
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    デジタルアーカイブは知識基盤社会を支える重要な役割を果たすものと期待されているが、課題も多く存在する。そうした課題の中で、本論では、デジタルアーカイブの開発・管理・活用を担う人材育成にテーマを絞り考察した。大学やNPO法人日本デジタル・アーキビスト資格認定機構が進めてきたデジタル・アーキビスト育成教育の事例と英語圏(米・加・英・豪)における教育の事例を概観する中で、大学や協会による専門職としての質保証を伴う教育や再教育が必要であることが明らかになった。また、デジタルアーカイブを運用する現場での情報を教育にフィードバックすることにより、採用や待遇改善等キャリアパスの形成につなげていくことが重要であると結論付けた。

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