デジタルアーカイブ学会誌
Online ISSN : 2432-9770
Print ISSN : 2432-9762
4 巻, 1 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
巻頭言
特集:デジタルアーカイブの利活用・実践例
  • 宮本 聖二
    2020 年 4 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 2020/01/07
    公開日: 2020/03/02
    ジャーナル オープンアクセス

    デジタルアーカイブは、そのコンテンツの種類やジャンルによって利活用の手法は様々である。今回の特集では、個別のアーカイブの設計や運営に当たっている人々、アーカイブを積極的に使っている研究者などにそれぞれのデジタルアーカイブの利活用の手法について報告していただく。設計や構築に当たった人々が当初想定したものとは異なる利活用の手法をユーザーが発見することもある。そうしたデジタルアーカイブの潜在力も確認したい。

  • 大川 功
    2020 年 4 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2020/01/07
    公開日: 2020/03/02
    ジャーナル オープンアクセス

    他校に先駆けて専用HPを構築した東京の聖学院中学校・高校図書館では、1906年(明治39年)の創立以来の史料を、随時デジタルアーカイブ化して公開している。当初のねらいは、在校生、卒業生、教職員、また、将来本校に関わるすべての者に、建学の精神と本校教育活動の歴史を視覚的遺産として残すことを目的として始めた取り組みであった。しかし、次第にコンテンツ自体が反響を呼び始め、「未来と過去、人と人をつなげる媒介」に成長していった。本稿では、その経緯を省察すると同時に、今後のデジタルアーカイブの可能性について論考する。

  • 宮本 聖二
    2020 年 4 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2020/01/07
    公開日: 2020/03/02
    ジャーナル オープンアクセス

    鹿児島県奄美群島から沖縄本島、先島地方には民謡を始め琉球王朝の古典音楽、あるいは祭祀のための音楽が豊潤にあって、暮らしや様々な行事、あるいは盛んに行われるコンクールなどのためにいまも盛んに歌われている。さらに、そうした音楽をベースにした新民謡やポップスも次々に生み出されている。しかし、小さな集落や島で生まれた民謡や戦後次々に作られた新民謡などは、歌う人がいなくなったり、レコードが廃盤になったりするなどして消え去る危険に直面している。また、同じ曲でも時代や場所や流派によって演奏の仕方が変わる。これらの音源を収集し、何らかのプラットフォームなどで体系的に保管し、公開することでこの音楽文化をしっかり留めたい。現状と進められている様々な試みを調査・報告し、これからの南島の音楽のデジタルアーカイブの可能性を考えたい。

  • 辻本 志郎
    2020 年 4 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2020/01/07
    公開日: 2020/03/02
    ジャーナル オープンアクセス

    米ワシントン州シアトルを拠点とする「DENSHO」という非営利団体がある。太平洋戦争中に米国内で行われた日本人・日系人に対する強制収容の歴史をデジタルアーカイブとして後世に伝える目的で1996年に設立された。具体的には、強制収容された日系人らにインタビューを重ねている。団体のホームページには入植時から戦時中、そして戦後の日系人らの様子を伝える写真、新聞記事など多数の資料に加え、計1700時間以上に及ぶインタビュー動画を掲載してきた。コンテンツはいずれも無料で閲覧でき、「テーマ」「場所」「時代」などごとに検索できる仕様になっている。本稿ではDENSHOの設立経緯、デジタルアーカイブ資料の内容、HP以外の活動について検証する。

  • 江草 由佳
    2020 年 4 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2020/01/07
    公開日: 2020/03/02
    ジャーナル オープンアクセス

    図書館が所蔵する書籍をデジタル化したコレクションをデジタルアーカイブとして公開する方法として国立教育政策研究所教育図書館近代教科書デジタルアーカイブを紹介した。カテゴリ検索を実現する方法として、図書館が通常提供している蔵書検索システムの一部に外付けでHTMLとカテゴリのサムネイル画像だけを使ってデジタルアーカイブを構築する方法を紹介した。図書館が持続的にデジタルアーカイブを公開するための論点として以下を考察する。構築時における書誌情報の作成と著作権調査、外部サービスとの役割分担、リンク連携、データとシステム移行への考慮を挙げ、考察する。

  • 大髙 崇
    2020 年 4 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2020/01/07
    公開日: 2020/03/02
    ジャーナル オープンアクセス

    放送局に保存される膨大な数の過去のニュースや番組など「放送アーカイブ」は映像資産としてその価値が注目されるが、どのように活用すればよりよい社会還元になるのか、模索が続いている。本稿では、最近の活用での成功事例として「NHKアーカイブス 回想法ライブラリー」の内容や、活用する現場の様子、コンテンツ制作の経緯などを報告し、今後の放送アーカイブ活用のために求められる課題を提示する。アーカイブ活用は、所有者(放送局)だけで完結することは困難であり、外部有識者の知見も交えて多角的な視点が必要であることが、今回の研究での発見となる。

特集:肖像権円卓会議
動向解説
学会活動から
書評・新刊紹介
feedback
Top