日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第57回研究発表大会
選択された号の論文の214件中101~150を表示しています
  • 坂本 久子
    セッションID: F09
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    フィラデルフィア万博(1876年)公式記録の中の「米國費府博覧會委員人名表」と「米國費府博覧會渡航人名表」に記載された人々の中から、経歴が分かり重要と思われる人物を取上げ、それらの人々のフィラデルフィア万博とのかかわりを考察した。それら人々とは、大久保利通、西郷従道、町田久成、田中芳男、徳川昭武、納富介次郎、松尾儀助である。明治政府の中枢にいた大久保利通をはじめ、多彩な人々であり、特に徳川昭武の起用は、旧徳川幕府の人脈も取入れて、この万国博覧会が単なる物品の展示だけでなく人的交流も配慮したものであったことを推し量られる。また、この万博前後に開催された1873年のウィーン万博や1878年のパリ万博、そして他の博覧会とこれらの人々との関わりも考察している。
  • 〈光・空間・調節器〉の造形論
    井口 壽乃
    セッションID: F10
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    本論文は、モホイ=ナジ・ラースローの独自のデザイン思想を解明するために、異なるメディアで表現された〈光・空間・調節器〉を取り上げ、彫刻、映画、絵画それぞれの作品の比較を通じて、彼の造形の意図を解明することを目的とする。キネティック彫刻完成後は、その彫刻作品から着想したと思われる絵画が多数制作され、それらは主に作家の晩年期にあたる1940年代に制作されている。一度完成させた作品を用いて、次に別のメディアで違う作品に仕上げ、さらに別のメディアによって作品化する制作方法を確立する。表現メディアをマルチプルに増幅させる方法である。一方、シカゴのデザイン研究所での基礎演習において、〈空間・調節器〉と〈光・調節器〉をテーマとする課題を学生に課していた。この教育実践では、異なる表現媒体を連動させつつ、総合的な空間や形態を把握する能力を高め、より高次の創造へと導くよう指導していた。一連の〈光・空間・調節器〉の制作と教育実践を通じて、独自の造形論「ヴィジョン・イン・モーション」に到達したのだった。
  • 静岡文化芸術大学における事例をもとに
    高山 靖子,  河岡 徳彦, 望月 達也, 宮田 圭介, 的場 ひろし, 花澤 信太郎
    セッションID: F11
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    プロダクトデザインにおいて、3D-CADはもはや欠かすことのできないツールとなった。しかし、数々の利点がありながらも、習得時間の長さや様々な種類のCADソフトから何を選択するのかなどいくつかの問題を抱えている。さらに、非理系志向の学生の多い大学では、学生の学習意欲を高めることも難しい。 そこで、国内外の大学の状況やデザイン業務に関係する企業への聞き取り調査を行い、大学への求人情報と学生の進路希望状況をもとにデザイン系大学(非理系志向)における3D-CAD教育のあり方を研究し、実験的プログラムを実施した。このプログラムでは、クレイモデルなどの手作業による表現と3D-CADと三図面やレンダリングなどの2次元表現を連動させ、3次元形状を把握させる手助けとした。プログラムを体験した学生のコメントから、このプログラムは、立体の基本構成や変化について理解させる効果があると確認できた。
  • 青木 幹太, 平田 義典, 柴田 篤史, 永田 真弓, 木村 伸夫
    セッションID: F12
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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     デザイン教育において大学と産業界の連携は、デザインの実務や仕事を学ぶ機会となる。本研究は、2009年度に実施した「チャイルドシューズのデザイン開発」を事例に、企業参加による教育プログラムの実際、参加した学生による授業評価、企業スタッフによる教育効果の評価より、産学連携によるデザイン教育の有効性や問題点を報告する。尚、このプロジェクトに参加した学生の提案による2種類の靴が、2010年8月に発売される。
  • グラフィックユーモアにおいて発見的認識をうながすオペレーション
    吉原 直彦, 西田 麻希子
    セッションID: F13
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    グラフィックデザイン教育においてユーモアの視点から発想を考えることは、意義あることと考える。本論では、グラフィックユーモアの創造過程として類似イメージに対する機械的操作に取り組む考え方が、私たちの日常的な認識を刷新する結果を生むのではないかという点について述べる。グラフィックユーモアにおける「乱」と「同(着地)」の効果はイメージにおける「生真面目さ」を前提とする。また「乱」の効果は機械的操作がもたらす心的カテゴリーの非類似性によるのではないかと考える。多くのグラフィックユーモアや芸術の斬新さはこうしたオペレーションにより実現されるとみる。
  • 置換・交換操作によるグラフィックユーモアの発想支援
    西田 麻希子, 吉原 直彦
    セッションID: F14
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    グラフィックデザイン教育においてユーモアの視点から発想を考えることは、意義あることと考える。本論では、グラフィックユーモアのアイデア出しの体験を通して、イメージの置換と交換による機械的操作の考え方がユニークなアイデア創造に繋がると考える。一連の機械的操作の体験からイメージの「生真面目さ」を前提にグラフィックユーモアのアイデアは生みだされるようである。ユーモアの「乱」の効果はこうしてボトムアップの過程を経て実現する。一方、ユーモアの「同(着地)」においては言語主導のプロセスが関与的である。グラフィックユーモアのトレーニングは発想支援に有用であるようだ。
  • 地域産業振興と人材育成のための芸術系教育プログラム
    井上 友子, 佐藤 佳代, 青木 幹太
    セッションID: F15
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    「博多織プロモーション計画2」 ―地域産業振興と人材育成のための芸術系教育プログラム―  九州産業大学で平成20年度から継続している「博多織プロモーション計画」は21年度に2年目を迎え、「博多織プロモーション計画2」となった。この計画は、産学連携による実践型学科横断教育プログラムであり、地域産業の再生や振興に役立つ芸術系の人材を育成することを目的としている。
     本計画に参加した学生は地場産業「博多織」について学び、伝統芸術の「美」と「技」が低迷していることを知った。着物を着ることが非日常化し、公式の場で見ることさえ珍しくなった和服や帯を現代的な視点から捉え直し、若者世代に受け入れられるための様々な工夫やアレンジに挑戦したことは、学生自身にも地場産業「博多織」を身近に感じる機会となった。「博多織プロモーション計画2」は、地元企業、工業組合、芸術学部の学生がそれぞれの経験、知恵、創造性を活かし、伝統産業「博多織」の新しい可能性を協力体制で模索した実験的試みである。
  • 質の高い公共デザインに向けたLocal Planning Hub の効果
    熊澤 貴之, 齋藤 美絵子
    セッションID: F16
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    本研究は,質の高い公共デザインを実現するためには「自治体職員へのデザイン教育」と「ローカルコミュニティのためのウエブサイトに設けたオープンプラットフォーム」の要因を導き出し,それらを繋ぐものとしてオープンプロセス(他大学のデザインプロセス,デザイン指導やアドバイス,アイディア集)が必要であることを明らかにした.
  • 質の高い公共デザインに向けたLocal Planning Hubの効果
    齋藤 美絵子, 熊澤 貴之
    セッションID: F17
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    地方都市における公共的なデザインの水準をあげることは地域都市づくりのブランド戦略としても大きな課題であり、そのためには、クライアントである自治体や、ユーザーとしての市民などに対するデザイン教育の必要性が考えられる。また、現在、デザインを扱う教育機関において、教育プロセスや評価の開示、それらのアーカイブの必要性について関心が高ことから、本研究は、自治体や地域住民に対するデザイン教育の提供と、デザOpen Platform, Design Process, Sharing Systemイン教育現場における「プロセス」や「評価」の共有を叶えるための具体的な方法としてウェブサイトの活用を検討し、仕組みの構築を目指すものである。
  • 陳 由宜, 諸葛 正, 植田 憲
    セッションID: F18
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    台湾において、博物館事業が活発化したのは、1990 年前後のことである。この頃、政府の政策方針により、博物館は、従来の「文化機構」から「文化創意産業」へとその認識が転換された。また、1980 年代から、台湾国立自然科学博物館といった現代博物館が設立され、娯楽性および教育機能性を兼備するような設計が開始された。  ところで、博物館における効果的な展示方法は、以下のようにまとめることができる。 1)テーマの関連性を配慮した展示形式(歴史博物館など)。 2)相互活発化を導入した展示形式(科学博物館など)。 3)「美感」でイメージを導く展示形式(美術館など)。
  • 畑中 朋子, 池上 さとみ, 清水  智美
    セッションID: F19
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    社会・経済のグローバル化を背景に国・地域のブランド振興の必要性が叫ばれている。2004年以後、経済産業省主導で「JAPANブランド育成支援事業」や「新日本様式」等のプロジェクトでは、単に伝統産業を継承するだけではなく日本の伝統文化や地域資源の強みを生かし、同時に独自の技術やマーケティングを生かして、現代の生活やニーズにマッチする製品やコンテンツが奨励されている。これからのデザイナー、クリエイターにとって国や地域の文化の独自性を意識することや、文化資源から独自の表現や発想を学ぶことは益々重要になると考えられる。 本論では、デザイン・映像コンテンツ分野の大学生を対象にした教育実践において、国や地域の文化資源を現代に生かしたキャラクター・コンテンツの制作にどのような展開の可能性があるかを探った。
  • 情報の視覚化と技術との連携
    尾崎 洋, 益岡 了, 川合 康央, 池田 岳史
    セッションID: F20
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    平成18年度、岡山県立大学は独立法人化を果たすとともに学内の教育体制の改編を行った。デザイン学部は改編された「デザイン工学科」「造形デザイン学科」の二学科編成となり、「デザイン工学科」は既存のデザインコースに加え、「情報デザインコース」が新設された。学科学生は、二年生時よりコースを自主的に決定するために、コース別の専門的な科目は二年次以降に開講される。情報デザインコースでは、高度なデザイン作業へと連続的に学習できるカリキュラムを編成した。そして三年次からは、様々なデザイン技術との融合を図りつつ、情報編集デザイン能力の育成、情報デザイン教育の深化を求めた。これは総合的な知力と高度な技術の融合した人材の育成という、高等教育機関に求められる教育体制と考える。とくに情報の視覚化に着目し、実施している教育について考察し、情報デザイン教育のモデルを模索することとし、これまでに明らかになった課題の克服や、学習内容の一層の充実を図りたい。
  • 専門教育と人間教育のバランス
    高山 正喜久
    セッションID: F21
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    1.地球の危機とデザイン
    a.人口増と食料供給量の不均衡
    b.経済優先と環境破壊

    2.デザイン教育の主張
    心・技・体

    3.デザイン教育の哲学
    ユーモア・バランス・単純明快な原理探求
  • 車 政弘, 安武 正剛, 大石 高也, 折野 太陽, 馬場 紀子, 宮崎 良忠, 松本 亨
    セッションID: G01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
     福岡県産イチゴ「あまおう」の長距離輸送用パッケージのあり方について,輸送過程での結露発生,内部酸素濃度,二酸化炭素濃度のデータをもとに,通気性の確保や損傷を極力避ける形態,構造をを提案し,良好な結果を得た。フタなしのゆりかーごEタイプ(エコタイプ)はAタイプ並みの緩衝性を保持しつつ,低コストと使用材料の減量を目指したもので,従来品との比較を試みたものであり,Eタイプのパッケージについて,さらに改良を加える余地がある。  A,Bタイプパッケージはインターネット販売,個別宅配,消費者との直接取引,国内の贈答用パッケージとして,さらに輸出用パッケージとして市場性が高いと考えられる。
  • 陳 譽云, 三橋 俊雄
    セッションID: G02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    台湾において、かつて生活に不可欠であった竹素材に注目し、 竹と生活文化・生活技術の観点から、竹に関わる歴史・技術・習慣・信仰などについて、現地調査を行った。 特に、民俗学的・道具学的視点からその特質を明らかにし、エコミュージアムとしての地域文化的価値について検討した。 調査集落を大鞍里、田子里の2地域にしぼり、詳細な調査を行い、その結果、 竹具に見る伝統的な価値としての「適材適所」「地産地消」「技の探求」「一物全体活用」「象徴性・真正性」についての特質を導出することができた。
  • 田場 直也, 工藤 芳彰, 坪郷 英彦
    セッションID: G03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、都市の祭礼文化の継承をデザインによってサポートする試みの一環として、八王子市南町の山車巡行を調査対象に現状と課題を把握したものである。南町は、深刻な町会員の少子高齢化によって、祭礼組織に町外者を受け入れる対策を講じており、都市の祭礼の継承問題を検討するに適当な調査対象と考えられる。調査の結果、次のとおり考察した。今後、短期的には應神睦の会員数を維持していくことが求められる。しかし、今後ますます睦役員の高齢化が進むこと、次代を担う若手の町会員が限られていることを踏まえれば、これまで以上に「個人的な友人関係」による巡行協力者を獲得していく取り組みが重要となるだろう。また、町内を含め近隣の若年層に山車文化の大切さ、巡行の楽しさを伝える教育的活動にも取り組むべきと考える。
  • 森田 小百合, 森 典彦
    セッションID: G04
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    観光客の地場産に関わる「食に対する習慣・志向」について調査し、多様化している消費者の「食」に対するニーズを類別的に検証する。分析方法としては数量化_III_類とクラスター分析法を行い類別した。分析結果よりタイプごとに固有の特徴が顕著となり、 今後、観光活性に向けて、商品企画、サービス、PR等の戦略を効果的に展開するのに役立てることができる。
  • 佐伯 謙吾, 池田 美奈子, 姜 範圭
    セッションID: G05
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    「スタイルノート釜山/福岡」は釜山広域市と福岡市が主催となって推進する観光キャンペーン「釜山・福岡アジアゲートウェイ2011」での取り組みのひとつである。スタイルノートは観光ガイドとしての役割だけではなく、釜山・福岡両市で暮らす人々の普段のスタイルを編集したもので、それは市民が生活する上でごく普段の、しかしながら暮らしを楽しむ上で欠かすことのできないスポットを紹介している。 九州大学と釜山の東西大学校を制作の幹事として、両校による編集会議から企画を共有して制作している。今後は半年に1号のペースで2011年度末までに計6号の発行を目指している。2009年の11月には両市の「学生生活」をテーマとした1号目が完成し、両市を中心に配布されている。
  • ―あいちトリエンナーレ2010プレイベント「長者町プロジェクト2009」における経路・撮影調査―
    春日 和俊, 富田 有一, 伊藤 孝紀
    セッションID: G06
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    本研究では、あいちトリエンナーレ2010のプレイベントである長者町プロジェクト2009を対象として、鑑賞者の鑑賞行為からアートを介して街を体験するための知見を得ることを目的とする。  鑑賞者の鑑賞行為を調査するために、鑑賞者9名に対して作品鑑賞の経路調査と、作品写真の撮影調査を行った。経路調査の結果、鑑賞者の鑑賞経路には同じ通りを往復する重複型と、多くの通りを回遊する回遊型に分類することができた。重複型と回遊型の鑑賞時間を比較すると、回遊型の方がより街を長時間体験していることがわかった。以上より、回遊型の鑑賞経路を促すことが、街の体験につながると考えられる。また撮影調査の結果、撮影枚数の多い作品についてみると、鑑賞者は製作過程を公開する作品や場所の特性を活かした作品、意外性のある作品などが印象に残ることがわかった。  以上の結果から、鑑賞者にアートを介して街を体験させるためには、印象に残るような仕掛けのされた作品を、回遊型の鑑賞経路を促す仕組みを用いて展示することが重要であることが明らかになった。
  • ー商品開発過程における製作意図の変遷に関する調査ー 
    内木 智草, 坂井 大介, 伊藤 孝紀
    セッションID: G08
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
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    近年、様々な地域資源を見直し、地域性を活かした商品を開発しようという動きが活発である。地方においては、連携活動を行い産業技術の革新や新商品、新サービスを生み出し、地場産業を盛り上げることが地域活性化の重要な手段となる。そこで、本研究では、平成21年度に中部経済産業局主催で行われたワークショップを事例とし、商品開発過程における制作意図を明らかにする。これにより得られた結果から、商品開発において地場産業の特徴を活かすための知見を得ることを目的とする。さらに、地域活性化を促進するための一助となることを目指す。本調査は、制作意図調査と提案された10作品の概要から考察をする。制作意図調査では、自由記述式アンケートと発表における商品コンセプトの内容分析を行うことにより参加者の制作意図を明らかにした。 調査により、参加者が各段階に重視した要素が異なることにより、バリエーションが生まれたと考えられる。商品開発過程において、地場産業の工場見学や歴史学習、販売者によるアドバイスなど、多角的な視点での情報を制作者に取り入れることにより、様々な特徴を取り入れた商品を開発できるといえる。
  • ー販売者と消費者に対する商品評価調査ー
    坂井 大介, 内木 智草, 伊藤 孝紀
    セッションID: G10
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    平成21年度に中部経済産業局主催で行われたワークショップを事例とし、商品に対する販売者評価と消費者評価の関係を明らかにすることで、商品開発において地場産業の特徴を活かすための知見を得ることを目的とする。さらに、地域活性化を促進するための一助となることを目指す。本研究は、販売者と消費者に対する評価調査から成る。販売者に対する評価調査では、5段階評定尺度によるアンケート調査を行った。消費者に対する評価調査では、商品の展示を見た消費者に対し、自由記述によるアンケート調査を行った。調査の結果より、販売者と消費者の評価の関係を以下にまとめる。販売者はデザイン面や伝統の継承に比べて製作・販売面を重視し、評価していたことがわかった。消費者は、実用性や和紙の特性を活かしている点を重視して評価していたことがわかった。以上より、販売者は実用性、地場産業らしさといった視点を重視し、商品開発していくことが必要であると考られる。消費者が商品を選ぶ上で重視する点を商品開発過程から販売者が意識することにより、地域の魅力を伝える商品を開発でき、地域活性化につながるといえる。
  • 越後妻有アートトリエンナーレ2009における印象調査と撮影調査からの考察
    伊藤 孝紀, 金丸 貴裕, 富田 有一
    セッションID: G11
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
     新潟県越後妻有地域では2000年から3年毎に「大地の芸術祭-越後妻有アートトリエンナーレ」が世界最大級の規模で継続的に開催されている。この芸術祭の目的は過疎化に悩む越後妻有地域の魅力をアートを媒介として掘り起こし、世界に発信し、地域の活性化につなげていこうとするものである。本研究では鑑賞者に対する調査をもとに、アート作品の特性と鑑賞者の印象との関係を明らかにし、芸術祭に作家として参加する際の知見を得ることを目的とした。結果、作品自体の印象が強く周辺環境の関わりは印象に残りにくい作品、作品だけでなく樹木などの自然の構成要素とともに印象に残る作品等があることがわかった。
  • 越後妻有アートトリエンナーレ2009における撮影調査の撮影対象と撮影理由からの考察
    富田 有一, 金丸 貴裕, 伊藤 孝紀
    セッションID: G09
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
     前稿では越後妻有アートトリエンナーレ2009を対象とし、新潟県十日町市まつだい駅周辺の4つのアート作品を印象調査と撮影調査により比較した。  本稿では被験者の撮影動機に関する記述を撮影対象と 撮影理由に分解し、相互関係を考察した。また、前稿で行った撮影調査との関係をみていくことで、芸術祭におけるアート作品の特徴と鑑賞者の印象の関係を明らかにし、芸術祭に作家として参加する際の知見となることを目指した。 結果、作品自体の色彩や眺望の視覚的要素で鑑賞者を惹きつける作品、緑の存在や景観を含めた作品、作品の部分の要素で親近感を与えて作品全体では周辺環境と関連させる作品等があることがわかった。
  • ―会津農書にみる自然との共生の姿―
    大鋸 智, 植田 憲, 宮崎 清
    セッションID: G07
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、貞享元年(西暦1692年)、佐瀬与次右衛門末盛によって著された農業の指南書である『会津農書』をひもとき、江戸期の会津地方における農家によって行われていた資源循環型生活の実相を明らかにすることを目的とした文献研究である。会津農書に詳細に書かれている農家の生活の中から、資源循環型生活の知恵を抽出することにより、彼らは周囲の自然環境を整備しつつ、周囲の自然資源を最大限に無駄なく利活用するために、家屋さえも、自ら手によって、よりよいものへとつくり変えてきたといえる。また、『会津農書』に記述されている肥料を抽出し、その作られ方や、使われ方を詳細に調査することにより、生活のなかで生じるあらゆる廃棄物や副産物が、農業を行うため資源と捉えられ、それらは肥料へと姿を変え、最大限活用されてきたことが、明らかとなった。結論として、『会津農書』は、農業を中心にすえ、人びとの地域環境を慈しむ心から生起する資源循環型生活の様相を克明に捉えた書物であるとともに、生活者の積極的な努力と実践が、資源循環型生活を構築するものであるとの示唆を、今日の私たちに与える貴重な媒体であるといえよう。
  • 桐生のまち再生に関する研究
    山本 博一, 鈴木 直人, 植田 憲
    セッションID: G12
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    かつて織物産業で繁栄した桐生では, まちを流れる灌漑用水が織物産業と密接に関わっていた. 特筆すべきは, 用水を起因とした技術革新が産業の活性化を導いたこと, 用水の産業利用がまちに特異な風景を創出したこと, 用水に関わるそれらのことが住民文化を向上させる要因となったことである. しかし, こうした用水もまちの近代化による埋立てや暗渠化を余儀なくされ, 用水に影響を受けた住民文化も姿を消した. 本研究では, そうした背景を有する桐生の今後のまちづくりの可能性を探ることを目的として, 桐生の織物産業と密接に関わっていた当時の用水の利用実態を調査した. その結果, 用水の再生とその利用を前提とした伝統工芸としての織物産業の再興が, 今後の桐生のまちに重要なことが考察された.
  • 日本の陶磁器産業を中心として
    田上 知之介, 蓮見 孝
    セッションID: G13
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、衰退著しい日本の地場産業の中でも特に、陶磁器産業に焦点を絞り、地場産業振興に果たしうるこれからのデザインの役割と手法の提示を目的とするものである。  まず、地場産業の概念と定義について考究し、再定義を試みている。次に、地場産業振興方策の系譜を研究し、その変遷を分析、考察している。そして、日本の陶磁器産業に焦点を絞り、全国149カ所の産地をピックアップし、マップ上にプロットした上で産業構造の類型化を試みている。その中でも、新たなパラダイムを起こし、地場産業の再生を試みるデザイナー・城谷耕生氏に着目し、取り組みの事例を調査した。その上で考察を深め、これからの地場産業振興におけるデザインの可能性を提示している。
  • 景徳鎮における製磁工房職人へのアンケートおよびインタービューを通して
    李 艶, 宮崎 清, 植田 憲, 鈴木 直人
    セッションID: G14
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、現在の景徳鎮における製磁工房から作り出す製品そのものの面をめぐって、現在の景徳鎮製磁工房の文化変容を、観察、解析したものである。職人の意識調査を通して、下記のように析出した。 _丸1_ 現在、景徳鎮における若い製磁職人と伝統的な職人の思考がかなり離れている。 _丸2_ 製品の革新しよう製磁職人は少なくても新しい動きとして、まだ定着していないが、伝統的な工房に入り込んでいる。 _丸3_ 伝統的な職人が伝統的な市場を守りながら、革新する市場を包容し、支えていて、観察している。 _丸4_ 革新派と言える製磁者は技術などの面で、まだ景徳鎮における伝統的な工房に依存ざるをえない状態である。 _丸5_ 現在、伝統派と革新派が、共学していることが見える。 _丸6_ 長年で移民都市としても変わらず景徳鎮磁器は、現在、革新派のチャレンジに直面している。今後伝統派と革新派が景徳鎮に共存する可能性と、融合される可能性もないと言えないと考えられる
  • 金 ボンス, 宮崎 清, 鈴木 直人, 植田 憲
    セッションID: G15
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    今回、村上市中俣地区の家印についての調査で、昔からの生業や生活環境によって家印は多様な形で存在していることが分かった。また、同族意識を強調した面が見つかったことも重要だと言える。小俣の屋号看板計画を通じ、過去には生活の手段として利用した家印が今日にとって地域の観光資源として再誕生するのを確認した。もちろん観光資源化の意味より、家印の復活によって地域のコミュニティーが本来の機能を発揮するのかがもっとも重要である。今回の調査で家印や屋号などのしるし文化は、地域が内発的な発展を志向していくための資源として、重要な位置付けにあると考えた。
  • 若松 くるみ, 金 美英, 小山 慎一, 日比野 治雄
    セッションID: G17
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,「気持ち悪さ」の持つ誘目性について視覚探索課題を用いて定量的に評価した.同時に,その他の印象が探索時間に与える影響についても検討した.
    提示刺激は,気持ち悪い画像(「蛾」か「幼虫」)と気持ち悪くない画像(「花」か「キノコ」)であった.被験者には,一度に3行×3列の格子状に並べた画像を提示し,その中に1枚だけカテゴリーの異なる画像(ターゲット画像)があるかないかを判断させ,その判断時間を測定した.ターゲット画像は気持ち悪い画像の場合(その他8枚は気持ち悪くない画像)と気持ち悪くない画像の場合(その他8枚は気持ち悪い画像)の2種類があった.ターゲット画像がない場合は9枚全てが同じカテゴリーに属していた.
    実験の結果,ターゲット画像が気持ち悪い画像の場合の判断時間は,ターゲット画像が気持ち悪くない画像の場合よりも有意に短いということが示された.このことから,気持ち悪さには誘目性があることが明らかになった.更に,ターゲット画像の気持ち悪さがその他8枚の画像よりも強いほど,誘目性は高くなるということがわかった.また,「不気味だ」「嫌い」「珍しい」などの印象に同様の効果が見られた.
  • 吉良 康宏, 中野 朝里, 細谷 聡
    セッションID: G18
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、一人暮らしの学生用のキッチンを提案することが目的である。9名の学生被験者を対象にして、キッチンの使用実態調査と使用状況の観察を行なった。その解析結果から、一人暮らしの学生に適したキッチンを提案した。
  • - 高齢者・若者比較から見る画面表示の評価-
    西林 慶祐, 久保 雅義
    セッションID: G19
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    近年、鉄道駅券売機は多機能化の一途を辿っている。また鉄道IC カードの登場・普及により、全国的にタッチパネル式のものが多く、ひとつの画面上で多くの操作が行える最新式の券売機の導入が進んだ。券売機の多機能化に伴い、画面表示は複雑化し、現状では多機能化された券売機ユーザーインターフェイス(以下UI と略す)の使いやすさについての検証や規格化はなされていない。また、これまでの鉄道駅券売機に関する研究では、金額ボタンを選択してきっぷを購入する動作のみに着目したものが多く、その他の機能に関しては検証がなされていないことが分かった。また、日本は超高齢社会に突入し、公共交通において益々の高齢者対応化が求められている。そこで、本研究では、多機能・複雑化された券売機のUI に対して、高齢者・若者ともに使いやすい改善をするため、高齢者・若者の使いづらさの違いに着目して、機器評価を行った。
  • 村上 存, 竹島 千遥
    セッションID: G20
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    身近な機械製品を快適に操作できるためには,直観的に操作方法が分かり誤操作を誘発しない操作部が必要である.それに関連する概念として,「アフォーダンス」(ものがユーザに提供する操作の可能性)と「制約」(実行されうる操作を制限すること)がある.この二つを適切に組み合わせれば,直観的に正しい操作が可能な操作部を設計できる.本稿では,操作部の形状によって「押す」,「回す」という操作の種類だけでなく,押す「深さ」のような操作の定量性もアフォードできる可能性を示す.また,形状だけでなく操作部の材質によって,アフォードされる動作を制御できる可能性を示す.
  • 深井 将史, 藤田 顕吾, 高山 伸也, 為我井 敦史, 上田 香織, 山崎 和彦
    セッションID: G21
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、近年の携帯端末において重要項目である魅力的なユーザーインターフェースの開発について、人間中心設計の手法を用いることによりサービスや機能を提案する。 ユーザーがサービスに対して求める価値やそれに伴う体験をシナリオとして構造的に記述することで、具体的なユーザーインターフェースのアイデアを創出する。
  • 名古屋市中心市街地を対象とした市民意識の把握
    香村 翼, 伊藤 孝紀
    セッションID: H01
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    国内における傘の年間消費量は1億3,000万本でその内9割がビニル傘である。環境問題としての傘の大量消費を見直そうと、レンタル傘の取り組みが行われるようになった。本研究では、住民の意識を把握することで、都市部におけるレンタル傘のシステムを構築するための知見を得ることを目的としている。本研究ではレンタル傘の貸出システムやレンタル傘の利用実態に関する市民の意識を調査した。調査した市民の意識から得られた知見は、レンタル傘の設置場所や貸出システムを決定する際の指針とすることが可能である。今後の展望として、本研究から導かれる知見と、都市部における実際のレンタル傘の動き方や利用者の属性等のデータを合わせ、レンタル傘が都市において円滑に循環するシステムの構築を目指す。
  • 全国で開催されるデザインイベントの類型化と各類型の特徴について
    金子 慶太, 杉山 浩太, 林 宏樹, 伊藤 孝紀
    セッションID: H02
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、全国で開催されているデザインイベントの特徴を把握することで、デザインイベントにおける開催計画の特性を明らかにすることを目的としている。デザインイベントの開催概要を分析するために8アイテム32カテゴリーを設定し、類型化を行った。類型された3タイプについては、タイプ別における8アイテム32カテゴリーの出現構成比から分析を行った。以上から、デザインイベントにおける開催計画の特性をみる。 「長期・拡散型」は、主要なターゲットを一般の人々とすることで、デザインの普及、デザインによる地域の活性化に取り組んでいる。また、複数の会場で主に展覧会を開催することで多くの来場者を獲得している大規模なイベントであるといえる。 「短期・集約型」は、開催期間を短く設定し、会場を少なくすることで、要素が集約されたイベントであるといえる。またそれが長期の継続に成功している理由であると考えられる。 「少数・育成型」は、主要なターゲットをクリエイターと学生とし、講演会を開催することで若手人材の育成に取り組んでいる。また短い期間で開催し、他タイプと比較して動員が少ないため小規模なイベントであるといえる。
  • NAGOYA DESIGN WEEK 2009における出展者と会場提供者の観点からみた展示分析
    杉山 浩太, 林 宏樹, 金子 慶太, 伊藤 孝紀
    セッションID: H03
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、NAGOYA DESIGN WEEK 2009を事例として展示を出展者と会場提供者の観点から分析することで、デザインイベントにおける展示の特性を明らかにすることを目的とする。また得られた結果が、デザインイベントにおける展示計画の今後の指針となることを目指す。出展者については、出展作品を分析するために11アイテム52カテゴリーを設定し、出展者の専門分野別に各サンプルの出現数及び構成比を集計した。会場提供者については、展示形態を分析するために7アイテム26カテゴリーを設定し、類型化を行った。類型された各3タイプに特徴事例を示し、出展者と会場提供者の相関を考察した。出展者の専門分野と会場提供者の特性を把握した上で展示計画を行うことで、より魅力的な展示となる可能性があると考えられる。
  • -その1- JR 岐阜駅の事例
    池田 岳史, 川合 康央, 益岡 了
    セッションID: H04
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    駅空間は鉄道利用者のみならず,その他の交通機関との乗り換え,駅周辺に整備された公共施設,商業施設の利用等種々の目的を持つ利用者が存在する。各駅においては,これら利用者を円滑に誘導する手段として,サインによる情報提供が行われており,我々は日常的に位置同定,経路選択の手掛かりとして誘導サイン,位置サイン,案内サイン等を利用している。これまでの関連する研究において,駅構内及び駅前広場等周辺空間においての既設サインと利用者行動について調査を行ってきたが,駅から目的地に至る経路においては,複数の事業者によってそれぞれの空間が管理されており,これら施設管理者によって設置されるサイン同士の連携が不十分である傾向も見られた。 そこで本研究では,複数事業者によって設置された駅空間サインをシステムとして捉え,駅構内と駅前広場等周辺空間において,周辺目的地までの経路上の空間変化とサインの連続性について調査を行うことによって,より適切なサインによる情報提供について検討を加えることを目的とし,本稿では,JR岐阜駅を対象にサインの設置状況と連続性について調査を行った結果を述べることとする。
  • 金 美英, 高橋 史人, 小山 慎一, 八馬 智, 日比野 治雄
    セッションID: H05
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、「工場景観愛好者」と「工場景観非愛好者」が工場・橋・歴史建造物の景観を好きもしくは嫌いと評価する要因を比較・分析した。被験者は、工場・橋・歴史建造物の景観写真を「好き-嫌い」を含む15の評価語対を用いて評価した。「好き-嫌い」を目的変数として重回帰分析を行った結果、工場愛好者の工場景観を「好き」と評価する感情要因が多く、多様な評価基準を用いて工場景観を評価していた。一方、工場非愛好明者の場合は、景観を好きと評価する感情要因が少なく、工場・橋・歴史建造物の全てを同じ評価基準を用いて評価していることが明らかになった。工場景観を評価する人々の感情には、愛好の度合いによって評価基準が多様化することが今回の研究で確認できた。
  • 関口 彰, 井上 勝雄
    セッションID: H06
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    近年、ラフ集合を用いた分析方法が新製品のデザインコンセプト構築のために用いられることが多くなりつつある。このラフ集合の分析で用いられる決定クラスの確定方法が分析する上で非常に重要であることが分かってきた。そこで、われわれはZiarkoによって提案された可変精度ラフ集合モデルを用いた簡易縮約方法を応用し、決定クラスの新しい確定方法を提案した。さらにデジタルカメラやその他の製品での本手法の適用実験を通して、その有効性に関する検証と考察を行った。
  • 楊 玄叡, 林 耕儀, 黄 ユウファ
    セッションID: H07
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    アイデア商品を開発する際、適切な開発手法を用いることが重要である。本研究は地域文化をテーマに、「経験連想法」、「ランダム組合せ法」、「逆思考法」三種類のアイデア開発手法の効果と適用性を検討するのが目的である。研究は試作と評価実験二段階となり、第一段階の試作実験では、最初にアイデア開発課程を設計し 、同一被験者に三種類の手法で新たなロゴマークをデザインさせる。第二段階の評価実験では、デザイン専門の学者、業者による評価を行い、新たなロゴマークのアイデア効果と適用性を検討する。 本研究は台湾芸術大学修士一年生6名を対象に実験を行い、三種類のロゴマークを製作し、合計18枚のロゴマークが得られた。それらを各三名の学者と業界専門家に票選させ、アイデア効果の良いものを選びださせた。同時に評価キーワードを記録した。アイデアを開発する際、三種類の手法はそれぞれの特長があり、経験連想法では、テーマの本質や文化性が持たせる。ランダム組合せ法では、意外性が加えられる。逆思考法では、本質、視点が変えられる。三者の利点を結び付ければ、文化性、革新性、異質性を兼ねるアイデア開発方法が可能ではないかと考えられる。
  • 加藤 健太
    セッションID: H08
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    国土交通省が公的に使用している乗用車の平均乗車人数の値は1.3人である。これは現在市販されている乗用車の多くが4人以上の乗車定員だということを考えると、乗車定員数削減による小型化が大いに可能なように思われる。そこで本研究では、乗用車の定員数と生活者の意識の変遷を文献調査から分析し、現在の乗車人数と利用実態をアンケート調査によって明らかにした。それをもとに乗用車の乗車人数を適正化する手段の一つとして少人数乗りの乗用車の可能性を考察した。その結果、2人乗りのパーソナルモビリティが今後普及する可能性があると分かった。また、5人乗り以上の乗用車は非所有化し、レンタカーなどを利用することが望ましい。しかし、少人数乗り乗用車を購入する事による利点が消費者にとって少ないのが現状である。今後はこの利点を明白にし、実現の可能性のための解決策を具体的な数字で明らかにしすることが課題であると言える。
  • 密谷 謙士朗, 山岡 俊樹
    セッションID: H09
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
     近年,GUIを必要とされる製品は増えているが,中小企業では画面設計できる人材が不足しており,経験の少ない設計者でも活用可能な画面可視化手法が望まれている.そこで,本研究では,論理的に製品開発が行える手法であるヒューマンデザインテクノロジー(以下HDT)に基づいて,コンセプトからGUIパターンを選択し,可視化ができる画面可視化支援の検討を行った.まず,GUIデザインコンセプトからそれを具現化するUI設計項目を選択するために,形式概念分析を用いて両者の関係を把握した.次に既存のGUIから頻出する画面上の機能や表示方法などのGUIパターンを抽出した.抽出したGUIパターンとUI設計項目との包含関係を把握し,各UI設計項目にあてはまるGUIパターンを検討した.実際に本手法でカラオケの曲入力端末の画面設計を行った.従来のようなあいまいなコンセプトで画面を作成すると検討すべき点で漏れが生じる可能性が高いが,本手法だと,コンセプトに対してすでに検討されたパターンから画面要素を選ぶので,検討漏れが少なくなると考えられる.
  • 地方の食品会社を対象にした通販新聞広告に関する研究
    田仲 正一, 都甲 康至
    セッションID: H10
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、レスポンスを高める新聞広告のデザイン手法を明らかにすることを目的とし、次の手順で研究を進めた。 文献調査から新聞広告のデザイン要素(文章、写真、イラスト、図・表、色等)とレスポンスに影響すると思われるデザイン表現を導出した(1)。また、レスポンス効果が高いと思われる通販の新聞広告を抽出した(2)。次に、(1)で導出したデザイン要素と(2)で抽出した新聞広告の関係を考察し、レスポンス効果があると思われる新聞広告のデザイン手法の仮説を構築した(3)。そして、(3)で構築した仮説の中で核となる写真がレスポンスに与える影響について検証を行うために、企業は食品通販企業(ツチヤ養鶏)、商品はリピートが期待できる卵、媒体は読売新聞東京版夕刊とした。仮説にそって、商品特徴を促す写真の有るAデザインと特徴写真が無いBデザインの2種類の新聞広告を制作し掲載した、レスポンス率(受注件数/新聞発行部数)で評価を行った。Aのレスポンス率が0.017%、Bのレスポンス率が0.007%であった。 その結果、商品特徴を消費者に促す写真がレスポンスに大きく影響することがわかった。
  • 画像特徴色の抽出と分類法の検討
    暮橋 昌宏, 柳澤 秀吉
    セッションID: H11
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    カラーリングデザインの検討プロセスの初期段階において,デザイナはデザインコンセプトに沿った様々な配色案を考案する必要がある.本研究では,画像から抽出した特徴色を用いることで,デザイナーの配色案の探索を支援するシステムを提案する.提案システムは,まず画像データベースからキーワードにより検索したコンセプトと関連する画像群から,各画像の特徴色を抽出する.次に,類似した特徴色でグル―ピングする.そして,各グループを代表する配色を選択することで,コンセプトに合致した多様な配色案を提示する.ケーススタディとして,二輪車の配色問題を対象としたシステムを実装する.カラーデザイナによる試用評価実験から,コンセプトに基づく配色考案を支援する上での有効性を確認した.
  • - 和歌山電鐵貴志川線を事例として ー
    市原 増夫, 久保 雅義
    セッションID: H12
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    近年、地方鉄道は経営環境の悪化から存続・廃線の危機に瀕しており、各社とも生き残りを賭けて様々な取組みを行っている。特に観光面では独自性のある一芸を打ち出し、集客を図ろうとしている。その中でもネコの駅長というキャラクターや特徴的な車両デザインによるユニークな取組みと、官民一体の積極的な活動で地方鉄道活性化の成功例とされているのが、和歌山電鐵貴志川線である。本研究では、同線の観光目的の利用者の増加の要因を探ることを目的とした。
  • 高知県安芸郡馬路村を成功事例として
    林 恵子
    セッションID: H13
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    地域活性化策の一つに「地域ブランド」がある。地域ブランドとは、地域に存在する資源を生かした産業と地域自体のイメージを一体化させ、それをブランドとする取組みである。本稿では地域ブランドの成功事例として高知県安芸郡馬路村の柚子加工品を挙げ、同村のブランド戦略の特性を明らかにすることを目的とし、他地域ブランドとの比較・分析を行った。その結果、馬路村ブランドの最大の特性は、主体となる農協が自治体と密接に連携していることだと示された。多くの地域ブランド事例において自治体は、ブランドを運制する主体に対して補助を行っているが、それらは一部商品の販売を請け負うものがほとんどで、馬路村ブランドのように主体となる団体と自治体とがほぼ全ての営業活動を共に行う事例は見られなかった。
  • 外来待合と連絡通路における比較検証
    吉岡 聖美
    セッションID: H14
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では,病院のアートが患者の認知および印象に与える効果を検証する。また,病院の異なる空間におけるアートの効果を比較検証することを目的とする。方法は,外来待合および連絡通路にアートが施工された病院の外来患者に対し,見る頻度,快不快,意識,通院期間,通院頻度,当日の経過時間,平均的な病院滞在時間,について回答を求め分析を行った。これにより,外来待合壁面の自由形態パネルによる具象絵画については,病院での平均待ち時間が長いほど見る頻度は増加し,意識的に見て,快さが増すことが示された。また,最寄り駅改札と病院玄関をつなぐ連絡通路ガラス面の半透明シートによる抽象アートについては,通院期間が長いほど見る頻度は増加し,意識的に見て,快さが増すことが示された。待合空間および連絡通路という移動空間のそれぞれにおけるアートの効果が確認された。
  • 井上 勝雄, 橋本 昇児, 関口 彰
    セッションID: H15
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    今日、視覚的使いやすさ感はマーケティング分野においても注目されている。この背景から、我々は表示画面や操作パネル部分に焦点を当てた研究を行ってきた。それに対して、本研究では、これまで行われていなかった造形(スタイリングデザイン)のみの視覚的使いやすさに注目した。その事例として、ヘアードライヤー製品を対象とした。分析の方法としては、主成分分析の主成分得点を用いて,サンプルの絞込みを行い各主成分の示す特徴をラフ集合で抽出する新たな試みを行った。その結果、「髪の毛がすぐ乾きそう」などの対象製品の本来機能の視覚的な使いやすさ感が上位になることが示された。この結果は,製品コンセプト策定において新たな視点として加味する必要を示唆している。
  • 河川環境サインシステムプロジェクト-2
    曽我部 春香, 森田 昌嗣, 石橋 伸介, 石川 映子
    セッションID: H16
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、大分県日田市内を流れる三隈川をケーススタディとして、河川標識改善に向けたデザイン計画を実施した。河川空間に設置される河川標識は、行政や河川管理者、地域住民団体等によりそれぞれに設置されるため、統一性がなく、標識が乱立する傾向にある。そこで本プロジェクトでは、河川管理者を事務局に行政や住民の代表者らと河川標識に関しての検討を行う協議会を設立し、標識の設置位置や掲載内容等について検討を重ね、河川名標識、規制標識、案内標識等の設置を行った。本稿には住民らとの協議に際しての留意点や、事務局およびデザイン担当者として把握しておくべき事項等についてまとめた。また、河川標識改善に向けた標識のデザイン意図等についても述べ、将来の計画に役立てるために今回のプロジェクトから得られた課題を整理した。
  • 山内 貴博, 清水 泰博
    セッションID: H17
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/15
    会議録・要旨集 フリー
    街の雰囲気のちがいとは何か。雰囲気を感じるのは人、みている対象は街である。そしてちがいを感じるということは、街の雰囲気は、その場の個性や特徴、性格や特性といったその場に固有な性質、すなわち場の固有性のことと定義できそうである。街の雰囲気のちがいとは何かという疑問から始めた本研究は、場の固有性の論理を解明することを主な目的とする。研究は5章で構成する。第1章の序論「街の雰囲気のちがいとは何か」から出発し、第2章で場の固有性の捉え方/概念について考え、第3章で場の固有性の生まれる要因/原理について考え、第4章で場の固有性を生む方法/作法について考える。第5章で結論としてシステム化へ向けての提案というかたちでまとめる、という内容である。今回の発表は、第2章 場の固有性の捉え方/概念について発表する。
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