1.ハシボソミズナギドリの斃死発生数を,1976年から1982年まで,千葉県九十九里海岸で調査した。調査は,椎名内浜に2kmのライントランセクトを設け,毎年春季,原則として週1回行なった。あわせて,ハイイロミズナギドリ,オオミズナギドリの斃死数も記録した。
2.その結果,ハシボソミズナギドリの斃死ピークは,毎年5月下旬から6月初旬に認められたが,ハイイロミズナギドリ,オオミズナギドリでは,両種共斃死ピークは認められなかった。
3.ハシボソミズナギドリの斃死ピーク時の累積斃死密度は,1977年を除くと,12.3±5.72(SD)/kmと低値を示した。1977年は,同44.5/kmの高値を記録したものの,1974年,1975年の全国的な大量斃死時の九十九里海岸の斃死密度80/kmと比較すると著しく低く,他地域での斃死発生報告も得られなかったので,悪天候による局所的な現象とみなされた。
4.ハイイロミズナギドリ,オオミズナギドリは,ハシボソミズナギドリと比較して,全期間中斃死発生が少なかった。
5.以上のことにより,ハシボソミズナギドリの1974年,1975年レベルの大量死は,1976年~1982年の7年間発生していないことが判明した。
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