顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
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特集:FIB-SEM技術の最前線
  • 永富 隆清
    2023 年 58 巻 3 号 p. 89
    発行日: 2023/12/30
    公開日: 2024/01/10
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  • 山﨑 重人
    2023 年 58 巻 3 号 p. 90-94
    発行日: 2023/12/30
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル 認証あり

    クリープ変形させたニッケル基耐熱合金に対して,SEM-ECCI像のシリアルセクショニングによる転位の三次元可視化を行った.ECCI像の連続断層像を基に計算を行うことで,転位組織を含む約5 μm × 5 μm × 0.3 μmのボリュームの再構築に成功した.これに,SEM-EBSD法によって得られた結晶方位情報を組み込むことによって,すべり面や交差すべりなどの転位の三次元的な配置が三次元ボリュームに正確に反映されていることを確認した.このように,ECCI像のシリアルセクショニングによって,バルクの転位組織をマイクロメートルスケールの範囲で三次元的に観察・解析することが可能である.

  • 加藤 丈晴
    2023 年 58 巻 3 号 p. 95-99
    発行日: 2023/12/30
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル 認証あり

    集束イオンビーム(FIB)装置は,透過型電子顕微鏡(TEM)用の薄片試料作製装置として,材料の研究開発や産業分野で広く活用されている.FIB加工では加工面にFIBダメージ層が形成される問題があるが,FIBポストシニングとして,低加速電圧のイオンビームを照射することによりFIBダメージ層を軽減させ,TEM像の像質改善に成功している.FIBポストシニングは,特に,半導体材料やセラミックス材料で効果的であるが,金属材料での報告例は多くはない.本報では,白金材料を対象に低加速電圧のイオンビームを用いたFIBポストシニングによる影響を調査した結果を説明する.また,FIB装置に走査型電子顕微鏡(SEM)カラムを備えたFIB-SEM複合装置は,シングルカラムのFIB装置と比べると,多くの観察・分析機能を有している.その一つに,連続FIB断面加工後に撮影される断面SEM像を用いた3次元再構成技術がある.FIB-SEMによる3次元再構成について,超電導材料の解析例を示し,今後の展開について述べる.

  • 兒玉 優, 大川 登志郎, 鈴木 直久
    2023 年 58 巻 3 号 p. 100-105
    発行日: 2023/12/30
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル 認証あり

    FIBとして広く普及している液体金属型Ga-FIBに加え,近年,プラズマFIBの普及が進んでいる.プラズマFIBの特長は液体金属型FIBに比べ約30倍のプローブ電流量,Xe-FIBを利用する場合ではGa-FIBの約50倍の加工速度を得ることができる点であり,この利点からGa-FIBでは困難であった幅数百μmの大面積の断面加工や3D分析への活用例が増えている.大きな加工電流での試料加工ではGa-FIBを用いた加工・観察では大きな問題とならなかった加工アーティファクトの問題が顕著となり対処が必要となるが,プラズマFIBでの加工におけるアーティファクト抑制について解説した報告は少ない.本稿ではプラズマFIBおよび主要なプラズマイオン源について紹介するとともに,FIBで発生する加工アーティファクトのうち,大電流での加工時に対処が必要なテラス・リップル,カーテニングについて成因と抑制方法を解説する.

  • 大西 毅
    2023 年 58 巻 3 号 p. 106-110
    発行日: 2023/12/30
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル 認証あり

    電子顕微鏡分野では,近年「自動化」が注目されており,国内外の学会でも主要なテーマとして議論されている.自動化のレベルや内容は,解析担当者が置かれている状況(環境)によって異なる.このため,本論文では半導体ライン,アカデミア,分析センターの各場所で要求される自動化のスタイルを整理した後,特に,高い自動化率が要求される半導体ラインのTEM解析/計測に焦点を当て,FIBによるTEM試料作製の自動化について詳述する.自動化は高い成功率を確保して実現する必要があり,創意工夫をしてロバスト性を高めるアプローチが必要である.自動化をワークフローの視点で考えると,装置毎の自動化処理だけでなく,試料とデータの流れを高いトレーサビリティをもって管理することが望ましい.このため,TEM試料を搭載するLC(Lamella Carrier)と,装置間のLC運搬のために複数のLCを収容するLCC(LC Container)について共通化することが議論されており,これに関するSEMI規格についても本論文で触れる.

解説
  • 津田 健治, 森川 大輔
    2023 年 58 巻 3 号 p. 111-116
    発行日: 2023/12/30
    公開日: 2024/01/10
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    ナノ電子プローブを用いる収束電子回折(CBED)法は,局所領域の結晶対称性の決定,動力学回折理論に基づく定量的な結晶構造解析(QCBED)等に用いられている.高速・高感度の二次元ピクセル電子検出器の開発により,CBED法と走査透過電子顕微鏡法を組み合わせた4D-STEM法が急速に発展し,界面などの非一様な構造の解析が可能となりつつある.4D-STEM法を用いたCaTiO3およびBaTiO3の双晶界面の構造解析と,4D-STEMによる定量構造解析に向けた動力学回折強度計算手法について紹介する.

講座
  • 石塚 匠, Narantsog Choijookhuu, 柴田 恭明, 小路 武彦, 菱川 善隆
    2023 年 58 巻 3 号 p. 117-122
    発行日: 2023/12/30
    公開日: 2024/01/10
    ジャーナル 認証あり

    代表的な組織学的手法の一つであるin situ hybridization法(ISH)は,組織切片上で特異的な塩基配列を有する核酸分子を視覚化し,「本来存在する場所(in situ)」で検出する方法である.ISHは多様な細胞により構成されている組織内で特定の遺伝子を同定するための方法論として,分子機構の解明や疾患の病態解明に貢献している.一方で,プローブや標識の種類などによっては検出感度が十分でない場合がある.本稿では,蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer: FRET)現象を利用した高感度蛍光標識プローブを用いたFRET based in situ hybridization(FRET-ISH)について紹介する.

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