顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
Print ISSN : 1349-0958
55 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
特集:高度情報科学手法による画像解析・スペクトル解析
  • 平山 司
    2020 年 55 巻 2 号 p. 52
    発行日: 2020/08/30
    公開日: 2020/09/08
    ジャーナル フリー
  • 御堂 義博, 中前 幸治, 品田 博之, 村上 恭和
    2020 年 55 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2020/08/30
    公開日: 2020/09/08
    ジャーナル フリー

    電子線ホログラフィーの位相検出感度は,画像データであるホログラムの像質,即ち1画素あたりの電子計測数,S/N比,干渉縞のコントラスト等に依存する.ウェーブレット隠れマルコフモデルは,雑音と弱い信号を適切に区別するための指針をマルコフ性という情報科学的な概念をもとに整備・構築し,それをウェーブレット変換に基づく雑音除去のプロセスに導入する枠組である.本稿では同手法の概要と,電子線ホログラムの雑音除去に対する効果を述べる.

  • 武藤 俊介, 志賀 元紀
    2020 年 55 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 2020/08/30
    公開日: 2020/09/08
    ジャーナル フリー

    機械学習応用によるスペクトラムイメージデータからのノイズ除去および信号抽出のテクニックの最近の進展を紹介する.ここで取り扱うのは,一般に非負値行列分解と呼ばれ,機械学習分野では多数のスペクトルデータを少数の代表スペクトルで表す「次元削減」という範疇に属する.特にスペクトルバックグラウンドやノイズモデルに依存したデータ前処理によってスペクトル処理結果の精度や性能に及ぼす重大な効果について述べる.さらに複雑化する実験データの解析に対応すべく,無理なく統一した取り扱いを提供するテンソル分解法への拡張についても触れたい.また機械学習テクニックのデータ解析への応用全般に関して,最近散見される誤った雑音モデルの取り扱いに対して注意を喚起したい.

  • 山本 知一, 楊 文慧, Tran Xuan Quy, 松村 晶
    2020 年 55 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2020/08/30
    公開日: 2020/09/08
    ジャーナル フリー

    走査・透過電子顕微鏡(TEM/STEM)によるX線元素分析(XEDS)は幅広い研究分野で広く利用されている.近年,X線の測定感度が大きく向上してきたために,原子分解能での元素マッピングも行われるようになった.しかし,その測定効率は電子エネルギー損失分光やSTEM像取得と比べてまだ低く,微量な元素の検出などに課題がある.本稿では,シグナル不足に伴うノイズを除去する画像処理を施したXEDSによる元素マッピングにより,化合物中の微量添加元素の占有結晶サイトを決定した例を紹介してその有効性を述べる.

  • 野村 優貴, 山本 和生, 平山 司, 井垣 恵美子, 齋藤 晃
    2020 年 55 巻 2 号 p. 70-74
    発行日: 2020/08/30
    公開日: 2020/09/08
    ジャーナル フリー

    全固体リチウムイオン電池(全固体LIB)は,現行LIBの課題を克服する可能性を有する次世代二次電池である.しかしながら,電極/固体電解質界面でのLiイオン移動抵抗がその性能を制限する.そのため,界面現象をナノメートルスケールで解明し,材料設計にフィードバックすることが重要である.本稿では,走査透過型電子顕微鏡法(STEM)と電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて,全固体LIB内のLi分布と遷移金属元素の電子状態を動的に観察するOperando観察手法を紹介する.LiCoO2正極と酸化物系固体電解質の界面近傍をSTEM-EELS観察し,多変量解析を適用することにより,充放電中のLi分布の変化を定量的に計測した.その結果,Liイオンが不均一に脱離/挿入され,また,電気化学反応の活性が成膜直後のLi濃度に依存することが明らかになった.また,界面近傍の約10–20 nmの領域では,電気化学的に不活性なCo3O4が存在していることがわかり,本全固体LIBの界面抵抗の原因を特定できた.

解説
  • 佐藤 庸平, 寺内 正己
    2020 年 55 巻 2 号 p. 75-82
    発行日: 2020/08/30
    公開日: 2020/09/08
    ジャーナル フリー

    電子エネルギー損失分光法(EELS)は,固体の光学的・誘電的特性の解析に用いることができる.高速電子のエネルギー損失過程は,固体内電子とのクーロン相互作用に起因した誘電応答の結果として理解され,EELSスペクトルから固体の誘電関数の情報を得ることができる.誘電関数は固体の性質を示す基本的な関数であり,古典的なモデルを用いて理解することができる.本記事では,EELS測定により導出した誘電関数から固体の物性がどのように理解されるのか,古典的なモデル(ドルーデモデル,ローレンツモデル)を用いて解説を行う.誘電特性の解析例として,近赤外散乱材料として注目されているLaB6の測定例を示し,材料内のキャリア電子の特性について議論する.さらに異方的な結晶構造を持つCsドープタングステンブロンズの角度分解EELS測定の解析例を示し,異方的な金属材料ではどのように誘電特性が理解できるのかを述べる.

  • 太田 啓介
    2020 年 55 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2020/08/30
    公開日: 2020/09/08
    ジャーナル フリー

    光-電子相関顕微鏡法(CLEM)は,光学顕微鏡と電子顕微鏡で同じ試料の同じ場所を観察し,両者の分解能のギャップを橋渡しする技術で,細胞内のサブオルガネラレベルの解析を要求される細胞生物学において重要な研究ツールになり得る技術である.CLEMには目的により様々な手法があり,また近年,走査型電子顕微鏡を用いたCLEM法が発達し状況が大きく変化している.本稿はCLEMの全体のワークフローを振り返り,目的別の手法と注意点をまとめた.

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