顕微鏡
Online ISSN : 2434-2386
Print ISSN : 1349-0958
45 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
特集:アジア若手の研究から
  • 武藤 俊介
    2010 年 45 巻 1 号 p. 2-
    発行日: 2010/03/30
    公開日: 2020/01/21
    ジャーナル フリー
  • 朱 明文, 陳 正弦
    2010 年 45 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2010/03/30
    公開日: 2020/01/21
    ジャーナル フリー

    国立台湾大学における走査透過電子顕微鏡(STEM)研究室は台湾における最初の電子エネルギー損失分光(EELS)を専門とする代表的機関である.我々の過去五年間の多くの努力の結果,STEMとEELSの併用,STEM-EELS法の発展をもたらし,ナノメートルスケールの空間分解能を持つ電子状態分析が可能となった.このSTEM-EELSの組み合わせを用いて,プラズモニクスとしてよく知られている表面プラズモンの極めて興味深い性質を,金ナノ粒子一個一個を区別して明らかにし,更に過去あまり取り上げられることの無かった一種の表面励起である表面励起子ポラリトンを再検討した.この記事で議論するように,STEM-EELSはナノ分析において不可欠なだけでなく,まだ予期せぬ物理現象に遭遇することのできる道でもある.

  • Min Gao, Chengyao Li, Wenliang Li, Lian-Mao Peng
    2010 年 45 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2010/03/30
    公開日: 2020/01/21
    ジャーナル フリー

    本稿では一次元ナノ構造一つ一つの総合的分析のために光学測定技術とその場電子顕微鏡法を結合した当初の努力内容を概観する.二つの素直なアプローチ法を適用した.一つ目は一つのサンプルを幾つかの必要な装置で共有して同じ一個のナノ構造を特定して異なる分析技法で測定を行うもの.二つ目は光ファイバープローブとナノプローブ技術を走査電子顕微鏡(SEM)の中で結合し,総合分析システムを組み立てるものである.上記二つの方法を一次元ZnOナノ構造における緑光の発光の原因と導波特性を調べることに応用した.この総合分析システムによって光学エレクトロニクスデバイスのためのナノ構造のその場組み立てと分析をも可能にする.これらの例を使って,光学測定技術とその場電子顕微鏡法の組み合わせが光学エレクトロニクスナノ材料及びナノデバイス研究にとって強力なものとなることを示す.

  • Jamreonta Parinyataramas, Sakuntam Sanorpim, Chanchana Thanachayanont, ...
    2010 年 45 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2010/03/30
    公開日: 2020/01/21
    ジャーナル フリー

    AlGaAsバッファ層を使ったGaAs(001)基板上の有機金属気相エピタキシャル成長による立方晶GaN膜における構造相転移を透過電子顕微鏡法(TEM)で調べた.立方晶GaN層のナノスケールでの構造相転移に対するAlGaAsバッファ層の役割に焦点をおいた.挿入されたバッファ層は高成長温度(900°C以上)でGaAs基板が熱分解することを防ぐ保護層として振る舞うことがわかった.このことによってGaN/AlGaAs界面での孔(voids)が生成することなくGaAs基板上にGaN層を成長させることができる.他方,立方晶GaN/GaAs/AlGaAs/GaAs(001)基板多層構造では孔の生成が観察されたが,これらの孔はAlGaAsバッファ層界面で留まることがわかった.しかしながらこのAlGaAsバッファ層はGaN最上層内で立方晶から六方晶への相転移を誘起することが明らかになった.この立方晶から立方晶/六方晶混晶へのナノ構造相転移の存在と立方晶GaN層内でのエピタキシャル方位関係をTEM観察によって解析した.これらの結果は,フォトルミネッセンス,ラマン散乱測定によって確認された.

  • Mohd Al Amin Muhamad Nor, Hazizan Md. Akil, Zainal Arifin Ahmad
    2010 年 45 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2010/03/30
    公開日: 2020/01/21
    ジャーナル フリー

    環境技術として触媒コンバータ,ディーゼル粉じんフィルター,多孔質生体材料,固体酸化物燃料電池及びサンドイッチ構造の軽量芯材などにまで拡がりつつあるセラミックス発泡体応用への要求を満たすために,その工学応用における重要性が特性制御されたセラミックス発泡体を生産する技術開発を先導している.本研究では商用ポリマーフォーム(発泡スチロール)を鋳型材料として用いることで,特性制御されたセラミックス発泡体を作製した.できたセラミックス発泡体の微細構造が鋳型材料の複製になっていることがSEM観察によって明らかになり,セラミックススラリーの固形分率及び鋳型の密度を様々に変えることによって,それらが多孔質セラミックスの微細構造に及ぼす効果を確認した.固形分率が増加すると共に,孔(pores)の量,及びサイズは減少し,胞(cell)壁は厚くなる.これらの変化はアルキメデス法によって測定される多孔性(porosity)及び密度によって決まる.セラミックス固形分率が20から45%へと増加するに従って,多孔性は82%から12%へと減少し,密度は0.40から1.99 g/cm3に増加した.さらに曲げ強度が0.59から14.20 MPaにまで増加するという結果が得られた.特性制御可能なセラミックス発泡体をこのように単純で比較的安価な製造法でうまく作ることができた.低密度の多孔質セラミックスはサンドイッチ構造の芯材としての新たな候補材として適していると思われる.

解説
  • 安藤 敏夫
    2010 年 45 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 2010/03/30
    公開日: 2020/01/21
    ジャーナル フリー

    タンパク質の機能メカニズムの解明に向けて,個々のタンパク質分子の動的プロセスを高い空間時間分解能で直接可視化できる高速AFMを開発した.AFMに含まれるすべてのデバイスを高速化し,スキャナーの振動抑制技術や探針・試料間接触力の低減化技術を開発した.条件にもよるが,1画像を40~70 msの時間で撮ることが可能となった.しかも,デリケートなタンパク質間相互作用を乱さずにイメージングできる.この新規顕微鏡によりタンパク質の機能中のダイナミックな振る舞いを直接映像として捉えることに成功し,且つ,その映像データからタンパク質の機能メカニズムを解明できることを実証した.本稿では,高速AFM開発の動機をまず述べ,装置開発の概略,得られた映像,今後の展望について解説する.

  • 末永 和知, 越野 雅至, 劉 崢, 佐藤 雄太, Chuanhong Jin
    2010 年 45 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2010/03/30
    公開日: 2020/01/21
    ジャーナル フリー

    有機分子の電子顕微鏡観察を行う場合,いちばんの障害が電子線ダメージであることは言を俟たない.とくに有機単分子の高分解能観察においては十分な感度と分解能を達成するために,極めて大きなドーズ量が必要となる.我々は試料固定法を工夫することで,電子線ダメージの二次的な拡散をできる限り抑えることを試みた.本稿では,単分子の高分解能観察に成功した数少ない例を紹介しながら,我々なりの電子線ダメージに対する見解や将来の方針などを議論する.

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