顕微鏡
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特集:原子変位を観る
  • 平山 司, 木本 浩司
    2019 年 54 巻 1 号 p. 2
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
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  • 木本 浩司
    2019 年 54 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
    ジャーナル 認証あり

    走査透過電子顕微鏡法(Scanning Transmission Electron Microscopy; STEM)で結晶構造を解析するための計測技術の概要と,原子変位を観る試みについて述べる.結晶構造を反映したSTEM像を得るためには,入射プローブを原子列間隔以下まで収束することに加え,十分なsignal-to-noise(SN)比で歪みなく画像を取得する必要があり,そのほかにも定量的に信号を計測し評価する必要がある.本稿では環状暗視野像を用いてピコメートルオーダーまで原子位置の同定を試みた結果を紹介する.動力学的回折効果や試料の傾斜が原子位置の同定にどれほど影響するのかを概観する.

  • 石塚 和夫
    2019 年 54 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
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    結晶中の欠陥による格子歪み,あるいは,電気的,機械的機能性を制御するために意図的に導入された格子歪みをナノメータースケールで計測することは重要な課題である.透過型電子顕微鏡(TEM)では晶帯軸から結晶性試料を観察すれば格子像あるいは原子コラム像が得られる.最近では,分析機能と併用が可能な走査型透過電子顕微鏡(STEM)による原子コラム像の観測も一般的になって来ている.これらの高分解能電子顕微鏡(電顕)像の注意深い解析により10–2程度の格子歪みの計測が可能な種々の方法が開発されている.ここでは高分解能像を用いた2つの相補的な格子歪みの解析法について解説する:一つは高分解能像上の等価な位置を解析することにより局所的な格子の伸び縮みを計るピーク対解析法(Peak-Pairs Analysis: PPA)であり,他方は電顕像をフーリエ変換により各格子像に分解し,格子像に現れる微妙な格子のずれを幾何位相として計測する幾何位相解析法(Geometric Phase Analysis: GPA)である.幾何位相の考えは暗視野電子線ホログラフィー(Dark-Field Electron Holography)やSTEMモアレ解析(STEM Moiré Analysis)による格子歪み計測にも利用されている.

  • 麻生 亮太郎
    2019 年 54 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
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    遷移金属酸化物を構成要素とするヘテロ構造は,完全結晶には見られない特異な機能を発現することから大きな注目を集めている.ペロブスカイト構造酸化物ABO3薄膜においては,金属原子を中心とする酸素八面体構造がマクロな機能特性を決定づけるため,機能発現メカニズムを理解するにはこの酸素八面体構造の詳細な解析が必要となる.しかし,八面体を構成する酸素原子は弱い電子散乱能のため,直接観察することは難しかった.本研究では,最新の球面収差補正器を搭載した原子分解能走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて,高角度環状暗視野(HAADF)法と軽元素可視化に特化した環状明視野(ABF)法に高速走査画像積算法を応用することで,酸素原子を含む全ての構成原子の位置を高精度で検出することに成功した.これにより,ヘテロ界面という局所領域における酸素八面体結合を直接観測し,界面直上における酸素原子変位が薄膜構造と強い相関を持つことを明らかにした.

  • 小林 俊介, 山本 剛久, 幾原 雄一
    2019 年 54 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
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    走査型透過電子顕微鏡法ではナノメートルオーダーの格子変形が直視できるようになり,物質・材料の原子レベルでの構造解析において極めて有効な手法となった.多くの機能性材料において物性発現サイズがナノスケールとなり,表面,ヘテロ界面や格子欠陥近傍の僅かな原子配列の変化を解析するためは,現状よりさらに一桁小さいピコメートルオーダーによる原子位置の計測が必要不可欠な技術となる.このピコメートルオーダーの実空間での材料解析において走査型透過電子顕微鏡法が一つの重要な手法となりつつある.本稿ではオリビン型リン酸鉄リチウムの表面再構成構造観察の結果および画像解析によって初めて認識できる10 pm以下の陽イオン変位を内在するチタン酸バリウム薄膜中のドメイン構造解析に関して紹介する.

解説
  • 大野 伸彦
    2019 年 54 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
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    近年,走査型電子顕微鏡を用いた電子顕微鏡ボリュームイメージング法の普及により,生物組織の3次元微細形態解析が広く行われるようになってきた.しかし,生物試料は元来導電性やコントラストが低いため,走査型電子顕微鏡による観察の際に発生しやすいチャージング(帯電)や試料のダメージなどによるアーチファクトが大きな問題となる.こうした問題に対して,試料作製方法の開発や改良,電子顕微鏡内部での帯電を低減するための機器開発などが行われ,イメージングの際の帯電の防止,薄切・観察の際の試料ダメージの軽減,高シグナルノイズ比あるいは高解像度でのデータ取得などが可能になってきた.こうした技術のさらなる発展は,生物試料の3次元微細形態解析のスケール,質,およびスループットを向上させ,生命機能を支える構造情報のより深い理解につながると期待される.

  • 山本 和生, 穴田 智史, 仲野 靖孝, 野村 優貴, 松本 実子, 平山 司
    2019 年 54 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
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    電子線ホログラフィーは,電場や磁場を定量的に観察できる位相計測法として1980年代より発展してきた.特に,高い空間分解能と位相計測精度が得られる位相シフト電子線ホログラフィーは,近年,微細化かつ複雑化してきた化合物半導体デバイスの微弱な電位分布を観察・計測するのに適している.最近,我々は,複数の電子線バイプリズムを用いた位相シフト電子線ホログラフィーにより,n型GaN半導体内部のドーパント濃度分布(1016/1017/1018/1019 atoms/cm3)をクリアに可視化することに成功した.また,TEM内でGaAs p-n接合に電圧を印加しながら,従来以上の高い計測精度で,電位分布,電場分布,電荷密度分布をin situ観察することに成功した.さらに,最近注目されてきた高度画像処理である圧縮センシング技術をホログラムのノイズ除去に適用し,劇的に位相計測精度が向上することがわかってきた.本稿では上記の結果について解説し,本手法の高速観察への可能性も述べる.

講座
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  • 波多 聰, 佐藤 和久, 工藤 博幸, 古河 弘光, 川本 克巳, 堀井 則孝, 加茂 勝己, 宮崎 伸介, 權堂 貴志, 宮崎 裕也, 斉 ...
    2019 年 54 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/05/30
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    試料に応力を加えつつ電子線トモグラフィー観察が行えるシステムを開発した.その場変形トモグラフィー試料ホルダー,透過電子顕微鏡本体および撮像用カメラを統合制御し,試料に一定応力を加えたまま一定速度で傾斜しつつ連続傾斜像を高速収録する.この一連の作業を繰り返し,得られた連続傾斜像から三次元(3D)画像を再構成して収録順に出力することで,3D動画像を得る.Pb–Snはんだ合金への適用例を紹介する.

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