MEDCHEM NEWS
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33 巻, 2 号
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巻頭言
創薬最前線
  • 石綿 紀久, 長南 具通
    2023 年 33 巻 2 号 p. 54-59
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル 認証あり
    日産化学は、「近代バイオテクノロジーの父」と呼ばれた高峰譲吉と「日本資本主義の父」と呼ばれた渋沢栄一によって、1887年に日本初の化学肥料会社として創業以来、受け継がれるパイオニア精神により革新的な技術と事業の挑戦を続けてきた。本稿では、近年の当社独自の創薬基盤技術の開発の実例として、「液相ペプチド合成技術SYNCSOL®」「核酸創薬基盤技術」「DNA-encoded library技術(NC-DEL)」を紹介する。今後も、外部提携を基本ビジネスモデルとし、2050年のあるべき姿として描いた長期経営計画「Atelier2050」の達成に向かって強靭なポートフォリオを構築する。
WINDOW
  • 諸岡 健雄
    2023 年 33 巻 2 号 p. 60-63
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル 認証あり
    研究開発型の欧州製薬企業の団体であるEFPIAは、人々の健康と生活の質(QOL)を改善する新たな治療薬を研究開発し、患者さんに届けることにコミットしている。医薬品産業のエコシステムの確立に向け、EFPIA Japanとして、(1)研究開発・薬事規制環境の改善、(2)国民皆保険の持続可能性と医薬品分野におけるイノベーションの推進の両立、(3)ヘルスリテラシーの向上への貢献、(4)アクセスを阻害しない費用対効果評価の制度設計、(5)再生医療、遺伝子・細胞治療やデジタル等の最先端技術の活用と人材育成に戦略的に取り組む。
DISCOVERY 2022年度 日本薬学会 医薬化学部会賞 受賞
  • 小池 竜樹, 吉川 真人, 安藤 春陽, 宮本 真紀, 西 俊哉
    2023 年 33 巻 2 号 p. 64-69
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル 認証あり
    コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H, CYP46A1)は、コレステロールを24S-ヒドロキシコレステロール(24HC)に変換するCYPファミリーに属する酵素で、脳特異的に発現し、脳内コレステロールの恒常性バランスの調節に深く関与している。一方で、CH24Hに選択的な阻害剤はこれまで報告されておらず、その創薬標的としての有用性は十分検討されていなかった。筆者らは、structure-based drug design(SBDD)を駆使した化合物最適化研究により、強力なCH24H阻害活性と良好なCYP選択性を併せもつsoticlestatを見出すことに成功した。Soticlestatは、複数のてんかんモデル動物において、経口投与によりけいれん頻度を有意に低下させ、CH24Hの阻害剤が発達性てんかん性脳症(DEE)の治療に有用であることを見出した。現在、soticlestatは、ドラベ症候群(DS)およびレノックス・ガストー症候群(LGS)を対象に第Ⅲ相臨床試験が進められている。
2022年度 日本薬学会 医薬化学部会 MCS優秀賞 受賞
  • 永沼 美弥子, 大岡 伸通, 出水 庸介
    2023 年 33 巻 2 号 p. 70-74
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル 認証あり
    ユビキチンプロテアソームシステムを利用したタンパク質分解誘導剤(PROTAC)は、がんをはじめとする既存の医薬品では治療が困難な疾病に対する革新的な創薬戦略の一つとして期待されている。現在までに、低分子化合物を標的リガンドに利用したPROTACを中心に研究開発が進められているが、最適なリガンドが存在しない転写因子等のタンパク質への適用は困難である。そこで本研究では、転写因子を標的とすることが可能な汎用性の高い新規PROTACを開発することを目指した。具体的には、転写因子のDNA結合領域に結合可能なデコイ核酸をリガンドとして利用した核酸型PROTACを開発した。本稿では、このようなコンセプトを検証するための研究として、エストロゲン受容体αを転写因子のモデルとしたデコイ核酸型PROTACの設計・合成および、各種評価した結果の詳細について紹介する。
DISCOVERY 2022年度 日本薬学会 医薬化学部会 BMC/BMCL賞 受賞
  • 阿部 洋, 小川 和哉, 阿部 奈保子, 木村 康明
    2023 年 33 巻 2 号 p. 75-78
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル 認証あり
    近年、新型コロナウイルス感染症においてmRNAワクチンが大きな成功を収めた。しかし、mRNAワクチンは、mRNAの生体内不安定性等による活性の低下が課題としてあげられる。そこで、安定性向上が見込まれる化学修飾をmRNAに導入することが効果的であるが、それを実現するための汎用的合成法は存在しない。本研究ではmRNAへの化学修飾の導入の障壁となる酵素法を回避したmRNAの完全化学合成法を開発した。本手法では、mRNAに対して位置特異的な化学修飾の導入が可能であり、適切な化学修飾パターンにより翻訳活性と安定性の最大化が可能となる。本稿では、完全化学合成法の開発経緯、完全化学合成法による化学修飾mRNAの構造活性相関および本手法で合成したmRNAがんワクチンの治療効果について解説する。
SEMINAR
  • 佐藤 伸一, 中根 啓太
    2023 年 33 巻 2 号 p. 79-83
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル 認証あり
    天然のアミノ酸残基を標的としたタンパク質化学修飾は、生命科学研究の発展に大きく貢献している。修飾可能なアミノ酸残基の拡張のために、新たなメカニズムに基づくタンパク質修飾法が、近年、盛んに研究されている。筆者らは生命現象制御に関与しているチロシン残基およびヒスチジン残基に対する修飾法を開発した。触媒による一電子酸化により生じるラジカル種によってチロシン残基が修飾され、光触媒の励起により生じる一重項酸素によるヒスチジン残基の酸化と求核剤による捕捉によってヒスチジン残基の修飾が起きることを明らかにした。また、これらの反応は短寿命の高反応性化学種が拡散し得る触媒周辺のナノメートル空間で制御可能であることを実証した。本稿では、筆者らが開発したチロシン残基/ヒスチジン残基化学修飾法について概説する。
BOOKS紹介
Coffee Break
REPORT
  • 田中 利男
    2023 年 33 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル 認証あり
    ゼブラフィッシュ創薬は、2000年ごろから世界で同時に発展し、2014年にはZebrafish Disease Model Society(ZDMS)、2015年にはゼブラフィッシュ創薬研究会が組織され、ゼブラフィッシュ医学論文が継続的に増加している数少ないモデル動物である。さらに、世界では17社のゼブラフィッシュ創薬支援CROが設立され、フェノタイプスクリーニングにより、すでに多数の医薬品臨床開発へ進展している成功例が報告されている。これらは、1)新規化合物による新しい適応症開発、2)既存分子標的薬の新しい適応症開発などが実現している。さらに患者がん移植ゼブラフィッシュモデルは、次世代個別化医療への発展が期待されている。
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編集後記
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