MEDCHEM NEWS
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29 巻 , 4 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
巻頭言
創薬最前線
  • 内田 渡
    2019 年 29 巻 4 号 p. 154-160
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    今日の医療は、科学技術の発展によって飛躍的な成長を遂げてきた。特に、近年の工学系技術の進展に伴い、医薬品ビジネスから医療ソリューション全般のビジネスへと転換を迎え、アカデミア等との協働による水平分業型創薬へと転換が進んでいる。近年、多くの革新的技術が報告されているが、複数の革新的要素技術の融合や医療との融合は十分な状況にない。そこで、アカデミアやベンチャーの有する革新的な技術と医薬を担う製薬企業との融合を促進するオープンイノベーションの取り組みが重要となってきている。東北大学では、複数の製薬企業を含む、多くの異業種が参画し協働するオープンイノベーション・エコシステムの構築を目指している。そして、このエコシステムを産学共創の活動拠点として、革新的な医療ソリューションの創出へ挑戦していきたい。

WINDOW
ESSAY
特集:創薬を加速する天然物合成研究の最先端
  • 大野 浩章, 藤岡 弘道
    2019 年 29 巻 4 号 p. 165-166
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    創薬研究を取り巻く環境は、これまで以上に厳しさを増している。生体分子や再生医療を利用した治療法が近年注目されているが、このトレンドが永久に続くことは考えにくい。合成容易な低分子化合物が力不足になりつつある現状においては、複雑な構造と適度な分子量を有し、広いケミカルスペースを占める天然物の価値はますます大きくなっている。天然物は古来より、人類にとって重要な「くすり」であった。天然物誘導体は現在も医薬品の重要な割合を占めているが、構造展開とCMC確立の観点から、構造的な制約は依然として大きい。本特集では、独自の方法論を用いて複雑な構造を有する生物活性天然物の合成研究を進める研究者に依頼して、最新の研究成果をご執筆いただいた。本特集を通じて、複雑な構造を有する天然物の創薬展開が加速することを願う。

  • 徳山 英利
    2019 年 29 巻 4 号 p. 167-172
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    全合成の効率の向上のために、最近、新たなコンセプトに基づいた合成が次々と報告されている。その中の1つに、合成終盤での酸化的修飾を用いるLate-stage oxidationに基づく合成がある。本稿では、アミノ基の酸化剤に対する高い反応性から一般に適用が困難な、アルカロイドの合成終盤での酸化を鍵工程とした全合例として、最近、筆者らが達成した、(+)-isoschizogamineおよび (+)-haplophytineを取り上げ紹介する。

  • 塚野 千尋, 竹本 佳司
    2019 年 29 巻 4 号 p. 173-177
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    ユニークな構造をもつ天然物は、興味深い生物活性を示すことも多い。そのため、その全合成は重要であるが、そのユニークな構造のために新たな合成戦略が必要となる。さらに開発した合成戦略は全合成にとどまらず、より強力な生物活性をもつ有機化合物を創出する基盤となる。そのような観点から、筆者らは、感染症に対する医薬品のシード化合物となりうる天然物や、合成法が未開拓となっている特異で複雑な構造を有する天然物の合成研究に取り組み、新規合成戦略を開発して全合成を達成した。

  • 横島 聡
    2019 年 29 巻 4 号 p. 178-182
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    複数の環が組み合わさることで固定化され三次元的に広がった骨格に、ヘテロ原子や置換基が配置されている:医薬品として用いられている天然物の構造を表現するとこのようになると思われる。その合成は、複数の変換を経る多段階合成が必要となり、有機反応として整理された情報を駆使するだけでは解決することが困難である。また環構造の中に官能基が密集することで、予定外の反応が引き起こされる可能性も高くなる。これらの問題点を理解・制御することが天然物の合成研究に求められる課題である。本稿では、筆者らが進めてきた天然物の合成研究を題材に、これらの問題について議論したい。

  • 難波 康祐
    2019 年 29 巻 4 号 p. 183-187
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    Palau’amineは顕著な免疫抑制活性を示すピロール・イミダゾールアルカロイドであり、最も合成が困難な化合物として世界中の合成化学者の注目を集めた天然物である。筆者らは、独自に開発したHg(OTf)2-触媒的オレフィン環化反応を用いて、まずヒドラジドをE環上に導入しながら含窒素4置換炭素を構築した。ついで、ヒドラジドの互いにつながった2つの窒素原子を切り離しながら、B環とD環の2つの環構造を連続して形成させることで、palau’amineの主要構造となるABDE環を1段階で得ることに成功した。基本骨格となるABDE環から、CF環の導入と各種官能基変換を経てpalau’amineの全合成を達成した。合成したpalau’amineの免疫抑制活性を調査したところ、天然物の鏡像異性体には免疫に関する未知の作用が秘められていることが示唆された。

  • 大栗 博毅
    2019 年 29 巻 4 号 p. 188-192
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    次世代医薬品の創製に直結する新技術として、骨格レベルで三次元構造を多様化する合成化学の重要性が認識されるようになった。筆者らは、生合成経路を合成化学的に拡張することで、天然物の構造を簡略化せずに、骨格の多様化、官能基・立体化学の改変を実現する合成法の開発と体系化を進めている。本稿では、生合成を摸倣してインドールアルカロイド群の骨格を系統的につくり分ける短段階合成プロセスを紹介する。骨格のバリエーションを合理的に創出する合成戦略・戦術として、①短寿命中間体の適度な安定化、②反応性を制御しうる官能基の導入、③環開裂による鍵中間体の発生等を提案する。酵素反応の枠組みを越えて基質や中間体を自在に改変し、多彩な骨格形成反応を柔軟に適用できるので、広範なケミカルスペースをしなやかに開拓できる。

  • 西川 俊夫
    2019 年 29 巻 4 号 p. 193-197
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2021/02/06
    ジャーナル フリー

    天然物の推定生合成経路を活用した天然物の網羅的合成の試みについて紹介する。キノコ由来のステロイド系天然物chaxine類は、独自に推定したergosterolを前駆体とする生合成仮説に従って、光電子環状反応によって得られるtachysterolから6工程での効率的合成法を開発した。一方、ポリケチド系海産天然物oscillatoxin/aplysiatoxin類は、ジヒドロピロン構造を有する化合物を生合成上の共通中間体と推定、合成し、その環化反応によってoscillatoxin D関連物質の合成に成功した。そして、これら網羅的合成法によって得られた化合物群の生物活性評価によって、それぞれ新たな生物活性を見出した。

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