環境経済・政策研究
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15 巻, 1 号
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会長講演
  • 栗山 浩一
    2022 年 15 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

    環境経済・政策学の研究成果は,国内の環境政策にどれだけの影響を及ぼしたのだろうか.本論では,(1)環境政策における経済的手段の導入,(2)政策評価手法の導入,(3)環境行政担当者と研究者の連携,について環境経済・政策学の貢献を検討した.その結果,環境経済・政策学の貢献があったことは間違いないが,いずれも環境政策に及ぼした影響は限定的なものであった.この原因として,環境行政側と研究者側のそれぞれの問題点について考察した.この結果を踏まえ,環境経済・政策学会設立の原点に立ち返り,環境・経済・政策の関わりをもう一度考える必要があるだろう.

学術研究論文
  • ―Senのコミットメントの参照可能性―
    古賀 勇人
    2022 年 15 巻 1 号 p. 10-20
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

    環境保全における自発的な費用負担の理論として,「自発的な関与」原理が提起されている.従来,この費用負担原理の根拠としてAmartya Senのコミットメント概念が参照されてきた.本稿では,先行研究におけるSenのコミットメントの位置づけに問題があることを示し,Sen (1977) によるコミットメントの含意を踏まえると,費用負担の制度設計の基準としてではなく,現実の費用負担を分析する概念装置として位置づける必要があることを論じた.これにより,一元的な選好を前提とした枠組みでは捉えられない,自発的な費用負担に際して生じうる責任転嫁の存在を把握し,政策論的な示唆を得られることを示した.

研究展望論文
  • ―適応格差の是正に向けた政策視点―
    内田 真輔
    2022 年 15 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/05/28
    ジャーナル フリー

    地球温暖化に伴う気候変動の影響が世界各地で顕在化する中,影響への適応を前提とした社会の仕組みづくりや行動様式の変革が求められている.しかし,適応するのはそう簡単なことではない.本稿では,適応行動の障害となる各種課題を抽出し,適応格差を是正するために必要な政策視点を経済学的見地から整理・提言する.その際,適応インセンティブを阻むメカニズムとして,4つの要因:「所得格差」,「リスク認知」,「保護政策とモラル・ハザード」,「既存技術や生産構造とのトレード・オフ」に焦点を当て,これらに関連する最新のミクロ実証研究を主な検証材料として取り上げる.

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