環境経済・政策研究
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5 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
論説
  • 平岡 俊一, 豊田 陽介, 山添 史郎, 野田 浩資
    2012 年 5 巻 2 号 p. 1-13
    発行日: 2012/09/21
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    京都市の「京のアジェンダ21フォーラム」の事例から,環境パートナーシップ組織の活動展開プロセス,機能を明らかにし,今後の課題について考察した.同フォーラムは,京都市での温暖化防止活動推進のプラットフォーム,円卓会議,中間支援の機能を果たしてきた.しかし,組織の当初の目標が一定程度達成されたにもかかわらずその再設定がされないことで,関係主体にとって存在意義が低下し,活動が停滞している.今後,同フォーラムの位置づけと目標の再設定が必要であり,具体的には,多主体参加による温暖化防止活動に関する「制度化」を担う組織として位置づけ,それを実現するためにプラットフォーム,円卓会議機能を活性化することを提案する.

  • 栗田 郁真, 堀 勝彦, 一方井 誠治
    2012 年 5 巻 2 号 p. 14-24
    発行日: 2012/09/21
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    2009年4月~2010年10月に新車を購入した個人を対象にアンケート調査を行い,日本におけるハイブリッド車の購入要因に関する実証分析を行った.ハイブリッド車購入の意思決定過程に関して,エコカー補助金・エコカー減税の存在は購入検討・購入決定の段階ともに購入意識を高め,地球温暖化問題への関心は購入の検討につながっている.また,車種選択に関して,エコカー補助金・エコカー減税への高い意識は(ハイブリッド/ガソリンの区別なく)燃費性能の良い車種の購入選択に向かう一方で,地球温暖化問題への高い関心は(燃費性能の良いガソリン車ではなく)ハイブリッド車の購入選択に向かうことが明らかとなった.

  • 倉見 美規
    2012 年 5 巻 2 号 p. 25-33
    発行日: 2012/09/21
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    エネルギー財に対する環境税の課税標準は,化石燃料中の炭素含有量とするのが原則的には妥当である.しかし市場価格が変動するエネルギー財の場合には,このような従量税の制度では需要の削減は不確実になる恐れがある.したがって,エネルギー財の消費削減を目的とするには,従価税の制度の方が好ましいと判断される.本稿で提言する環境付加価値税制度については従価税の制度で課税制度を設計することにより,現行の消費税制度のフレームワークの中で運用することができると考えられた.

  • 早川 有紀
    2012 年 5 巻 2 号 p. 34-45
    発行日: 2012/09/21
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    本稿では管理論的観点から日本の化学物質政策の政策過程を分析することにより,環境リスク規制における政策手段の特徴と課題を明らかにした.具体的には,Christopher C. Hoodのコントロール論に依拠した分析枠組みを用いることで,化学物質政策の政策手段の異時点間比較分析を行った.そして,行政の政策的意図として表れた政策手段の特徴が,直接的手法への柔軟なコントロールの組み込み,および被規制主体をネットワーク化して自己規制を促すことによる情報的手段の利用であることを示した.さらに柔軟なコントロールが不十分になりうる原因として,利害関係者の負担回避や化学物質規制の専門性の高さの存在を示した.

  • 東 愛子
    2012 年 5 巻 2 号 p. 46-57
    発行日: 2012/09/21
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    本稿は,CO2排出制約の課せられた電力会社の生産・投資行動を理論的・実証的に分析したものである.理論分析では,日本の電力会社に対して電力の供給義務が課せられていることや,設備容量に制約があることを考慮したモデルを構築することによって,電力会社の限界削減費用関数の特徴的な形状が明らかになった.また,理論モデルをもとにした実証分析では,2001年度9電力会社のデータから,火力発電部門の燃料転換による限界削減費用や削減ポテンシャルを具体的に推計し,特に設備更新を伴う燃料転換では限界削減費用4000円/t~6500円/tで2001年度総排出量の6.4%のCO2削減が可能であることが明らかとなった.

  • 岡川 梓, 日引 聡, 小嶋 秀人
    2012 年 5 巻 2 号 p. 58-71
    発行日: 2012/09/21
    公開日: 2021/03/01
    ジャーナル フリー

    浸水被害に関する研究は,これまでに数多くの成果が蓄積されてきたが,(1)河川への距離や標高などを洪水リスクの代理変数として用いているために,他の外部便益や外部費用の効果を分離できていない,(2)ハザードマップを利用したリスク変数を使って分析しているものの,除外変数によるバイアスを考慮していない,などの問題があり,被害額を過小評価あるいは過大評価している可能性がある.本研究では,これらの問題に対処するために,ハザードマップを利用したリスク変数を利用し,除外変数バイアスを考慮した上で,ヘドニック地価関数を推計し,洪水リスクの価値を推計した.その推計結果から,(1)地価は,洪水リスクに直面することによって約10.24%低下していること,(2)単位面積当たりの洪水被害額は120万円/m2に上り,東京都による試算結果5万円/m2に比べて著しく大きい値となった.

研究展望
環境論壇
循環基本計画および中長期的視点から見た廃棄物・リサイクル政策
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