大気汚染学会誌
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23 巻, 2 号
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  • 及川 紀久雄, 三浦 幸一郎, 荻野 博
    1988 年 23 巻 2 号 p. 73-84
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    半導体材料用ガスは, 年々先端産業において使用される種類や量が増加の一途をたどっている。これらのガスの性質は有害性はもとより自然発火などの危険性があるものも多く, その取り扱いには十分な注意が必要であるといわれている。米国では, 安全管理のため法規制がされたものもある。一方, その分析方法, 特に低濃度についてはまだ確立された方法がない状態である。
    以上のようなことに鑑み, 第27回大気汚染学会 (昭和61年11月) 基本問題分科会で講演した3人が今回それぞれの立場から, 半導体材料用ガスについてまとめた。
  • 松本 光弘, 溝口 次夫
    1988 年 23 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    環境大気中のSO2およびNO2濃度の簡易同時測定法として, トリエタノールアミン円筒炉紙 (TEACF) を用い, イオソクロマトグラフィーで分析する方法を検討した。本方法の定量は迅速で, かつ, 1ヵ月程度の長期暴露の簡易測定法として有効であると認められた。
    本方法の気象条件 (温度, 湿度, 風速) による影響は, SO2濃度測定に関しては認められなかったが, NO2濃度測定に関して温度による影響が認められ, 温度が10℃ 上昇することによりナイトレーション率 (NO2 1 ppb当たりのTEA-CF 反応量 (μgNO2/day/100cm2/ppb NO2)) が18%増加した。本方法と自動測定機による測定値を比較すれば, その相関係数rは, SO2の場合, r=0.69 (n=200), NO2 の場合, 温度補正を行えばr=0.79 (n=226) となり, 1%の有意水準で相関が認められた。また, 本方法によるSO2およびNO2濃度の測定値の信頼区間は, ppb換算した場合, その測定値の各々, ±28%および±22%であった。
  • ディーゼル排ガスおよびシガレット煙による小核誘発
    小田切 陽一
    1988 年 23 巻 2 号 p. 92-102
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    ディーゼル排ガスおよびシガレット煙暴露による細胞遺伝学的影響を検出する目的から, マウスに対する吸入実験を行い, 暴露後の動物における小核誘発性について検討した。
    ディーゼル排ガスへの12ヵ月以上の長期暴露あるいは新生仔期からの1ヵ月暴露により, 小核赤血球の出現頻度は対照マウスに比較して上昇した。
    シガレット煙 (主流煙, 副流煙) への反復暴露により, 骨髄での小核赤血球の出現頻度は上昇する傾向を示し, 副流煙暴露では統計学的に有意 (p<0.05) な小核誘発作用が検出された。
    以上の結果は, ディーゼル排ガスやシガレット煙の吸入により生体内での染色体異常が誘発されることを示しており, これらの空気汚染物質によって汚染された環境大気がヒトの発癌因子として作用している可能性が示唆された。
  • 鵜野 伊津志, 若松 伸司, 植田 洋匡
    1988 年 23 巻 2 号 p. 103-114
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    夜間の都市境界層とその形成時の汚染質のプロファイルの特徴および高濃度汚染の発現のメカニズムを, 札幌市における観測結果をもとに検討し次の結論を得た。都心部では接地逆転層は形成されず, 上空40~60mの高度に鋭い逆転層 (上空逆転層) が出現し, その下部は弱安定から等温位になる。また, 上空逆転層高度は平均的建物高度の約2倍程度に相当する。都市境界層の内外の乱流統計量のプロファイルは, 速度変動と運動量の鉛直フラックスは逆転層内部で大きな値をとり, 顕熱の鉛直フラツクスは逆転層付近に負の大きなピークを持つ。これは都市境界層の形成が都市の建築物の機械的な乱流生成による混合層の形成が重要であり, 上空逆転層から下向きに輸送される顕熱が境界層内を加熱する熱源として作用するためである。このような夜間の都市境界層は全市的な平均風速が1.8m/s以下になると顕著に発現し, 都市境界層外縁で鉛直拡散が押えられるために高濃度大気汚染が出現する。この場合, NO/NOx比とO3濃度には完全な逆相関がみられ, 地上付近のNO2濃度を高めることが示された。また, 夜間の上空逆転層は, 翌朝の熱的な対流混合層の発達を妨げ, 早朝の地上付近の高濃度汚染を加速することが判明した。このような都市域の気象特性は大気汚染防止の観点から重要と考えられる。
  • 薩摩林 光, 笹井 春雄, 栗田 秀實, 植田 洋匡
    1988 年 23 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    高濃度の光化学オキシダントを伴う大気汚染物質長距離輸送時に, 低級脂肪酸が光化学反応により多量に生成することを実証するため, 1986年7月28日-8月2日の6日間, 広域大気汚染観測の一環として内陸部の3地点 (深谷, 高崎, 軽井沢) において, C2-C6脂肪酸および他の大気汚染物質の測定を行った。これらの地点は関東平野北西部および関東平野と中部山岳地域をむすぶ関東山地中に位置し, 日中に大気汚染物質は関東平野を北上し, 関東平野の奥部で進路を西に変え, 測定地点を通過して中部山岳地域に流入する。脂肪酸は1wt%水酸化ストロンチウムをコーティングしたアルカリビーズ捕集管に3時間周期で採取した後, GCに接続し, ギ酸により脱離させFIDで分析した。
    酢酸, プロピオン酸およびn-酪酸の濃度は日中, 特に大気汚染物質が長距離輸送された時に高くなり, 夜間低くなる経時変化を示した。この経時変化はオゾン濃度の経時変化と良く一致し, 光化学反応により二次生成するオゾンの濃度と強い正の相関があった。しかし, 人為発生源から一次排出される炭化水素とは相関が認められなかった。
    日中における脂肪酸の二次生成の寄与率はいずれの地点でも60%以上あり, 特に大気汚染物質の長距離輸送時には光化学反応により脂肪酸が多量に生成し, 内陸部へ輸送されたことが判明した。光化学反応により減少した炭化水素の10%程度がC2-C4脂肪酸に変化すると推定された。
  • マイクロumu試験
    後藤 純雄, 加藤 幸彦, 遠藤 治, 山内 恒幸, 松下 秀鶴
    1988 年 23 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    微量な試料の変異原性を高感度かつ迅速に測定するための手法の検討を,サルモネラTA 1535/pSK1002菌株を用いて行った。
    その結果,1)変異原性物質(4-ニトロキノリソーN-オキシド,4NQO)の作用により菌体内に生成するβ-ガラクトシターゼの活性測定には,4-メチルウソベリフェリルーβ-D-ガラクトシド(4MUG)を基質として用い,その反応生成物(4-メチルウソベリフェロソ)量を測定する蛍光光度法が適用可能であること,2)変異原性物質と菌との反応溶液の容量を10μl(容量100μlのマイクロ・ミイアルを使用)とし,これに4MUGと蛍光光度法を適用すると,従来のumu試験法の約300倍の高感度化が可能であること,および3)上記手法による4NQO(0~6.6ng)の変異原性試験結果の変動係数は5.6~8.9%となり,その再現性も良好であることが認められた。
  • 1988 年 23 巻 2 号 p. N19
    発行日: 1988年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
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