大気汚染学会誌
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17 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • カルボニル化合物の生成について
    鈴木 伸, 堀内 宣利, 安藤 亘
    1982 年 17 巻 3 号 p. 169-176
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    SO2-cis-2-ブテン系およびSO2-cis-2-ブテン-O2系の光化学反応よりtrans-2-ブテン, 1-ブテン, SO3, CO, エアロゾルとカルボニル化合物が生成される。
    本報はこのカルボニル化合物 (エチルメチルケトン, アセトアルデヒド, n-ブチルアルデヒド, プロピオンアルデヒド, ホルムアルデヒド) が酸素の有無による影響, あるいは反応体 (SO2, cis-2-ブテン, O2) の初期濃度変化による生成量変化について検討した。
    エチルメチルケトンとアセトアルデヒドはn-ブチルアルデヒド, プロピオンアルデヒド, ホルムアルデヒドより生成量が多い。
    O2存在系の方がO2存在しない系よりカルボニル化合物の生成量が多い。
    SO2-cis-2-ブテン (-O2) 系の光化学反応より生成されるカルボニル化合物は3SO2cis-2-ブテンとの反応中間体やこれにO2の加わった反応中間体から生成されたと推定した。
  • 松下 秀鶴, 後藤 純雄, 森田 昌宏, 林 健児
    1982 年 17 巻 3 号 p. 177-186
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気浮遊粉じんなどの環境試料の変異原性を求めるには, 多くのプレート上に出現したコロニーを数える必要がある。この計数には莫大な時間を要し, この難点を解消するために自動コロニーカウンターが開発されている。しかし, 市販の自動コロニーカウンターによるコロニー計数値は肉眼による場合と異なる値を与え, この計数誤差はコロニー数が増加するにつれて大きくなる傾向が認められる。これらの原因としては, 1) 自動コロニーカウンターはプレート上の重なり合ったコロニーを1つと数える, 2) コロニー数が増加するに伴ない, コロニー粒径が小さくなり, 自動コロニーカウンターの感度が低い値に設定されている場合には, 設定された大きさ以下の小さなコロニーを検出することが出来ない, ことが主な原因であることが判った。
    第1の問題については, 100から2,000個までのコロニーがそれぞれプレートに一様に分布していると仮定したモンテカルロ法によるシミュレーションから, 単独で存在するコロニーおよび2, 3, 4, n個のコロニーが重なり合って存在する数の出現確率を算出することにより解決した。ここで, シミュレーションに必要なコロニーの粒径はコロニー数の関数として実験値より求めた。算出された確率の関数を用いて, 自動コロニーカウンター計数値を目視コロユー数に換算できる補正式を導いた。
    第2の問題は, コロニー数に応じて, 自動コロニーカウンターの感度を変化させて測定することにより解決した。すなわち, コロニー数1,000個までは中程度の感度で, また, 1,000個以上ではより高い感度で計数すると良好な値が得られることが判った。
    これらの事から, 作成した補正式とプレート上のコロニーの検出に適した感度の選択とを組み合わせることにより, 自動コロニーカウンターによる計数値を通常の目視コロニー数と同等の値に良好に換算できることが判った。
  • 大気拡散パラメータの推定法
    大倉 光志, 西 亮
    1982 年 17 巻 3 号 p. 187-194
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    航空機を移動発生源として取り扱う場合や海陸風による非定常な拡散場などを考慮する場合, 汚染物質の大気拡散過程の解析にはパフモデルを用いるのが適当である。このモデルによる濃度計算に必要な3次元の拡散パラメータを推定するために, 実験から得られた実測濃度に最もよく適合する計算濃度を繰り返し計算で求める, いわゆる最適化法の適用を試みる。
    泉州沖の関西国際空港予定地周辺で行われたトレーサー実験の結果にこの方法を適用した。内部境界層がパフの拡散に与える影響を考慮して, その拡散パラメータを推定した結果・陸上でその値が大きくなった。これは内部境界層内の大気の乱れの増加に対応しているものと考えられる。この拡散パラメータに基づく30分平均濃度の等濃度線図と瞬間濃度曲線をそれぞれ実測結果と非常によく一致させることができた。
  • 窒素酸化物の生体摂取過程に関する研究第3報
    堀 善夫, 鈴木 伸
    1982 年 17 巻 3 号 p. 195-203
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    大気汚染質が, 呼吸器を通して生体内に吸収される過程につき, 特にConducting spaceにおける過程を物質輸送理論により検討した。気道-気管部における汚染質の吸収過程は, 気相と粘液-生体組織相の境界における二重境膜モデルによって説明され, 総括的な吸収速度は各相の輸送抵抗の和により決定される。過去の文献で報告されたSO2の生体吸収実験のデータを詳細に解析して, 汚染質の吸収過程に関する輸送定数を決定する方法を示した。このような解析において, 吸収されたSO2のうち粘液内にとどまるものは極く一部であり, 大部分が体内に吸収されることを示した。体内に吸収されるSO2の一部は, 循環系にまで輸送されるが, 他は吸収部位近辺の組織に固定されることを示した。このようにして総括輸送定数と, 体内循環系への吸収に関与する輸送定数を求めた。これらの物質輸送定数を気相側と粘液組織側の寄与に分離し, 気相側についてはGillilandの推算式により, 液相側については溶解度の関数として表現することにより, 各輸送定数の取りうる値の範囲を決定した。これにより一般的に大気汚染質が気道-管部において吸収される速度が推定でき, これら物質の生体摂取過程におけるConducting spaceの寄与を明らかにすることができる。
  • ガスクロマトグラフィー質量分析計による廃棄物浸出水中の揮発性成分の検索
    神谷 明男, 小瀬 洋喜
    1982 年 17 巻 3 号 p. 204-214
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    固体廃棄物より発生する悪臭の成分を明らかにするために, 固体廃棄物から出る浸出水中の揮発性成分をGC-MSを用いて分析同定した。試料は実際の清掃工場の浸出水と, 実験室で食品を腐敗させた浸出水を対比して分析した。フィールドの試料については夏期冬期を比較した。以下のことが明らかになった。
    1) 人工試料について溶媒抽出法とパージ法を比較したが, 同定化合物は両者がほぼ一致した。
    2) 人工試料の浸出水からは中性成分として, アルコール, エステル, テルペン等が同定された。これらはヘッドスペース法によるガス中の成分とよく一致した。
    3) 清掃工場の浸出水からは中性成分として, 夏期にはアルコールが圧倒的に多く, 冬期にはアルコール, 硫黄化合物, ケトン, 芳香族炭化水素等が同定された。
    4) 脂肪酸については人工試料ではC8まで, フィールドの試料の夏期にはC8まで, 冬期にはC6までの酸が同定定量された。濃度的には夏期は冬期より1,000倍高かった。5) ごみ浸出水の悪臭は脂肪酸とアルコールが関与していると考えられる。
  • シリカゲルによる低濃度オゾンの消滅
    鈴木 伸, 堀 善夫, 古賀 修, 高木 博夫
    1982 年 17 巻 3 号 p. 215-219
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    他の汚染物と異なりオゾン濃度は上空で高く, 地表付近で低くなる傾向がみられる。この原因として, オゾンが地表物質と接触して消滅している可能性が考えられる。この可能性を実証するため, シリカゲルとオゾンの相互作用について調べた。
    ppmレベルのオゾンは, 44℃ で, シリカゲル層を通ることによって減少した。オゾンをシリカゲルに通した実験初期にオゾンの減少量は大きく, その後1~2時間でほぼ一定減少速度を示した。一定減少速度領域において試料量, オゾン濃度, 温度の減少速度への影響を調べた。減少速度は試料量に比例した。濃度の増加に従い減少速度は大きくなるが, 減少率は低下する傾向がみられた。温度上昇に伴って減少速度は加速された。シリカゲルとオゾンの接触初期および高温において, 減少速度は顕著に低下した。このことから, オゾン接触によってシリカゲル表面が徐々に変化していることが示唆される。
  • 松下 秀鶴, 森 忠司, 後藤 純雄
    1982 年 17 巻 3 号 p. 220-227
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    タバコ副流煙中のN-ニトロソアミンの新しい分析方法を開発した。本法は, 次の各操作すなわち, 液体-固体捕集系による副流煙中N-ニトロソアミンの捕集, ジクロロメタンによるN-ニトロソアミン抽出, 抽出溶液のK-D濃縮器および窒素気流吹きつけによる濃縮, そして熱エネルギー検出器付ガスクロマトグラフィー (GC-TEA) によるN-ニトロソアミンの分析から成り立っている。
    副流煙中N-ニトロソアミンの捕集には, 1N KOH, 0.5Mスルファミン酸水溶液, 脱水剤 (Na2CO3) そしてサーモソルブ/Nチューブを直列につないだ捕集系を用いた。この系では, 副流煙中に8ppmの高濃度二酸化窒素を含む場合でも, アーティファクトニトロソアミン生成がなく, N-ニトロソジメチルアミン (NDMA) やN-ニトロソピロリジン (NPYR) に対して99%又はそれ以上の高い捕集効率が得られることが判った。高い分析再現性を得るために, 溶媒抽出の際, 既知量のN-ニトロソジーn-ブチルアミンを内部標準溶液として試料溶液に加えた。また, 本法で用いたGC-TEAは, クリーンアップ処理の簡素化にたいへん有効であり, 高感度であった。
    本法を若干の国産銘柄タバコ副流煙中のNDMAとNPYRの分析に適用した。喫煙は国際喫煙モードで, 定容量型自動喫煙器を用いて行った。分析結果の再現性は高く, その変動係数はNDMAで4.9%, NPYRで2.9%であった。また副流煙中のこれらN-ニトロソアミン含量は銘柄によって異なり, その値はタバコ1本当たりNDMAで190~370ng, NPYRで90~210ngであることを認めた。
  • 溝尻 純枝, 伊藤 昭三
    1982 年 17 巻 3 号 p. 228-235
    発行日: 1982/07/20
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    安定状態にある海上に発生源があり, 最初に安定な海上で拡散が進行し, 更に混合層の形成されている陸上で拡散が進行する場合についてのモデル化を行ってある。このモデル化は, 安定層と混合層間の質量保存に基づいた簡単な二層モデルで, この二層間の相互干渉を記述することを試みたものである。
    このモデルによって計算した濃度と実測値には, 良い一致が得られた。特にx軸方向の分布の立ち上りと, 水平方向の濃度分布は, ほぼ再現された。
    このモデルは, 濃度分布を予測するのに簡単で, 容易なものであることがわかった。
  • 1982 年 17 巻 3 号 p. 240
    発行日: 1982年
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Vol.17 No.2 96頁のタイトルに誤まりがありましたので訂正します。 (誤)大気エアゾル中のセレンの発生源の推定 (正)大気エアロゾル中のセレンの発生源の推定
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