東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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1 巻, 1 号
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巻頭言
特別講演
論文
  • 中田 香玲, 林田 光祐
    原稿種別: 論文
    1996 年 1 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1996/12/27
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    北限域のタブノキ林の保全を目的として,山形県酒田市飛島で,成熟したタブノキ林とその周辺のタブノキが侵入したクロマツ林の林分構造を調べた。タブノキ成熟林にはタブノキの幼樹(樹高1.3m以上,胸高直径5cm未満)はほとんど生育していなかったのに対し,クロマツ人工林には幼樹がha当たり700〜2400個体も存在しており,タブノキ個体群のサイズ分布も連続的であった。このようにタブノキはクロマツ林に数多く侵入,定着しており,胸高直径が30cmを超えて林冠を形成している個体も存在することから,クロマツ林がタブノキ林に遷移していく可能性が示唆された。
  • —山形県酒田港における北洋材輸入の分析から—
    片平 修一
    原稿種別: 論文
    1996 年 1 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 1996/12/27
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    ロシア極東地域の森林面積は2億7,500万haであり日本の国土面積の7倍以上に達する。この数字は非常に大きなものであるが森林資源は無限ではない。1970年代半ばに,日本はロシアから年間ほぼ900万m3の木材を輸入していた。この数字は1990年代初頭にたった400万m3にまで落ち込んだ。しかし1994年には再び50万m3以上に上昇している。ロシア極東地域の森林は非常に浪費的に管理されている。木々は皆伐され良材のみが持ち出される。従来,ロシア極東地域における木材輸出は総森林生産量の20〜25%の間で取引されていたがその比率は上昇している。日本と中国はロシア極東地域における総木材輸出の70%を輸入する。過去18年間にロシアから酒田港へ輸入された木材の種類は非常に大きく変化した。ベニマツは1970年代後半より急速に減少し,1990年代初頭にほとんどみられなくなった。パルプ材は1980年代半ばから,アカマツは1990年代初頭から急速に増加した。こうした変化はロシア極東地域における森林資源開発の動向を反映している。森林の乱伐はロシアの先住民族の生存権を脅かしている。世界最大の木材輸入国である日本はロシアの森林の維持的生産に対して責任を有している。
  • —秋田・青森両県のブナの製材加工業の実態分析を中心にして—
    遠藤 日雄, 久武 陽子
    原稿種別: 論文
    1996 年 1 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 1996/12/27
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    白神山地が世界遺産に登録されたことによって,周辺の木材産業,とくに白神山地と係わりの深いブナの製材加工業が,どのような影響を受けているのかという問題について,次の方法で考察を試みた。1.戦前から戦後にかけてのブナの利用の変遷について概観した。2.現在のブナの利用の実態を,①ブナ資源の賦存状況,②国有林のブナ材の販売状況,③ブナの製材加工業経営の現状,の視点から分析した。考察の結果は,以下のとおりである。1.白神山地の世界遺産登録に象徴される森林環境保全運動の高揚のなかで,ブナの伐採凍結及び中止などによって,ブナ材の需給関係が逼迫している。2.原料入手基盤を狭められたブナ製材加工業界では,ここ数年,急速なブナ離れが進行しており,代替材として外国産広葉樹材を取り入れたり,従来の量産方式から付加価値生産方式へ移行する工場もみられる。3.したがって,適正な伐採を維持しながら地元のブナ製材加工業を育成していくことは,白神山地周辺地域のような厳しい社会経済状況下で,ますます重要な課題になっている。
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特集「東北における松枯れの現状と対策」
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