東北森林科学会誌
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5 巻 , 2 号
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論文
  • 高橋 誠
    原稿種別: 論文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    ブナ精英樹クローンの系統管理の精度向上と豊作年に多量に生産される種子の有効活用をはかるために,東北育種場に保存されている精英樹38クローンのクローン識別を試みるとともに,実生家系における花粉親の同定の可能性を検討した。クローンを識別するための遺伝マーカーには,8酵素種のアイソザイムを支配する11遺伝子座を用いた。分析した結果,11遺伝子座において24対立遺伝子が検出された。多型的な遺伝子座の割合,1遺伝子座当たりの平均対立遺伝子数,1遺伝子座当たりの有効な対立遺伝子数,平均ヘテロ接合体率の期待値と観察値は,それぞれ54.5%,2.18,1.28,0.159及び0.158であり,ブナ精英樹クローンは,木本植物が集団内に保持している遺伝的多様性の平均的な遺伝的多様性を保有していた。ブナ精英樹38クローンは,28種類のMulti-locus genotypeに区分され,23クローンはクローン独自のMulti-locus genotypeを保有しており,これらのクローンについては,クローン識別が可能であった。また,鯵ヶ沢104は頻度の低い対立遺伝子を3遺伝子座で保有しており,このクローンが花粉親となっている実生後代は全て識別が可能であることが明らかとなった。それ以外にも実生後代における花粉親の識別が一部可能なクローンが9クローンあった。
報文
  • 施用方法による病死率の違い
    後藤 忠男, 衣浦 晴生, 大谷 英児, 長岐 昭彦, 金澤 正和, 藤岡 浩
    原稿種別: 報文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 59-62
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    マツ材線虫病の媒介虫であるマツノマダラカミキリの幼虫に対して,昆虫病原性糸状菌を培養した不織布による感染試験を秋田県秋田市の新屋浜クロマツ林で行い,施用時期,傷つけ施用および長期施用の効果,越冬未成熟幼虫に対する施用法について検討した。施用時期により病死率は異なり,8月下旬施用において,樹皮下および材内幼虫の平均病死率はそれぞれ31.8%,7.2%と最も高かった。産卵木の傷つけ区では,樹皮下および材内の平均病死率は,それぞれ傷無し区に比べ44.0%,25.7%に上昇した。また,8月下旬から翌年羽化前までの長期施用では,11月材入時までの短期施用に比べ平均病死率は68.8%に上昇し,特に材内幼虫の平均病死率が著しく上昇した。越冬未成熟幼虫に対する感染試験では,春期から初夏までの培養不織布施用によって樹皮下幼虫の平均73.5%が病死した。
  • —ヒバと他樹種の空間分布—
    福嶋 雅喜
    原稿種別: 報文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    青森県内国有林のヒバ天然林から抽出した123地点の方形区の標本を用いて,ヒバと他樹種の空間分布を直径階別に比較した。その結果,ヒバ・他樹種とも集中分布する傾向を示した。20cm以下の直径階で集中分布の傾向が特に強く,この直径階から概ね40〜50cmの直径階付近までは直径が大きくなるのにしたがってランダムな分布に近づき,それより大きな直径階では直径が大きくなるのにしたがってやや集中化する傾向があると推察された。特に,ヒバは,小さな直径での集中分布の傾向が他樹種に比べて強いと推察された。
特集「東北地方の海岸林の現状と保全」
論文
  • 野堀 嘉裕, 林田 光祐, 中島 勇喜
    原稿種別: 論文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 69-78
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    本研究では日本海沿岸北部海岸林の範囲と特徴を従来の研究成果やGISデータ分析をもとに考察した。はじめに,海岸の形態と特徴について従来の研究成果を総合的に検討し,名称とその用法について整理した。次に,日本海沿岸北部の範囲を特定するために,気候区分,海岸形態の分布,地体構造線,海岸災害の分布,植生の分布による区分を分析し,その範囲を「新潟沿岸の新発田市から津軽半島西側沿岸まで」として位置付けた。また,海岸林を「海岸の塩風の環境のもとで成立している森林群落で,それには砂丘地だけでなく,丘陵・崖地に成立する森林も含み,天然生林では内陸とは組成や構造が異なる森林」と定義した。これらの新たな基準を基に,日本海沿岸北部海岸林の特徴を探るため,潜在植生と現存植生について東北地方太平洋沿岸地域との比較を行った。さらに,海岸のタイプごとの延長距離と海岸林の面積について分析を行った。以上の結果から,日本海沿岸北部海岸林の特徴は,海岸砂丘地における飛砂防止のために造林された広大なクロマツ林が存在し,所々に岩石海岸が点在し,その部分に潜在植生が点在して残っている状況が明確化された。
  • 藤本 りお, 林田 光祐
    原稿種別: 論文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    山形県女鹿の北限域のタブノキ林内と林縁およびその周囲の落葉広葉樹林において,タブノキの更新初期の動態を調べた。タブノキ純林内では種子は散布された翌年の夏にほとんど発芽したのに対し,タブノキ林縁部では約40%が散布された年の秋に発芽した。主な死亡要因は,種子では野ネズミなどの動物による捕食,実生では病害による立枯れであった。立枯れの発生は林縁や落葉樹林内に比べてタブノキ林内で多かった。2年生実生のサイズは光環境を反映し,タブノキ林内よりも林縁や落葉樹林内が大きかった。このようにタブノキ林内より林縁部や落葉樹林内の方がタブノキ実生の定着に適した条件を有していた。また,林縁の当年秋発芽個体と翌年夏発芽個体の成長量を比べると,当年秋発芽個体の方が良好であり,林縁では発芽時期の違いが成長に影響することが示唆された。
報文
  • 山内 幸子, 中田 香玲, 林田 光祐
    原稿種別: 報文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 87-89
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    タブノキの分布北限域である山形県鶴岡市の西畑において,人工的に被陰した異なる光環境下(相対光量子束密度2%と10%)でのタブノキ実生の生残・成長過程を比較検討した。発芽1年目の実生の死亡率は2%,10%区ともに低く差は認められなかったが,2年目の死亡率は2%区の実生が10%区より有意に高かった。また, 2%区では実生の個体乾重が1年目と2年目でほとんど変わらなかったのに対し,10%区では2年目の実生乾重が1年目の4〜5倍になっていた。相対光量子束密度で2%と10%の違いがタブノキの生存にも成長にも大きく影響し,タブノキにとって更新初期段階の光環境が非常に重要であることが明らかになった。
  • 金子 智紀
    原稿種別: 報文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 91-96
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    秋田・天王地区の海岸防災林は,延長約12km,最大幅1,500mのクロマツ林帯を形成しており,前線部では主として保安機能,内陸部では保健休養としての機能が求められている。本報告では,こうした機能別林分配置の基礎資料とするため,クロマツ林の成長を樹高成長状態で区分するとともに,潮風害の影響範囲を検討した。この結果,地形によって差があるものの,普通生育地帯は汀線から250m以上の内陸側,低生育地帯150〜250m,極めて低生育地帯は50〜150mと大区分され,特に前線部20mは犠牲林と位置付けられた。また,潮風害の影響範囲は概ね砂丘頂部までで,クロマツの成長に影響を及ぼす区域は生育区分における「極めて低生育地帯(汀線から50〜150m)」とほぼ一致し,保安機能の維持・強化が必要な地帯と考えられた。
  • 金子 智紀, 石田 秀雄, 金澤 正和
    原稿種別: 報文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 97-100
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    1998年11月18〜19日,本荘市を中心とする本県沿岸南部に記録的降雪があり,海岸保安林(クロマツ)約37haに冠雪害が発生した。被災林分3地区において,被害形態と個体の形質等を調査した結果,幹曲がりや幹折れといった致命的な被害は形状比80〜100の個体で集団的に発生し,形状比70以下では先折れ等軽微な被害にとどまった。このことから,冠雪害を回避し海岸林を健全な状態で維持していくには,個体の形質として形状比70以下で管理することが必要と考えられた。
  • 金子 智紀
    原稿種別: 報文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 101-104
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    クロマツ林の健全性を重視した本数管理基準を検討するため,秋田海岸飛砂防備保安林内に林齢や樹高の異なる50区の試験林を設定し,10年経過後の形質変化を調査した。健全性指標とした林分形状比は試験区全体の半数を占める23区が増加し,枝下高率は48区で増加した。また,上層木のうち形状比80未満の個体を健全木とすると,その平均形状比は66.7,枝下高率56.9%となり,林分における健全木構成本数限界は樹高5mでha当たり約1,700本,同様に10mで1,100本,15mで400本と推定された。したがって,この林分の健全性を維持するには上層木を含む間伐が必要であると考えられた。
  • 伊藤 聡
    原稿種別: 報文
    2000 年 5 巻 2 号 p. 105-109
    発行日: 2000/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    山形県の海岸地帯に生育が可能と考えられる広葉樹を探索・植栽して,その初期成長特性について検討した。2成長期経過時においてクロマツより優れた成長が期待できる広葉樹は存在せず,同程度の成長が期待できるのはアカメガシワ,コナラ,エノキ,クリであった。高さ1mの防風柵を設置して常緑広葉樹を植栽する場合,苗高の低い苗木を植栽することにより2成長期経過時の生存高を高くすることが可能であると考えられた。
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