東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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16 巻, 2 号
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論文
  • 橋本 良二, 本田 愉望, 森澤 猛, 白旗 学
    原稿種別: 論文
    2011 年 16 巻 2 号 p. 33-38
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    スギ人工林で天然更新し下層木に発達したヒバの成長状態をスギ下層木と比較し,樹種間の違いについて樹冠の構造や機能と関係づけて検討した。下層木の相対照度は両樹種ともに10%以上あり違いはなかったが,ヒバ下層木の樹高および直径成長量はスギ下層木に比べ小さく,ヒバ下層木の年樹高成長量は10cmを大きく下回っていた。ヒバ下層木は,スギ下層木に比べ,樹冠底高が低く長い樹冠長をもち,また一次枝本数密度は低いが高い葉量密度をもつことから,樹冠葉量は多かった。他方,ヒバ下層木は,スギ下層木に比べ,樹冠表面部,中間部,内部のいずれにおいても葉の窒素含有量は低く,とくに表面部における違いが顕著であった。したがって,ヒバ下層木の低成長は,樹冠葉群の含有窒素レベルと窒素配分傾向によると考えた。ヒバ下層木の低成長が比較的明るい光条件下で見られた点は,ヒバを下木とする複層林施業の実施において気に留めておく必要があろう。
報文
  • 関 剛
    原稿種別: 報文
    2011 年 16 巻 2 号 p. 40-43
    発行日: 2011/11/30
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    種子散布過程で種子が球果の果軸から離脱するアオモリトドマツ(Abies mariesii)において,動物による球果の持ち去りの痕跡と,持ち去られた場所付近で解体された球果を観察した。動物による球果の持ち去りは,奥羽山脈・姥倉山において,1996年に同一個体で生産された10個について確認された。これまでアオモリトドマツにおいては,枝の切断による球果の持ち去りは本事例以外では確認されていないことから,枝の切断をともなった動物による球果の持ち去りが起こる頻度は低いと示唆される。しかし本事例は,種子が果軸から離脱し,散布を動物に依存していないと考えられるモミ属においても,動物によって複数の種子が運ばれる可能性があることを示している。
記録
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