三陸北部の津波被災海岸林跡地に植栽試験地を設置し,クロマツ,アカマツ,アキグミ,ハマナスなどの苗木を植栽した。試験区の一部の地表面には養生マットとムシロ張りによる被覆工を施工した。2種類の被覆区と無被覆の対照区の地中に温度記録計を埋設して地温を観測し,土壌凍結の発生と消長とを調査した。対照区では早い時期に土壌凍結が進行し,苗木の根系分布範囲の地下20cmにおいて,16日間凍結状態が継続した。ムシロ張り区では土壌凍結の開始が遅れ,地下20cmでの土壌凍結期間は5日間であった。養生マット区の地下20cmでは地温が氷点下まで低下せず,土壌凍結が観測されなかった。2種類の被覆区ともに,無被覆の対照区と比べて積算寒度の増大に伴う土壌層の冷却が緩和され,土壌の凍結が抑制された。
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