東北森林科学会誌
Online ISSN : 2424-1385
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8 巻, 2 号
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特集「白神山地の保全と周辺部の持続的利用に向けて Ⅰ.白神山地の森林分布とダイナミクス」
巻頭言
論文
  • —1980年から2000年までの変化—
    粟屋 善雄
    原稿種別: 論文
    2003 年 8 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 2003/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    4シーン(1980年9月,1986年8月,1992年9月および2000年8月観測)のランドサット衛星のデータを利用して,世界遺産地域を含む白神山地の森林変化を1980年から2000年までの3期間に分けて解析した。観測時期が隣り合うデータの,赤のチャンネルを1セットとして,経年変化の小さい落葉広葉樹林について相関行列を求めた。この相関行列に基づいて主成分分析を施して,得られた第2主成分を閾値処理によって伐採や下刈りなどのバイオマス「減少」と,成長などのバイオマス「増加」のエリアに分けてマッピングした。世界遺産地域の境界から12km以内の森林について1986年以前と比較すると,年間の「減少」面積は1986年以降に約6割に減った。「減少」面積は1986年以前では遺産地域境界からの距離に依存していなかったが,1986年以降では5km以上の距離階に対して3km以下の距離階では「減少」面積は2〜3割程度まで減った。1986年の赤石川流域でのブナ林伐採の凍結に始まり,ブナ林伐採が抑制されていった状況が解析結果に表れた。
  • 中静 透, 斎藤 宗勝, 松井 淳, 蒔田 明史, 神林 友広, 正木 隆, 長池 卓男, 杉田 久志, 金指 達郎, 関 剛, 太田 敬之 ...
    原稿種別: 論文
    2003 年 8 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2003/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    白神山地世界遺産核心地域に分布する典型的でかつ構造の異なる3つのタイプのブナ林について,動態と更新に関するモニタリングを4年間継続した。3つのブナ林は,種組成,密度,胸高直径分布,胸高断面積などの構造パラメータ,死亡率・新規加入率などの動態パラメータ,種子生産量・実生発生量などの更新パラメータに違いが見られ,主として林分の発達過程や地形による成立条件が異なっていることが示唆された。また,結果をもとにモニタリングを行う上で考慮すべき点などについて考察した。
  • 正木 隆, 中村 松三, 太田 敬之, 大谷 達也, 大原 偉樹, 杉田 久志, 斎藤 宗勝, 神林 友広, 長池 卓男
    原稿種別: 論文
    2003 年 8 巻 2 号 p. 75-83
    発行日: 2003/10/31
    公開日: 2018/03/19
    ジャーナル フリー
    白神山地の奥赤石林道沿いで,生育不良な約20年生スギ人工林の混交広葉樹の構造・組成,及びその変化を1998年から2002年まで調査した。スギの平均立木密度はプロット間で350〜2300本ha-1の範囲で変動し,胸高断面積合計も3.6〜41.9m2ha-1と変動していた。著しく低い立木密度や胸高断面積合計を示すプロットは,今後も林相が改善される見込みはなかった。枯損原因の多くが積雪被害であることから,空間的に不均質な積雪深が上記の林分状態の差異の原因と考えられた。混交広葉樹の胸高断面積合計は0〜15.4m2ha-1と変動し,スギの胸高断面積合計とは負の相関があった。広葉樹の組成は6〜8つの型に分けられ,サワグルミ,キハダ,ミズキ,ウダイカンバなど攪乱依存性の高い樹種が優占していた。サワグルミやミズキなどはスギの枯損率の高いプロットで優占していたが,この原因の一部は,スギの枯損の原因となった豊富な積雪に由来する水分条件によって説明されると推察された。プロットの中には広葉樹の組成が調査期間内で大きく変化したものがあり,現段階で組成は不安定であった。これらの人工林は,組成の変化を見ながら順応的に管理していくことが勧められる。
報文
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