情報知識学会誌
Online ISSN : 1881-7661
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17 巻, 3 号
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巻頭言
論文
  • 村井 源, 徃住 彰文
    2007 年 17 巻 3 号 p. 149-163
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル フリー
    特定の思想を伝えるために著されたテキスト群から,全体としてどのような主張を解釈しうるかという古典的な問題がある.この問題に対し本論文では,情報処理の技術を用いて科学的にアプローチする手法を提案する.本手法ではまず,内容に重なりのある複数の異本テキストを用いそれらの小要素の関係をネットワーク化する.次に,ネットワークにおけるリンクの中心部分のみをクラスタとして一意的・階層的に抽出することで,従来のテキスト解析での中心とは異なる,編集的中心の抽出を可能とする.また,本手法を新約聖書の福音書中のpericopeを小要素として適用し,4つの編集的中心メッセージを抽出した.また異端の書と呼ばれるトマスによる福音も伝統的福音書と合せて解析することで,トマスは編集的中心の点からは中立的で,キリスト教の中心的メッセージの変化には寄与しないことを計量的に示した.
  • 石川 大介, 石塚 英弘, 藤原 譲
    2007 年 17 巻 3 号 p. 164-181
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル フリー
    類推によって仮説を生成する発想支援システムを構築するための基礎研究として,我々は因果関係に類推を適用して仮説を生成し,その仮説の検証を試みた.基となる因果関係は, 我々が以前の研究で薬学分野の特許文献から抽出したものであって,手段の用語と効果の用語から構成されている.類推は,その因果関係の用語を他の類似した用語に置き換えることによって行った.ペプチドによる創傷治療効果,厚朴による抗炎症作用,ラクトフェリンによる感染防除効果の3 つの因果関係を用いて類推を行い,227 件の仮説を生成した.この227 件の仮説をライフサイエンス辞書を用いて検証し,91 件の仮説は類推として適切な結果であることを確認した.さらに,91 件の仮説の中から9 件の仮説をPubMed Central 及びPubMed で検証した結果,8 件の仮説は文献で報告されている.これらの結果は,本研究の類推によって生成された仮説は有効であることを示している.
月例懇話会報告
  • 宗村 泉
    2007 年 17 巻 3 号 p. 182-191
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/25
    ジャーナル フリー
    国公立が設立運営している美術館、博物館とは違い、企業が設立運営しているミュージアムは、それぞれが専門性を生かしたユニークな活動を展開している。印刷博物館も、凸版印刷株式会社の100周年記念事業として2000年10月に開館し、生業である「印刷」をテーマとした専門博物館として7年間の活動を続けてきた。その間、企業のCSR活動を担う重要な拠点として、試行錯誤の中にも社会的に意義ある成果を出してきた。 ここでは、身近な印刷をテーマとしているこの博物館を、どのような経緯、コンセプトで立ち上げたのか、さらにその活動によって目指すものは何かをまとめてみる。加えて、印刷の大きな歴史の概要を記して、印刷のもつ文化性や社会性、歴史的価値についても言及する。
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