情報知識学会誌
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21 巻, 3 号
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巻頭言
論文
  • 飯村 伊智郎, 垣花 真理, 森山 賀文, 中山 茂
    2011 年 21 巻 3 号 p. 319-332
    発行日: 2011/09/27
    公開日: 2011/12/13
    [早期公開] 公開日: 2011/05/11
    ジャーナル フリー
    本論文では,三角形から六角形までの凸多角形について,図形の形状に関わらず,目的とする図形を複数種類同時に検出する手法を提案する.提案手法は,単一の多角形を検出可能な遺伝的アルゴリズムによる多角形検出手法を発展させたものであり,解探索アルゴリズムとして局所的に優れた複数解探索を得意とする免疫アルゴリズムを用い,複数種類の多角形を表現可能な抗体を用いることで,対象画像内から複数種類の多角形を複数個同時に検出することができる.6頂点以下の複数種類の多角形が描画された対象画像を用いて実験を行った結果,サイズや頂点数の異なる複数の多角形を高い確率で同時に検出することができた.
  • 岡部 晋典, 佐藤 翔, 逸村 裕
    2011 年 21 巻 3 号 p. 333-349
    発行日: 2011/09/27
    公開日: 2011/12/13
    [早期公開] 公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿ではオープンアクセス運動の契機となったBudapest Open Access Initiative(BOAI)について分析し,これがどのような意図のもとで公開されたか調査した.まず,BOAIを提唱し,オープンアクセス運動を支援している財団であるOpen Society Institute(OSI)と,その設立者であるGeorge Sorosについて紹介し,彼らの思想的根拠であるKarl R. Popperの提唱した「開かれた社会」概念について概観した.また,BOAI中にその思想が影響していることを明らかにした.次に,オープンアクセス運動に関連する文献群中でのPopperおよび「開かれた社会」への言及状況とBOAIの受容状況の定量的計測から,オープンアクセス関係者の間での「開かれた社会」関連思想の認知状況を検討した.その結果,OSIは「開かれた社会」という政治思想の実現を目的にオープンアクセス運動に関与しているにもかかわらず,他のオープンアクセス運動関係者はこの思想の存在には言及していないことがあきらかになった.
  • 大槻 明, 岡田 謙一
    2011 年 21 巻 3 号 p. 350-361
    発行日: 2011/09/27
    公開日: 2011/12/13
    [早期公開] 公開日: 2011/05/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,筆者らが提案している知識を構造的に俯瞰表現する「構造化俯瞰図」をさらに発展し,同図を構成する各知識に属性情報や叙述を付与し,それら属性情報等を含めた知識同士の関係性を意味付けしたうえで俯瞰マップを作成するCosut(Concept Support Tool)について提案する.Cosutを使用することにより,当該知識群のさらなる整理や分析を実現することが可能となる.つまり,企業における新商品開発や課題解決時,さらには研究機関における新理論の検討時など,様々な場面における知識の有効活用に資することができるものと考える.評価実験では,構造化俯瞰図を使用した場合に比べた定量的分析及び概念構造の変化を分析した.その結果,仮説をまとめるためのアイディアの量的な増加傾向が確認され,さらには,Cosutが被験者の概念構造に直接影響を与えた部分を把握することが可能になるなどの発想支援的な効果が認められた.
  • 石川 大介, 酒井 哲也, 関 洋平, 栗山 和子, 神門 典子
    2011 年 21 巻 3 号 p. 362-382
    発行日: 2011/09/27
    公開日: 2011/12/13
    [早期公開] 公開日: 2011/09/10
    ジャーナル フリー
    コミュニティ型質問応答サイト(CQA)は,ユーザが自身の状況に応じた情報を得ることができる新たな手段である.しかし投稿された回答の質は様々であるため,その中から良質な回答を選択する方法が求められている.そこで本研究は,まず Yahoo!知恵袋データにおける良質回答を人手で分析し,その結果に基づいて良質回答自動予測システムを構築した.具体的には,「恋愛相談」「パソコン」「一般教養」「政治」の4つのカテゴリからそれぞれ無作為に50問の質問を抽出し,判定者2名によって手作業で良質回答を決定した.次に,その結果を分析し,良質回答の特徴として「詳しさ」「根拠」「丁寧さ」に基づく機械学習システムを構築した.機械学習システムの評価結果は,「パソコン」と「一般教養」カテゴリでは判定者らを上回った.「恋愛相談」と「政治」カテゴリでは,機械学習システムの評価結果は判定者らとほぼ同じであった.以上の結果から,CQAアーカイブから自動的に良質回答を発見するシステムの可能性が示唆される.
  • 佐藤 翔, 永井 裕子, 古賀 崇, 三隅 健一, 逸村 裕
    2011 年 21 巻 3 号 p. 383-402
    発行日: 2011/09/27
    公開日: 2011/12/13
    ジャーナル フリー
    本研究では機関リポジトリへの論文登録がその論文の被引用数と電子ジャーナルのアクセス数に与える影響を明らかにするために,『Zoological Science』掲載論文を2つの機関リポジトリに登録し,被引用数と電子ジャーナルアクセス数への影響を観察する実験を行った.実験は2008-2010年にかけ行い,実験前後の機関リポジトリ登録論文の電子ジャーナルアクセス数,被引用数の変化を,登録しなかった論文と比較した.また,機関リポジトリ登録論文の利用状況を分析するとともに,機関リポジトリ利用者と電子ジャーナル利用者をIPアドレスに基づき比較した.その結果,機関リポジトリへの登録により電子ジャーナルアクセス数が減ることはなく,新たな利用者を獲得できていた.しかし論文の被引用数を増やす効果はなかった.機関リポジトリ利用者の多くが動物学研究者ではなく,他分野の研究者や一般市民であったためと考えられる.
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