関西都市圏は「私鉄王国」と呼ばれており,関西5私鉄(近鉄・京阪・南海・阪急・阪神)は競って沿線を開発し,関西都市圏の街づくりの一角を担ってきた.本研究では,関西5私鉄の沿線を文化的価値の側面から定量的に分析し,沿線の特徴を明らかにすることを目的とする.分析においては,どの駅勢圏にどの文化施設等が何回出現したかという頻度行列を作成し,そのカウントデータが持つ情報そのものに焦点を当てられるトピックモデルLDAを用いた.分析の結果,関西5私鉄の沿線には6つの特性が潜んでいると分かった.また,これらの特性を整理し各社の主要路線を分類すると,「歴史的な沿線を持ち,地域密着型の商業地域が目立つ路線」,「都心とその間の郊外を結び,良好な生活環境が整備された路線」,「都心と文教地区を走り,通勤通学の足としての性格が強い路線」の3つに分けることができた.
筆者は,経済学を専攻し,シンクタンクに入社して,経済産業調査を担当し,その過程で,さまざまの統計書や文献を研究のために活用し,その利用に習熟した.マクロ経済分析も行い,その限界も認識した.その後,社内の専門図書館に転じ,レファレンスサービスや情報収集やその加工において研究員との共同作業を行った.また,企業を顧客にデータベースの論理設計や構築を数多く手が けた.その中で,自らの情報専門家としてのキャリアを形成してきた.こうした視点から考えていることをいくつか紹介した.