背景:甲状腺手術において副甲状腺機能温存は重要である。近年副甲状腺の自家蛍光特性が発見され,赤外観察カメラシステムでの検出法が報告されている。今回,甲状腺全摘術における副甲状腺同定・機能温存に対し,赤外観察カメラシステムの有効性を評価する。
対象・方法:2019年4月1日から9月30日の期間で,当科で実施した甲状腺全摘術症例(平均年齢44.6歳,男性1例,女性9例)を対象とし,副甲状腺同定・機能温存に対する赤外観察カメラシステムの有効性を評価した。
結果:赤外観察カメラシステムにより,病理学的に副甲状腺と同定しえたのは13検体中11腺(84.6%)で,手術4週後にカルシウム補正が 不要な症例は10例中8例であった。
考察:赤外観察カメラシステムによる副甲状腺の術中同定は非侵襲かつ簡便な方法で,甲状腺全摘術後の副甲状腺機能温存において有用であり,副甲状腺を肉眼で同定するためのトレーニングツールとしての有効性が示された。
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