本研究の目的は,世代特性をふまえた高齢者ケア教育に資するため,ゆとり世代の看護大学生に焦点をあて,学習前の高齢者像(4視点)の特徴と,高齢者との接触状況(同居経験,会話頻度)やケアへの関心度との関連性について明らかにすることとした.研究方法は,対象者に無記名の質問紙調査を行い,180名の回答をテキストマイニングと統計的手法により分析した.結果,<普段みたり聞いたりする像>では,【同居中】群は身体の加齢変化を捉えていた.【同居なし/会話が乏しい】群では,病気・障害・痛みをもつ状態像が多かった.<将来なりたい像>は,【同居中】群は生活の質を,【同居なし】群は外見・若さを重視する傾向があった.<将来なりたくない像>は,【過去同居】【同居なし】群で高齢者の表面的な言動をネガティブに捉えた表現が多かった.<自分にとっての存在>について,大多数は敬愛・尊重を示す回答であった.しかし,【会話が乏しい】【同居なし】群の少数の学生が,歳を重ねることへの嫌悪感や,高齢者と関わることへの拒否的心情を示し,ケアへの関心が低かった.本研究を通して,ゆとり世代の特性や生活背景をふまえ,初年次からマスメディアに惑わされない批判的思考力を高めるとともに,地域社会との連携のもと高齢者との交流体験を増やし,高齢期のイメージを再構築できるような新しい教育環境・方法が必要であることが示唆された.
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