本研究の目的は,居宅生活を送る軽度要介護者の痛みの実態を示し,痛みの有無による日常生活動作,日常生活動作効力感,手段的日常生活動作,社会関連性の違いを比較することである.本調査は,要支援1,2および要介護1で通所リハビリテーションを利用しており,質問に回答可能である高齢者60人に聞き取り調査を実施した.その結果,半数以上が痛みを有しており,腰部,膝部,足,股関節等,移動動作にかかわる部位の痛みであった.対処法として,薬剤の使用や理学的な方法をとっていた.また,痛みなし群,痛みあり群とADL,日常生活動作効力感,IADL,社会関連性の比較において,ADL(FIM)の更衣・上半身の項目と日常生活動作効力感,IADL(老研式活動能力指標)の手段的自立の項目に有意差が認められた.以上のことから,痛みは,居宅軽度要介護者の日常生活動作に対する自信や,日常生活動作の自立度の低下に影響を与える可能性が推察された.今後,痛みによる生活への影響が緩和されることおよび,居宅高齢者の生活の質の向上を目指すためには,痛みへの援助における検討の必要性が考えられた.
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