老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
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最新号
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巻頭言
特集1「日本老年看護学会第24回学術集会」
会長講演
特別講演
教育講演
シンポジウム
特集2「認知症看護認定看護師が行う看護実践」
  • 特集の企画にあたって
    湯浅 美千代
    2020 年 24 巻 2 号 p. 39
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー
  • 本人の思いを受けとめ,心地よく過ごせる時間を増やす関わりとその成果
    北埜 さつき
    2020 年 24 巻 2 号 p. 40-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     すべてのBPSD(認知症の行動・心理症状)を緩和させるケア方法が示されていない昨今,1つひとつの事例の積み重ねが,認知症をもつ本人や家族,そしてケアするスタッフのQOL(生活の質)向上につながり,ひいては認知ケアの質の向上に寄与できると考えた.今回,入院時にはBPSDが顕著であったが,本人の思いを受けとめ,心地よく過ごせる時間を増やす関わりをケアに導入した結果,BPSDが緩和した高齢のアルツハイマー型認知症患者について振り返った.患者の心地よさに焦点を当てて考えることが患者の思いを読み解くヒントになること,心地よく過ごすためにはどうしたらよいかを考えることから,アプローチの手がかりが得られることがわかった.BPSDを示している患者に対して,一見遠回りに感じられるケアであるかもしれないが,患者の思いに寄り添い,心地よく過ごせるような関わりが有効な場合があるという示唆を得た.

  • ケアガイド「高齢者ケア〜大切にしたい6つのこと〜」を用いて
    佐藤 加奈子, 田屋 香
    2020 年 24 巻 2 号 p. 44-48
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     急性期総合病院であるX病院では,高齢者への基本的ケアを推進するために関わり方の基盤となるケアガイド「高齢者ケア~大切にしたい6つのこと~」を作成した.今回,ケアガイド「高齢者ケア~大切にしたい6つのこと~」を活用したことで,認知症高齢者を支援するうえで重要とされている「笑顔で接する」「同意を得てケアを行う」「患者が理解できる説明を行う」「制止しない」というケアの実践により,身体拘束の解除につながり早期に元の生活の場に戻ることができた.この事例を通し,ケアガイド「高齢者ケア~大切にしたい6つのこと~」は関わり方を示すだけではなく,認知症高齢者を支援するうえで必要な考え方の軸になることがわかった.また,看護師が認知症高齢者に対する適切なケアを導き出すためには,認知症看護認定看護師がタイムリーにケアを言語化し,リフレクションできるようにする関わりが重要であった.

  • 妄想と攻撃的行為がある認知症患者の心理的状況の理解と対人関係の構築
    中川 かおり
    2020 年 24 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     認知症の行動・心理症状(BPSD)は,認知症が進行していく段階のなかで1つ以上の症状が出現し,共通したものではなく,出現する時期も異なる.その原因・要因は認知症による認知機能障害を背景に身体的状況,心理的状況,社会的背景や環境要因が作用している.援助する側は,その原因・要因を理解して援助を行う必要があるが,BPSDの症状のみに着目してしまい,対応に苦慮することがある.

     今回,脳血管疾患の治療後に転院による環境変化からBPSDを示した認知症患者に対して,特殊な状況ではないという視点から,心理的状況の理解と対人関係を築くことを目指した.その結果,関わり方を見直して対人関係を築いていく必要があること,ケア場面の反応や変化について情報共有することは心理的状況の理解と認知症患者のもっている力を引き出す援助につながること,心理的状況の変化を把握しながら援助をすることは生活の安心につながることがわかった.

  • ケア実践者が困難を感じた7事例への実践を通して
    廣川 陽子
    2020 年 24 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     認知症治療病棟の看護職・介護職(以下,ケア実践者)にとって食事時間は,大勢の認知症高齢者の食事支援にはいる必要があり,認知症高齢者が食事に課題があっても原因を究明できる余裕はなく,対応策が見つからないまま困難感を抱くこともある.このような現場の背景から,院内の認知症看護認定看護師がアセスメントの内容や具体的な支援方法をケア実践者に伝達していくことは,ケア実践者のロールモデルとなり,認知症高齢者の障害と心理面の理解が深まり,認知症ケアの質の確保,尊厳につながると考える.認知症高齢者が“食べられない理由”をケア実践者が理解することにより,認知症高齢者の重症度や障害に応じた食事支援方法が確立できると考える.今回,食事の援助が困難であり支援方法がわからないと相談を受けた7事例について,具体的な実践内容を報告した.重症度はほとんどが中等度と重度であった.試行錯誤や取り組みのなかでの関わりから,認知症高齢者の食べられない状態と心理面を推測し,本人に合わせたケアに近づけたと考える.

  • 堤 純子
    2020 年 24 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     血管性認知症の既往があり,回復期リハビリテーション病棟に転科してきた当初は認知症の行動・心理症状(BPSD)や高い転倒リスクがあったA氏を多職種で支援した.入院期間は1か月と予定されていたが,支援の結果,19日と短い期間で自宅退院ができた.この事例を振り返ると,退院に向けた支援として,入院時から支援目標を明確にして本人本位の介入を早期から行うことが必要であり,そこには,患者の背景や個人因子を把握して患者の強みを生かすこと,介護する家族の状況も加味して統合的に多職種で支援していくことが重要であった.

原著
  • 渡辺 陽子
    2020 年 24 巻 2 号 p. 65-75
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,介護老人保健施設における看護・介護スタッフによる自己決定支援の積み重ねが,認知症高齢者に及ぼす効果と支援実施の課題を明らかにすることである.介入実施者であるスタッフ27人が,間食・更衣など4つの活動場面で認知症高齢者に行動の選択肢を提示し,選択理由をたずねる支援を8週間実施した.評価項目は認知機能検査(MMSE),前頭葉機能検査(FAB),精神機能障害評価票(MENFIS),QOL評価尺度(DHC)得点として,ベースライン期間,介入期間,フォローアップ期間での群内前後比較で評価した.

     分析対象となった認知症高齢者16人への平均介入回数79.6回,実施度63.5%であった.介入前後のFAB(p=0.007),MENFIS(p=0.014),DHC(p=0.005)が有意に改善した.スタッフからみた認知症高齢者の変化は『「ありがとう」ということばが増えた』『選択の機会があることで笑顔がみられた』などであった.日常生活における自己決定支援の積み重ねが,認知症高齢者の生活によい影響を与えることが示された.

  • 認知機能障害の有無による比較
    七戸 翔吾, 山田 律子
    2020 年 24 巻 2 号 p. 76-86
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     研究目的は,通所サービスを利用する高齢者のサルコペニアの実態とその要因を認知機能障害(以下,認知障害)の有無で比較し,明らかにすることである.

     対象者は,認知障害群57人と年齢・性をマッチングした非認知障害群57人の計114人であり,サルコペニアの有無,認知機能,栄養状態,活動状況を調査した.

     サルコペニアの発生率は認知障害群50.8%,非認知障害群47.4%と有意差はなかった.しかし,通所サービスの利用頻度は,非認知障害群よりも認知障害群が有意に多く(p<.001),また認知障害群にのみサルコペニアを有する者は日常生活能力(p<.001)やサービス以外の複数の活動状況(p<.05)が低かった.ロジスティック回帰分析の結果,サルコペニアの影響要因として「女性」「低い栄養状態」「通所サービス以外の少ない外出頻度」が挙げられた.通所サービスを利用する高齢者のサルコペニアの予防には,女性の低栄養の予防や活動範囲の拡大に向けた支援の必要性が示唆された.

資料
  • 澄川 幸恵, 長畑 多代
    2020 年 24 巻 2 号 p. 87-95
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     本研究は,特別養護老人ホーム(以下,特養)に転職した看護師が体験したリアリティショックの様相を明らかにすることを目的とした.病院で看護経験はあるが,特養での常勤は初めてで,転職後2~5年目の常勤看護師14人に半構成的個人面接を行った.結果として,11カテゴリー,3つの大カテゴリーが抽出された.特養に転職した看護師は,特養自体や特養の看護師の役割についてなにも知らないことが多く,特養の現実に直面し【転職後に感じたギャップへのとまどい】を感じていた.ギャップに対し【受け入れがたい特養の現実と価値観への反発】を感じ,ギャップを受け入れる過程で【看護師としてのアイデンティティの揺らぎ】という危機的な特有の反応を呈した.リアリティショックを生じやすい特養に転職する看護師に対し,インターンシップ制度の導入や先輩看護職による適切なフィードバック等のサポート体制を整える必要があることが示唆された.

  • 岡本 佳也
    2020 年 24 巻 2 号 p. 96-105
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     目的:65歳以上の骨・関節疾患術後高齢者が退院に際して抱く不安の内容を明らかにする.

     方法:整形外科病棟から自宅退院予定の患者10人を対象に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.

     結果と考察:退院に際して抱く不安のカテゴリーは,【痛みが残るのか】【元の状態にもどれるのか】【姿勢・動きに気をつけなければならない】【自分ではできないことがある】【先々どうなるのかわからない】からなり,不安に影響を与える内容は【回復へのそこそこの満足感】【退院後の生活への備え】【支えてくれる人がいるか】【自立の程度】【現実的な目標がある】からなった.痛みの継続や姿勢・動きに気をつけながらの生活は整形外科術後の特性を表しており,退院後の生活の質を大きく左右し不安に影響を与えることが明らかとなった.退院後の自分の姿や生活を想像したり検討できているかの査定を行いながら介入し,高齢者が抱く不安に対して具体的な方法や対策を共に考え支援をしていく必要がある.

  • 村崎 志保, 高橋 和子
    2020 年 24 巻 2 号 p. 106-114
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

    【目的】在宅療養者を介護する家族介護者が行っている社会活動とQOL(quality of life;生活の質)の関連を明らかにし,介護者のQOLの維持・向上を図る社会活動の促進と社会的健康の維持に向けた看護への示唆を得る.【方法】東北地方の訪問看護事業所計29施設を利用している在宅療養者を介護する60歳以上の家族介護者を対象とした.訪問看護事業所を通じて無記名自記式質問紙を配布し,郵送法で回収した.分析方法は,調査項目毎に記述統計量を算出し,各変数による家族介護者のQOLの比較を行い,家族介護者のQOLを従属変数とする重回帰分析を行った.【結果】家族介護者のQOLに有意に関連していた変数は,個人的活動,趣味の有無,外出頻度,社会活動制限感,介護役割充足感,通所系サービスの有無であった.【考察】看護者は介護者が行っている個人的活動や趣味を把握し,外出のきっかけづくりやサービス調整も視野に入れ,社会活動の維持のための提案を行うことが重要であることが示唆された.

  • 医学中央雑誌をデータベースとした文献検討
    佐藤 清美, 柏﨑 郁子, 叶谷 由佳
    2020 年 24 巻 2 号 p. 115-124
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/03
    ジャーナル フリー

     入院治療を受ける認知症高齢者の家族へのかかわりに着目しその内容を明らかにすることを目的として,医中誌Webを用いて2006~2018年の文献検討を行った.結果,19の文献から86のコード,21のサブカテゴリー,【家族への日常的な気遣い】【心身の負担軽減に向けたかかわり】【患者と家族のつながりを支える】【患者へのケアにおける家族との協働】【多職種との橋渡し】【ニーズに合わせた退院支援】という6のカテゴリーが生成された.在院日数短縮化が進むなかで,入院中にかかわる看護師は,家族の在宅での介護も考慮したかかわりを行っていることがうかがわれた.さらに認知症高齢者家族への看護は在宅支援のみではなく,入院中にタイムリーに家族とかかわるべき支援内容も多いことが明らかになった.

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