目的:急性期病院における認知症高齢者への看護に対する困難感の因子構造を明らかにし,困難感を測定する尺度の作成および尺度の信頼性と妥当性を検証する.
方法:文献検討に基づく質問項目32項目を自己作成し,急性期病院の看護師1,731人を対象に質問紙調査を行い,尺度の項目の選定と信頼性および妥当性の検証を行った.
結果:回収した質問紙のうち620部(有効回答率35.8%)を分析対象に,項目分析と探索的因子分析を行った結果,7因子22項目が採用された.次いで,確証的因子分析を行った結果,GFI=0.904,AGFI=0.880,CFI=0.900,RMSEA=0.061であり,観測変数へのパス係数はいずれも統計学的に有意であることが示された(P<0.01).また,各因子のCronbach’s α係数は0.642~0.834,全体0.864であった.
結論:本尺度は,急性期病院の特性を反映した7因子からなる困難感の構造であり,急性期病院における認知症高齢者への看護に対する困難感を測定する一定の信頼性と妥当性が確認された.
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