介護老人保健施設(以下,老健)に勤務する看護職の職務に対する肯定的な心理状態であるワーク・エンゲイジメントが,役割葛藤や役割の曖昧さ,組織要因であるキャリア支援体制,転職者の受け入れ体制に与える影響を明らかにすることを目的で調査した.
東北地方にある老健に勤務する看護職を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した.ワーク・エンゲイジメントが,役割葛藤や役割の曖昧さ,組織要因に与える影響をパス解析により検証した.
老健に勤務する看護職のワーク・エンゲイジメントは,職場継続意思(β=0.20,p<0.001)とキャリア支援体制(β=0.20,p=0.024)に,役割の曖昧さはキャリア支援体制(β=-0.02,p=0.001)に,役割葛藤は職場継続意思(β=-0.03,p<0.001)に直接影響を与えていた.ワーク・エンゲイジメントを向上させることで役割葛藤や役割の曖昧さを低下させ,職場継続につながること,また,キャリア支援を享受する素地を醸成させることができると考えられる.
抄録全体を表示