社会言語科学
Online ISSN : 2189-7239
Print ISSN : 1344-3909
ISSN-L : 1344-3909
7 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 大坊 郁夫
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 1-2
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
  • 坊農 真弓, 片桐 恭弘
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 3-13
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
    本稿では,自然な会話データにおけるジェスチャーと視線配布の分析に基づいて,対面コミュニケーションにおいて表現主体が所持する視点(viewpoint)について検討を行う.対面コミュニケーションにおいては,表現主体が対象に志向する叙述的視点(descriptive viewpoint)に加えて,表現主体が聞き手に志向する相互行為的視点(interactive viewpoint)が存在することを主張する.対面会話のビデオ収録データに基づいてジェスチャーと視線配布との関係の定性的分析(分析1)および定量的分析(分析2)を行った.その結果,(1)表現主体はジェスチャー開始前にジェスチャー空間に向けて視線配布を開始すること,(2)発話終了直前に聞き手に向けた視線配布を開始すること,(3)聞き手は表現主体による視線配布に対応してうなずき等の応答を行うことが確認された.この結果は,自然な対面コミュニケーションにおいては,叙述的視点と相互行為的視点との交替が起っていることを示している.
  • 首藤 佐智子
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 14-24
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
    本稿は,商標の普通名称化の司法判断における言語学的論点を分析する.題材として,2002年のオーストリア最高裁において,商標Walkmanに関して普通名称化を理由に,ソニーは同商標を独占的に使用できないとした裁定を扱う.法的に商標が普通名称として判断されるに際しての言語学的論点として,以下の二点に焦点を置く.第一に,商標である語が類似商品の総称として使用される現象(以下「普通名称的使用」)が,商標にあたる語が普通名称化したと判断するに当たっての十分条件ではないことを明らかにする.普通名称として使用されている商標でも商標認識が高ければ,語が商標と普通名称という両義性を持ち,解釈においては発信者が誰であるかによって両義性が使い分けられる可能性が高いことを提示する.第二に,司法判断の場で辞書による記載が商標が普通名称化したことの論拠として使用されることに関する問題点を,辞書の目的と記載基準の観点から指摘する.
  • 西川 玲子
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 25-38
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,日常会話で起こるナラティブを参加者がどのように形成しているかを分析する.過去のナラティブ研究において,ナラティブ参加者の役割については,語り手がストーリーを語り聞き手がそれを理解するという形が前提として想定されているものが多い.本研究は参加者の役割をこの典型に限定しない見地で参加者の協働行為に注目する.分析にはOchsら(1992)が提唱した理論構築活動(theory-building activity)の枠組みを用いる.0chsらはアメリカの白人中産階級家族内のナラティブを観察し,ナラティブが参加者の間で3つの特性(1.説明部<explanatory component>,2.対峙可能部<challengeability component>,3.修正部<redrafting component>)を持つ協動的理論構築活動であることを明らかにした.本研究ではOchsらにならい日本語母語話者の友人間で起こるナラティブを対象に同様の理論構築活動を例証し,ナラティブにおける相互行為研究の一つの可能なアプローチを提案したい.
  • オストハイダ テーヤ
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 39-49
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
    話し手が,話しかけてきた話し相手が有する外見的特徴などの言語外的条件に基づき,(話し相手との意思疎通に問題がないにも拘らず)その話し相手を無視し,話し相手と一緒にいる第三者に返答することが観察される.本稿では,この行動を「第三者返答」と呼ぶことにし,言語社会心理学のアコモデーション理論の観点から「過剰適応」の一種として考察する.外見的に明らかに外国人と判断される外国人,および車椅子使用者に対する言語行動を対象とした複数の調査を通して,第三者返答の存在を確認し,その頻度と具体例について分析し,社会言語/心理学的に位置づける.そして,第三者返答を引き起こす主な要因として,話し手が抱く,意思疎通の可能性に対する想定や先入観(外国人の言語能力に関する経験やステレオタイプ,身体障害者に対する知識不足から生じる障害の性質についての誤解)を指摘する.
  • 西尾 純二
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 50-65
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
    関西方言では,マイナス待遇表現形式としてヨルが用いられる.本稿では大阪府を中心とした関西若年層におけるヨルの表現性について,表現プロセスを考慮した待遇表現行動の観点から分析を行った.また,待遇表現行動には,関係性待遇と感情性待遇の2つの様式が認められる.ヨルは関係性待遇,感情性待遇のいずれの言語行動においても用いられ,目下という関係とマイナスの感情性のいずれも表示しうる.このような用法をもつ形式は,これまでに報告がないものである.さらに,スタイルの低さから,ヨルを使用することで発話に情意性が生じる。この情意性のために,ヨルは感情的に中立である「驚き」を表現する場面にも使用される.関西方言の待遇表現体系は,人間関係だけでなく,情意性を取り込んだものであり,待遇表現体系の類型を論じる新しい視点を導き出した.
  • 金 美貞
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 66-77
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
    本稿は,韓国のデパートと市場における店員の接客言語行動を分析したものである.分析には,客と店員の会話を収録した談話資料から,店員の発話に現れた文末表現形式を取り上げる.結果から言えることは以下のようである.(1)デパートの電話応対では,韓国語の改まった丁寧体である「〓〓hapsyo体」が中心になり,最も定型的なパターンを見せている.(2)デパートの対面接客においては,改まりを表す「〓〓hapsyo体」はマニュアル的な発話に出現しやすく,客との交渉のような細かい応対では「〓〓hayyo体」が中心になる.(3)フォーマルで定型的な接客パターンを見せるデパートとは対照的に,市場では方言形や非敬意体など,いろいろなスタイルが出現し,愛想を示す発話による配慮も見えた.このような親しみを表す言語形式の選択ストラテジーは,市場の雰囲気をカジュアルで親しみあるものとして印象づける要因の一つとなっている.
  • 大浜 るい子, 西村 史子
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 78-87
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
    本稿は,日本語と英語会話の相づちの出現頻度及び出現実態をターン交替との関わりで調べ,両言語における相づち行動の共通点と相違点を明らかにするものである.資料には日本語母語話者,及びニュージーランド(以下NZ)英語母語話者による2人1組のロールプレイ会話が使用された.先行研究に違わず,日本資料でより多くの相づちが観察された.これらは,移行適切場に現れる会話参与者間の相づちの応酬と,移行適切場ではないターン途中での合の手的相づちの2つに分けられた.前者は日本語のターン取得の先延ばし傾向を示すものである.これらの相づちはNZ資料ではほとんど見られず,この相違が最終的に日本資料での相づちの高頻度を形成すると結論付けられた.これらを除くと,相づち反びターン交替の実態は両資料でほぼ同じであった.すなわち,同じような頻度でターンが交替され,かつターン冒頭では相づちが同程度の頻度で用いられることが分かった.
  • 大野 敬代
    原稿種別: 本文
    2005 年 7 巻 2 号 p. 88-96
    発行日: 2005/03/30
    公開日: 2017/04/30
    ジャーナル フリー
    シナリオ談話104話を用い,待遇コミュニケーションとしての「ほめ」の応答の考察をした.受け入れ型,否定型,回避型の三種のうち回避型が圧倒的に多い理由には,お世辞への疑いなど「ほめ主体」の意図を量りかねることにも関連があると考えた.そこで,「ほめ」自体が意図の場合(「ほめ意図」)と,「ほめ」てはいるものの別の意図が中心となる場合(「別意図」)とに分け,配慮を要する目上への応答型を調査すると,「別意図」の応答傾向に特微がみられた.さらに「別意図」ごとに応答傾向を調べた結果,受け入れられやすい順は,1「ほめられ主体」への利益が期待される依頼・要求,叱り・励まし等,2 話題転換,3 「ほめ主体」への利益が期待される依頼・要求,4 皮肉・からかいであった.この「受け入れ度」の順は,「別意図」による利益や機能と密接に関わっている.「ほめられ主体」の自己利益に関する感じ方は「ほめ」を受け入れる強い要因になっていると考えられる.
feedback
Top