看護師を目指す留学生等の外国人は,今後増加してくることが予想され,実習記録などのライティングに困難を覚える学生も増えてくると思われる.本稿では,まず,国内の調査および英語圏における複数の文献レビューを参照し,ライティング支援の必要性があることを示した.さらに,国内においては実習記録の言語面について扱った研究は少なく,その研究も,ライティングの支援には活かすことが難しいことを指摘した.それらのことを踏まえ,実習記録の言語面での特徴を探るため,その第一段階として,語彙についての分析を行った.看護学生が目指すべき実習記録の様相を知るため,国内において出版されている実習記録の書き方について扱った書籍の中から,完成形の手本が示されているものを収集し,その中でも「小児看護学」「成人看護学」などの複数の領域における例を収容しているものを対象とした.分析対象とした書籍に含まれる「アセスメント」,「看護計画」,「実施・評価」,「サマリー」の手本を分析し,それぞれに含まれる語彙を頻度や対数尤度比を基にした特徴度を指標として,その様相を探った.その結果,記録の種類や記入する項目により,品詞の分布が異なり,名詞の割合が高いものと,名詞・助詞・動詞や助動詞がまんべんなく使われている項目があることが分かった.また,用いられている語についても,記録の種類や項目ごとに特徴があることが分かった.
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