日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
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日本文化人類学会第47回研究大会
選択された号の論文の208件中151~200を表示しています
代表者:市野澤潤平(宮城学院女子大学)
分科会
8日(土) 10:00-12:25 F会場(531 教室)
分科会PFa 「応答/態度の人類学 ―現場のアクチュアリティへの民族誌的接近に向けて」
代表者:岩佐光広(高知大学)
  • 現場のアクチュアリティへの民族誌的接近に向けて
    岩佐 光広
    セッションID: PFa0
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本分科会では、「応答」と「態度」という概念を手がかりに、現場と人びとが相互に働きかけあい応答しあうという相互性に注目しながら、アフリカ・東南アジア・ラテンアメリカの状況を異にする4つの現場について考察する。その作業を通じて、現場のアクチュアリティにいかに接近するかという民族誌をめぐる課題に取り組むための手掛かりを示したい。
  • ベトナム北部地域の宗教コミュニティにおける「逸脱した」態度をめぐって
    伊藤 まり子
    セッションID: PFa1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本報告は、分科会「応答/態度の人類学-現場のアクチュアリティへの民族誌的接近に向けて(組織者:岩佐光広)」の一つである。ここでは、特定のコミュニティや社会において、反道徳的と捉えられるような行為に対する人びとの応答を民族誌的にいかに記述することが可能かという課題について、現場とそこに関わる人びとの相互性と、そこに具体的に現れる人びとの「応答」の局面に着目することから検討していく。事例として取り上げるのは、ベトナムのハノイで活動する宗教コミュニティ「カオダイ教ハノイ聖室」である。出家者と在家信者間の宗教活動に対する意識のズレと、そこで顕在化する態度と応答をみていくことで、一時的に「道徳性」が破綻した現場が、不確定あるいは偶発的な応答によって秩序の再編がはかられていく過程を指摘し、そこから「道徳的」/「反道徳的」という単純な二項対立では捉えきれない「道徳性」をめぐる現場の現実を浮き彫りにすることを試みる。
  • マプーチェ先住民組織の議論の過程にみる態度の多面性と重層性
    工藤 由美
    セッションID: PFa2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、チリの首都に住む先住民マプーチェの組織活動における議論の場面を事例として、態度の持つ多面性と重層性を明らかにし、それが人々にとって持つ意味と、人類学的記述にとって持つ意味とを考察する。具体的には、組織として実施したが、「盛り上がらなかった」フィエスタについて、関係する2つの異なる議論の場面を取り上げ、参加者それぞれの発言と態度を、日常的な態度や行為と関係づけながら分析を加えていく。
  • タンザニア路上商人組合の展開を事例に
    小川 さやか
    セッションID: PFa3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、異なる政党・団体と結びついた路上商人組合間の対立・連携について、自己増殖的/自己変質的にはしる噂やゴシップに着目して検討する。噂をめぐる路上商人たちの態度は、「ストリートの政治」を規定するリテラシーを浮かび上がらせると同時に、この政治が政党・政策をめぐる駆け引きや合議ではなく、噂を通じて特定の社会状況に応答する人びとの「態度」を調整することによって動いていることを明らかにする。
  • ラオス低地農村部の看取りの現場における感情的応答と態度のせめぎあい
    岩佐 光広
    セッションID: PFa4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、現場における感情の表出、特に「不意に発露した感情」をめぐる経験について、ラオス低地農村部の看取りの事例を取り上げながら考察する。そこから「不意に発露する感情」を感情的応答と態度のせめぎあいにおいて捉える着目点を見出し、それを理論的に整理することで、現場におけるアクチュアルな感情経験に接近するための1つの手掛かりとして提示する。
分科会
8日(土) 13:30-16:25 G会場(532 教室)
分科会PGa 「東日本大震災に対する人類学者の社会関与とその可能性 ―2011-12 年度宮城県震災無形民俗文化財調査事業より」
代表者:高倉浩樹(東北大学東北アジア研究センター)
分科会
8日(土) 15:00-17:25 H会場(533 教室)
分科会PHa「日本認識の形成からみた植民地支配、戦争の記憶 ―台湾、韓国、パラオ、中国から」
代表者:上水流久彦(県立広島大学)
分科会
8日(土) 9:30-12:25 I会場(524 教室)
分科会PIa 「東アジア・東南アジアにおける漁村形成の比較研究」
代表者:長沼さやか(日本学術振興会)
  • 長沼 さやか
    セッションID: PIa0
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本分科会では、沖縄、台湾、韓国、中国、タイのフィールドから個別具体的な漁村形成の事例を報告する。その際にとくに注目するのは、水上/陸上の他集団との社会・経済的関係と、国家など近代的公権力の影響(定住化政策、漁業開発、干拓事業など)である。これらを通地域的に比較するなかで、これまで移動から定住に至る一方向的なプロセスにおいて、分けて論じられてきた移動/定住漁民のあり方が、移動と定住の両方向的な動きにおけるバリエーションとして現われていることを実証する。
  • 沖縄・糸満漁民による漁村形成過程
    玉城 毅
    セッションID: PIa1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
     本研究は、沖縄の糸満漁民の移動から定住への過程に着目し、移住に始まった漁民の流動的な状況からどのような秩序がいかにして形成されたかを明らかにすることを目的としている。それによって、流動性の高さが指摘されてきた東アジア・東南アジアの多くの漁民と比べると、定住化の傾向が高い糸満漁民の特徴を明らかにするとともに、流動状況から秩序が形成され志向されるやり方についての沖縄的な文化モデルを提示する。
  • 海民モーケンの移動と定住の歴史
    鈴木 佑記
    セッションID: PIa2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    東南アジアの多島海にはかつて、家船に暮らす「漂海民」と呼ばれる人々がいた。サマ、オラン・ラウト、モーケンといった集団がそれにあたる。ただし現在では各地で定住化が進み、家船に暮らす者はほとんど存在しない。サマとオラン・ラウトの定住化の過程について明らかにされつつある一方で、モーケンについては不明な点が多く残されている。そこで本報告では、モーケンの移動と定住の歴史を明らかにすることを目的とする。
  • 韓国の干拓による海洋変化と漁村の変貌
    宇田川 飛鳥
    セッションID: PIa3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本報告は、韓国全羅北道の沿岸を事例として、干拓事業による漁場の変化と海岸線の線的移動に着目して漁村と漁場が分断される過程を考察するものである。干拓工事の影響は長期的である。海岸線が徐々に移動し海洋は年々変化する。沿岸漁村はその漁場の変化に連動して盛衰する。本報告では、干拓事業という公権力による自然環境への介入が結果的に漁村の衰退や変貌を招いている過程を明らかにする。
  • 台湾東部漁業地への移動と移住
    西村 一之
    セッションID: PIa4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本報告は、日本植民統治期、台湾東部において実施された開発を契機として作られた漁業地(新興、仮名)の形成過程と、そこを行き交う漁民の姿に注目する。1930年代から2000年代までの歴史的変遷の中で、多様な構成を見せてきた漁民集団の関係と、マクロな政治経済システムの影響を視野に入れた漁業地の成り立ちと漁業の展開について明らかとし、この地を移動移住する人びとが新興の漁民となる様を示す。
  • 珠江デルタの水上居民からの考察
    長沼 さやか
    セッションID: PIa5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本報告では、中国広東省珠江デルタの内陸水域において移動漁労をしていた水上居民の漁業生活、および中華人民共和国成立後の政策にともなう定住と漁村形成の過程について明らかにする。その際、当該地域に古くから村落を形成してきた父系出自集団・宗族との関係に注目し、漁民の移動と定住が地域社会の状況によって選び取られた漁業生活の諸形態であることを考える。
分科会
8日(土) 15:00-17:25 I会場(524 教室)
分科会PIb 「動物殺しの論理と倫理 ―種間/種内の検討」
代表者:奥野克巳(桜美林大学)
  • 種間/種内の検討
    奥野 克巳
    セッションID: PIb0
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    動物殺しは、一般に、人によって行われる動物殺しの面の問題検討に大きく傾いている。本分科会では、動物による動物殺し、動物による人殺し、人による人殺し、人の動物殺しを相互に比較検討することによって、動物殺しの論理と倫理について考察する。そのことは、動物殺しが人による動物殺しを中心に語られてきたことへの補正でもある。本分科会の目的は、動物殺しに関して、その人類学的な課題を浮かび上がらせることである。
  • 島田 将喜
    セッションID: PIb1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    動物行動への理解がすすむにつれて、私たちは動物に対して過剰な合理性を押し付け、動物は無駄な殺しをしないはずだと信じている。しかしヒトにもっとも近縁なチンパンジーにおいては、他の動物を殺す場合に、必ずしも明確な殺意や動機が存在しているとは解釈できない事例などが多数あることが分かった。こうした観察結果は、動物においても不合理な殺しはさまざまな形で遍在することを示唆している。
  • 中国西部における「人と動物」と「人と人」
    シンジルト シンジルト
    セッションID: PIb2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    多民族多宗教が共在する中国西部牧畜地域には多様な屠畜規範があったが、こうした「在来の屠畜規範」を凌ぐものとして、今、動物福祉という思想に基づく「新しい屠畜規範」が導入されている。「新しい屠畜規範」の導入が、「人と動物」及び「人と人」の関係の在り方に何をもたらそうとしているのか。動物福祉という思想が誕生した政治的歴史的な背景、西部牧畜地域のおかれた社会的文化的な状況を射程にいれながら考察したい。
  • 山口 未花子
    セッションID: PIb3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    北米狩猟民カスカと動物の互酬性に基づくパートナーシップの背景としては野生哺乳動物への高い依存や、森の中で動物と接触する機会が多いことが想定される。しかし例えば身体的に圧倒的な強さを持つ存在クマなどの動物種に関しては、動物への恐怖等の要因についても考慮する必要がある。こうした点を踏まえ、本発表では狩猟民カスカと動物との結びつきのなかに、動物から殺されるという視点を導入して再検討することを目的とした。
  • カメルーン東南部熱帯林における動物殺しを事例に
    大石 高典
    セッションID: PIb4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    これまで動物殺しは食料調達の一部をなすに過ぎず、動物食の問題に回収されがちであった。本発表では、カメルーン東南部の熱帯林社会(バクウェレ人とバカ人)を事例に、動物殺しの多様な位相を把握する。ゾウは殺すが、ムカデは殺さないなど、動物殺しの論理は弱肉強食とは異なる。「殺す/殺さぬ」という位相が、人と動物の相互作用の中でどのような幅を持っており、どのように決定されていくのかを今後明らかにしてゆきたい。
分科会
9日(日) 9:30- 11:55 C会場(528 教室)
分科会PCa 「宇宙人類学の挑戦 ―「宇宙」というフロンティアにおける人類学の可能性」
代表者:大村敬一(大阪大学)
分科会
9日(日) 9:00-11:55 F会場(531 教室)
分科会PFb 「「生」の復興に向けて ―3.11 と人類学(3)」
代表者:木村周平(筑波大学)
分科会
9日(日) 9:00-11:55  G会場(532 教室)
分科会PGb 「生活と人類学の間 ―“日本”で“人類学者”として“暮す”ということ」
代表者:沼崎一郎(東北大学)
  • “日本”で“人類学者”として“暮す”ということ
    沼崎 一郎
    セッションID: PGb0
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本分科会の目的は、人類学者の生活を人類学することである。人類学を学び、人類学を教えていることは、研究と教育以外の私たち人類学者の日常生活に何らかの影響を及ぼしているのか? 私たちの生育史、私たちの生活の場、私たちの働く場、私たちの取り結ぶ人間関係は、私たちの人類学的研究と実践に何らかの影響を及ぼしているのか?外国で人類学を学び、日本に暮らす5人の人類学者の実体験に基づく問題提起を行う。
  • 自分の暮らし、研究、社会実践を人類学する
    陳 天璽
    セッションID: PGb1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本報告は、自分の暮らしやライフヒストリーを振り返りながら、これまでの研究テーマの選択と自分の生活や世界観の関係性、自分の研究手法について人類学的に分析する。また、これまでの研究を通し、どのような社会的実践をしているのか、人類学は一体そこで役になっているのか?役に立っているならば、どのような役に立っているのか?もしくは、役立つためにはどうすればよいのか、などについて考えてみたい。
  • コスモポリタン人類学のアイロニー
    ハンセン ポール
    セッションID: PGb2
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    このプレゼンテーションは、日本での人類学的生活を反映的に検証します。例え、ミクロのレベルでも、コスモポリタン理論に焦点を当てます。コスモポリタンを主題にしている著者に注目し、Ulrich Beck の「コスモポリタン・モーメント」と Nigel Rapportの「誰でも」です。このプレゼンテーションは、所謂ビジン日本語についてです。
  • “生まれ育った仙台”で“アメリカ帰りの人類学者”として“暮す”ということ
    沼崎 一郎
    セッションID: PGb3
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表の目的は、幼少時の交叉文化体験、青年期の留学体験、帰国後の教員体験を「ものがたる」ことを通して、生活と人類学の間で発表者のアイデンティティとポジショナリティが如何に揺れ動いてきたか、そしてその揺らぎは報告者の生活と人類学的態度とに如何なる影響を与えてきたかを考察することである。特に、人類学と日本研究に対する発表者の態度の揺らぎについて、反省的に検討を加えてみたい。
  • 吉田三郎と私の「ボアズ的実験」
    ウッド ドナルド
    セッションID: PGb4
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、1930年代に農民でありながら人類学的に生きた吉田三郎と、1990年代半ばから今日までの人類学者である私自身の生活と著作の関係を読み解くことで、東京に代表される「都会」に対し、「田舎」と呼ばれる地域で暮らし働く研究者のアイデンティティーと多義性について探る。学問の世界の片隅に位置する吉田と私が、自身の不確定な状況(リミナリティー)と和解しようとする試みは、方法こそ違え妙に似ている。
  • 自/異文化 を 異/自国 で語ること
    桑山 敬己
    セッションID: PGb5
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
     グローバル化の結果、かつては明確であった自他の境界線が崩れ、異文化や異民族の語りを専門とした人類学者の仕事も様変わりした。だが、より遠くの異なった他者を求める傾向は相変わらず強く、人類学者の御膝下とも言うべき大学の教室における文化的邂逅が注目されることは少ない。本発表では、舞台をアメリカと日本の大学に設定して、自文化と異文化の語りがもたらす諸問題について考える。
分科会
9日(日) 15:00-17:25 G会場(532 教室)
分科会PGc 「応答の人類学 ―その初志と課題」
代表者:飯嶋秀治(九州大学大学院)
  • その初志と課題
    飯嶋 秀治
    セッションID: PGc0
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    2012年日本文化人類学会課題研究懇談会として「応答の人類学」は、24名のメンバーで発足した。課題研究懇談会は今後2年半継続するので、拙速に諸論点の収束を図らず、論点を整理してゆく方針であるが、本発表では一つの論点としてこの研究懇談会の経緯と初志を踏まえた上で、1年間の活動で提示されてきた課題を確認し、文化人類学の歴史への系譜を確認し、発表者とコメント、聴衆に議論の場を開きたいと思う。
  • 他領域との関係から考える
    伊藤 泰信
    セッションID: PGc1
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/27
    会議録・要旨集 フリー
    本発表は、筆者自身の取り組みを題材とし、応答する人類学の可能性や可変性について議論を展開することを主題としている。 (1)産業界との関わり、とりわけビジネススクールでの社会人(企業人)教育をめぐる筆者自身の経験などを題材に、相反するロジックについて論じつつ、(2)他領域、とりわけ産業界から役立つとされる学的領域でどのように呼びかけに応じ/呼びかけを創出しているのかについて、経営学系・工学系の分野の研究事例を示しつつ論じる。
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