公認会計士による外部監査及び監査役等(監査役,監査等委員,監査委員)の監査と同様に,内部監査においても不正対応は喫緊の課題である。
内部監査は,企業活動の現場において日常的に監査活動を行っていることから,不正を起こしうる統制環境等の内部統制の不備の発見や,不正抑制のための内部統制の改善へ向けた提言をおこなう重要な立場にある。「3つのディフェンスライン」において内部監査が「最後の砦」と言われる所以である。
実効性のある不正対応には,会社法上のいかなる機関設計においても,立場の違いを弁えた三様監査と当局検査を含めた四様監査の連携が重要である。
三様監査の中で,外部監査と監査役等の監査については法定されているが,内部監査は法定されていない。欧米と異なり,位置づけが曖昧なわが国の内部監査を制度化する必要がある。
制度化には,ハードロー,ソフトロー,その組み合わせなど,様々な方法を考えることができるが,わが国では,コーポレートガバナンス・コードの原則に内部監査の維持を加えることが有効と考える。 内部監査の制度化と同時に,期待に応える業務を行うために,内部監査人自身も内部監査機能充実へ向けた努力が必要である。
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