不確実な状況下で経営計画の立案を行う際の有用な手法としてファジィ数理計画法がある.これまでにファジィ多目標計画問題に対する様々な解法が提案されてきたが, その多くは, 係数間に存在する何らかの関係を考慮していないという問題点があった.このような問題点に対し, 太田らは確率計画法の考え方に基づき係数間の考慮した解法を提案した.この解法は, 確率計画法の二段階問題と目標計画法の定式化上の共通点に着目し, 不確実な状況をファジィ数で構成したシナリオによって記述することにより, 係数間の関係を考慮している.そして, 目的関数値のリグレットを楽観, 悲観の両観点から捉えたインデックスを用いて評価し, シナリオの発生確率を考慮して, 全ての状況に対しバランスのとれた解を導いている.しかし, この解法は線形の目的関数を対象にしているため, 例えば売上高利益率などの比率目標を扱う経営計画の立案には適用できない.そこで, 本論文では太田らの解法を拡張し, 比率目標を扱うことができる係数間の関係を考慮したファジィ多目標分数計画法を提案する.また, 意思決定者が設定した要求水準に基づいて目標間のバランスをとるために, リグレットを評価するインデックスを新たな方法で基準化する.
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