2013年の夏期、中間期、冬期に、オフィス内温熱環境の現状把握および妥当性の検討を目的として、東京都内および岐阜県内にある事務系オフィス9フロアの温熱環境測定と、そこで働く人延べ650人を対象としたアンケート調査を行い、以下のことが明らかになった。(1)多くの調査対象フロアの温熱環境は建築物衛生法における基準範囲内であったが冬期の湿度については40%を下回っているフロアが多く見られた。(2)勤務者の着衣量は、夏期は0.5clo程度、中間期は0.6clo程度、冬期は0.8clo程度で、どの季節も女性のclo値は男性より少なかった。個人PMV値の平均値は概ねISO7730における快適範囲にあったが、夏期や中間期の男性の値は快適範囲より高温側のケースもみられた。(3)夏期における現状のオフィス温熱環境下では、男性が今以上着衣量を調節しても快適性を高めることは難しく、また中間期や冬期には女性は乾燥を大きく感じている。以上の結果から、現状より更に温熱的に快適なオフィス環境を実現するためには、夏期に暑さを訴える男性と中間期や冬期に乾燥を訴える女性への個別的対策が不可欠であると考えられる。
本研究では,松本市内の小学校を対象に,教室内の掲示物の実態と掲示物に対する児童の意識について検討した。調査の結果,1教室当たりの平均で38件の掲示がなされており,掲示の種類については生活面の掲示物が71%と多くなっていた。掲示位置と掲示内容の関係については,生活面の掲示では教室の前側には「目標」や「決まり事」の掲示が多く,教室の後側には,「取り組み」や「メッセージ」の掲示が多くなっていた。学習面の掲示では,教室の前側には「学習の心がけ」,後側には「学習の作品」,窓側・廊下側には「学習の振り返り」が多く掲示されていた。学年による違いについては,掲示物の件数は低学年で多い傾向となり,内容は高学年になると生活面の掲示物の割合が多くなった。掲示物と児童の意識の関係については,掲示物の種類が児童の意識に強く影響しており,「予定」や「取り組み」,「学習の作品」の認知の度合いが高い結果となった。
本研究では、女子大学生16名を対象に、無彩色と有彩色3色相(青、赤、緑)を背景色にした陽画表示と陰画表示の8配色を用い、VDT画面のイメージ評価と配色の違いが疲労感に及ぼす影響について検討した。30分間のVDT作業(文字探索課題)の結果、背景色の明度が高い陽画表示の配色は見やすい、読みやすいと評価された。国際基準に適合する配色においても、高彩度の背景色を用いた陰画表示モードは見やすさや読みやすさを低下させる可能性が示唆された。文字と背景の明度差が十分に得られる配色の場合、陽画表示及び無彩色の背景を用いた配色の疲労感は低かった。画面に対するイメージ評価が低い配色は、CFF値(臨界融合周波数)による疲労度が軽度の場合においても作業の正確性を低下させた。無彩色及び低彩度の有彩色を背景色とする陽画表示の配色は、審美性や可読性の観点から文章閲覧の配色として適していると考えられる。
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