最近の寒地建物の気密性能はよくなり,省エネルギーならびに室内温熱環境は著しく改善された。しかし,その反面,室内で発生する水蒸気,臭気,燃焼ガス,有害物質などが室内に蓄積され,空気環境は一般に悪くなる傾向にある。著者らが実測を行ってきた対象住宅は新旧を取り混ぜた住宅19戸,2年間の四季を通じて19戸に対する調査例数58であり,測定項目は気温,湿度,CO_2, CO,浮遊粉塵,細菌,真菌,ラドン嬢核種およびラドンの9項目である。それらの分析結果をもとにして,室内環境の現状とその対策を含めた将来展望を述べる。一方,生活環境とエネルギーの消費量との関係,北海道における住宅の省エネルギーの考え方と高断熱・高気密性の効果について紹介する。また,自然エネルギー,排熱,未利用エネルギーの利用の可能性を検討し,エネルギー資源利用率なる概念を導入して評価するとともに,個別の住宅と同時にまちづくりのなかで新しいエネルギー供給体系をつくるという発想も必要であることを述べる。
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